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「私のはなし 部落のはなし」

2022年7月某日

「私のはなし 部落のはなし」
監督:満若勇咲

どうしても観たかったし、
お金を払って少しでも映画を応援したかったし、
長いっていうので集中力的にも映画館がよくて、
行ける日があるかどうか!とヒヤヒヤしてたのだけど、
行けたー。

部落の事には(も)とても疎くて、
子供の頃親に聞いても分かる返事が来なかった。
差別については色々教育的な親だったのに、
部落の事は、よく知らなかったのかもしれない…(不明)

一度だけ、
関西に住む友人が、付き合った彼が部落出身で親に反対された、
と聞いた事があったけど、
別れた後の事後報告だったので詳しい話は無かった。
その時に「今も存在するんだ」と知った、と言う無知具合。
ずっとモヤモヤしてた。知りたかった。

差別について知りたい、と言うのはいつも同じ理由で、
無知だというこれまでの人生と今、これから、
これ以上はもう、
誰かを傷付けたくないと考えているからです。

無知は悪意なくとも人を傷付ける。
被害者となった事も数多あるし、
加害者となってしまった事も数多ある。
傷付けた、と気付いて悔いた事もあるし、
気付かずに人を傷付けた事はどれだけあるか。きっと今も。

作品内にも出てくる、
復刻版全国部落調査の事件、裁判の事をラジオで聞いた時に、
「知りたい」とまた思ったのだけど、
部落について検索する事もまた、
当事者を傷付け苦しめる事になるって事のか!
というジレンマに(漸く)気付き、

経験した事のないモヤモヤに包まれ、
結局そのまま自分の中で放置してました。

あと、世間の、
差別的な発言を堂々と(または匿名で)する人らの
思考回路についての謎があって、
部落差別だとか、朝鮮人差別だとか、優生思想など、
差別する対象が違っても、
どこか共通する論調を持っているように見えるのは、
どういう事なのか?
単なる無知ではそうはいかないだろうから、
その背景が知りたい。
それは、きっととても根深いものなのだろうけど…。
しかもこれは世界中の差別にも通じてしまうので、
途方もないのは分かるのだけど…

映画が、とても長い事は有り難かった。
もっとコンパクトにして、お値段も通常の価格にして、
なんならタイトルや編集もライトにしたら、
もっともっとお客が入るかもしれなくても、
そうじゃないんだよ‼︎
という監督の思いと、出てくる方々の姿が語りかけてくる。

ほんの少しの、小さな理解だけだったとしても、
少し、ほんの一歩だけ近くに行けたような…
(分かるまい、についても作中で。)

この事実を、私にも分けて下さったこと、
本当に感謝をしたいです。

「寝た子を起こすな」
それは当事者が言う場合には本当に叫びのようなもので、
部外者の思う「事なかれ主義」とは全く異なる意味を持つ事を思いました。
でも、寝た子を起こすように生きてしまう私は、
もしかしたら生きながら誰かをもっと傷付け、
傷口に塩を塗ったりし続けてしまうのかもしれないです。

でも、作品内に何度も出てくる黒川みどり教授の説明が、
かなり理解を助けてくれる構造になっていて、
それをちょくちょく手書きの文字だけの画面などのショットで更に補足してくれる。

無知の私でも、ジワジワと理解が進んでいく作りになっていて親切でした。
こういったこの映画の構造を通して、
知る、学ぶという事の価値を改めて教えてもらった感じです。

そして…私が知りたかった全体の繋がり…
外国人、特に朝鮮の方々への差別との繋がりと、
戦争との関係、そして天皇制…
これまでバラバラに悩んでいた構造が…
私の中で静かに合致していくような…。

しかしまだまだ、
勉強を続けようと思います。

夫に罵られながらも解放運動に参加してきた、
今は高齢となった女性が、
もう出なくてはならない住まい、
残り少ない団地での日々に、
自由を手にしたことのアイコンの様な、氷川きよし!
を見守っているのが、象徴的と言うか、なんだか素敵でした☺︎

そして、教室で話していた若い3人、
闘いたいと言いながらも実際には傷付き黙ってしまった「タケちゃん」と、
スルーする力を…と言っていたのにいざとなったらガッツリ踏み込みそうな希望を感じさせてくれた友達たち。

彼らの逡巡のように、
私も中々勇敢にはなれず、
言った通りの行動が中々出来ないのだけど、
それでもずっと目を逸らさないで、知る努力をして行きたいと思いました。

腰の痛みが許すなら、もっと聞かせて頂けたら有り難いと思った映画でした。

またパンフレットも購入。
そして満若監督が、
「にくのひと」の中尾さんに、
この映画を捧げます、と書かれている事に、
本当に長い年月の深い思いを感じました。
凄い頑張った映画!👏

とても文化的価値のある、
貴重な資料でもあると思います。
イデオロギーに関わらず観て欲しいー!

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