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【広辞苑でエッセイ】地縛り

『地縛り』
①キク科の多年草。路傍などに群生。茎は地上を這う。葉柄は長い。春から夏に、長い花茎上にタンポポよりやや小形の黄色の頭花をつける。イワニガナ。
②メヒシバの別称。(1276頁)


ジシバリのような人であると思う。阪神タイガースの能見篤史選手が、9月14日の中日戦で今季50試合目となる登板を果たした。40歳を超えてシーズン中50試合登板するのは、元中日の岩瀬仁紀選手以来2人目の快挙らしい。

開幕前、能見選手はオリックスから阪神に移籍した西勇輝選手に関して、テレビ番組でこう発言していた。
「茨の道に来たな、と思いました」
阪神ファンの熱量は、時に「野次」という棘となり選手を襲う。それを痛いほど理解しているベテランならではの一言だ。

20代では伸び悩んだが、少しずつ育ち30代で花開いた。いつも飄々としているが、その裏でどれだけの努力を積んできたのだろう。

ジシバリの花言葉には「忍耐」「人知れぬ努力」がある。根が地面を這い、岩場でも育つ頑丈さからも連想される。何としても花を咲かせようとする気概は、花も人間も変わらないのかもしれない。

40歳でもなお進化を続ける能見選手。彼が咲かせている花は、茨の道の中でも輝いている。

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2019年9月16日(月)

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