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婚約中に『四月になれば彼女は』を観られてよかった

※映画の結末には触れていませんが、ネタバレを若干含みます。

映画『四月になれば彼女は』をひとりで観に行った。
もともと川村元気さんの作品が好きで、発売当時に原作小説は読んでいたものの、内容はうろ覚えだったから新鮮な気持ちでの鑑賞だった。
(3年くらい前かなと思ってたらもう8年前の小説なのね、時の流れやば、、)

この作品では主人公とその婚約者のすれ違いが描かれている。
主人公の過去の恋愛をきっかけに二人は再び向き合おうとするのだが、その過程で浮き彫りになるすれ違いの理由がすごくリアルで。
劇中では、「愛することをさぼった」という言葉で象徴されていた。
小さな気持ちを重ねていくことを怠った、と。

映画を見ながらぎくっとした。
ああ、私もいまさぼってる。

同棲して2年。
最初の燃えるような恋愛感情がお互いにだいぶ落ち着いてきて、すこし前に婚約してからはその傾向がより顕著になっていった。
彼のことが嫌いになったとかではない。けど、最近はしばしばうっとおしいとか、(もっと言葉を選ばないなら)邪魔だなあと思うようになってしまった。
私は落ち着いて映画を見たいのに隣で大音量でyoutube見ないでよとか、休みの日もっと寝てたいのに起こさないでよとか。

ついには先日、激しい喧嘩を招いてしまった。
些細なことに腹を立てた私は、「いつもいつも、私ばっかり」とつい言ってしまった。
それを聞き、普段穏やかな彼が初めて声を荒らげて怒った。

自分のことばかり可愛く見えるようになったら、それはきっと「愛することをさぼってる」んだと思う。
確かに彼が服を散らかしたり、献立を一緒に考えてくれなかったり、私が言い出さないと掃除をしないところはまあ普通に思い出しても腹が立つけど…
でも、一方で彼だって、外出中に体調を崩した私をケアしてくれたり、電車の乗り換えを調べてくれたり、運転してくれたり、疲れた夜でも率先して洗い物をしてくれたり、それはもうたくさんの愛情を注いでくれているわけで。
それが認識できなくなったときは、きっと自分自身が相手に興味を持つことを怠っているんだろう。

そのまま結婚しようなんてお門違いもいいところだ。
自分の至らなさをここで自覚できてよかった。

きみが楽しそうに見ているyoutubeはどんな動画なの?
次のお休みの日はどこに行きたいの?
通勤中はどんなふうに嫌な気持ちをやり過ごしてるの?

そういう相手への気持ちや好奇心を最近忘れてたな、というか関係性に甘えてたな、と気付かされた映画でした。

そういえば私があげた靴下をずいぶん気に入って履いてたけど、こないだ穴が開いちゃったって言ってたっけ。
それならきみの好きそうな色の靴下を買って帰ろう。今日の夜ご飯はそぼろ丼ね。

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