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【韓国ドラマ感想】今日もあなたに太陽を~精神科ナースのダイアリー~/정신병동에도 아침이 와요

今日もあなたに太陽をを、一気見したので個人的な感想を書き留めておく。

ちなみに、視聴した私はうつ病である事を留意してほしい。


※以下ネタバレあり。



おすすめ度 ☆☆☆☆☆
精神疾患持ちが身近にいる人や精神疾患を知りたい人はもちろん、精神疾患持ち本人も見るべきドラマ。


サブタイにあるように、本作は精神科病棟を舞台にしたドラマだ。
主人公・ダウンは内科から精神科へと異動し、初めての精神科病棟に戸惑いながらも、精神疾患に向き合っていく。

そして舞台が精神科病棟と言う事で、様々な精神疾患の患者が出てくるのだが、正直に言うと人によっては見ていてしんどくなる。
躁うつ病、パニック障害、社会不安障害、うつ病など。
更にはそれらによって引き起こされる自傷行為や自殺衝動などが丁寧に描写されているので、自身のメンタルがどん底の時には見ない方が良い。

個人的には作中でうつ病になるダウンと、社会不安障害の患者の追い詰められ方が自分と似ていて見ててきつかった。
ダウンが一日のスケジュールを決めて「よし頑張るぞ!」とするものの、結局上手くいかずに、どんどんどんどんそのスケジュールが空白(睡眠)になるのがリアルでなあ……。
体がだるくて重くて、ベッドから起き上がるのも動くのも億劫になって、食欲もなくて。
あの全ての動作が遅くなる感じ、凄くリアル。
私も酷い時はあんな感じだった。

更に、誰に何を言われても「うるさい!放っといて!もうどうでも良いの!」なあの感じ、リアルだよ。
多分精神疾患を持つ人間と関わった事がない人は、「そんな風になるか?」と思うかもしれない。
「ドラマ特有の誇張だろ」と思うかもしれないが、私はうつ病が酷い時は本当にあんな感じだ。
ぼーっとしていて、心ここにあらずな感じで、そのくせ頭は漠然とした不安と恐怖とでフル回転していて。
それをドラマの尺でリアルに再現しているので結構見ていてきつかった。

あと、社会不安障害の患者が死のうとした瞬間の「自分を諦めた」がきつかった。
私は徐々に病んでダメになったタイプなので、どちらかと言うとダウンよりもこっちの追い詰められ方の方が自分の体験に近かった。
見ながら泣いた。

ちなみに最後は必ず心温まるハッピーエンドに仕上げているので、安心してほしい。

ただ作中唯一、ハッピーエンドにならない患者がひとりだけいるのは要注意。
ダウンがうつ病になるきっかけとなったソワンだけは、退院後に再度公務員試験を受け、病気の悪化で自殺してしまうのだ。

正直、殴ってでも公務員試験の勉強を止めない両親の方がどうかしていると思ったが。
息子が公務員試験で病んだ事を理解しているのに、何故退院してすぐに塾に行くとか言い出す息子を止めない?
病院としては現実と妄想の区別もつかなかった患者が、自分はどこの誰で何をしていてここはどこで今どう言う状態でまでをしっかりと理解出来るようになれば、そりゃあ外来で様子見しましょうかになるだろ。
退院でぬか喜びし過ぎ。
でもまあ、医療従事者でもないそれなりの歳の両親が「退院=完治」と思っていても仕方がないとも思うが。

そしてそれに対してどんどん、「自分のせいじゃないか」「自分があの時ああしていれば」とダウンが病んでいくのがもう……。
丸二日も飲まず食わずでベッドから出てこず寝たきりの娘に、「済州島の親戚にアワビを送ってもらおう。それ食えば良くなる」とか言ってしまうダウンの母親も、とてもリアルだと思う。

今自分はうつ病で通院している身だから「アワビでうつが治るなら私だって済州島に行って食い散らかすわ」と思ってしまうが、精神疾患に対して知識がない&それなりに上の世代の人間と考えると、「体に良いもん食って寝れば治る!」と言う思考も理解が出来る。
いやほんと、理解が出来るからきっついんだよなあこのドラマ。
解像度たっけぇんだよ……。


こう言った精神疾患の患者と、その周りの人の描写が丁寧なのはもちろんだが、精神疾患のない看護師達が私生活で抱える悩みの描写も丁寧できっつい。
主任が家事に育児に仕事にと追われている中で、ちょっと上手くいかない事が重なって、洗濯物を畳みながら泣き出すシーンで泣いた。

でもこう言う描写は本作ではとても大事だとも思う。
これがないとただ単に「ほら精神疾患の患者は皆こんなにつらいんです~大変なんです~優しくしましょう~」と言うありきたりな上に、当事者にはありがた迷惑な話になってしまう。
精神疾患のない人達の悩みを描写する事で、「誰でも精神疾患になりうるし、精神疾患を患っていないからと言って毎日毎時毎分ウルトラハッピーな訳でもない。あくまで同じ人間なんだよ」と言うメッセージになる。
よく出来たドラマだと思う。
これが私自身も含めて、精神疾患を持つ人も見るべきだと言える点だ。

更にもうひとつ、精神疾患を持つ人も見るべき点として、精神疾患の患者の周りの人の気持ちを理解する手助けになる点がある。

特に私が「なるほどそう言う思考感情なのか」と関心したのは、ソワンが死んだ後や、妻が自殺した患者の話だ。
自殺未遂の経験者として語るが正直言って、遺される側の気持ちなんて考えた事もなかった。

だってその瞬間やしばらくは悲しかろうが虚しかろうが、どうせ時間が経てば忘れて、お笑いを見れば笑って、焼肉を食えばうまいと思えるだろ。
可愛い犬を見れば可愛いなと思って、友達と会えば楽しくお喋りが出来るだろ。
こっちが必死に出していた苦しいのサインに気付かなかったと泣いて酔って酔いまくれば、あとは何もなかったように日常生活が送れるだろ。

そう思っていたし、まあ今でもぶっちゃけ思ってはいる。
ただこうやってフィクションでも、いやむしろフィクションだからこそ、遺された側の思考や感情が伝わりやすく、ためになる。
そして「もうやだ死にたい」となった時にほんの少しくらいは「でも死んだら遺された家族はどうなるんだろうか」を考える気にはなれる。

そう言う意味で、私はこのドラマを精神疾患を持つ本人も見るべきだと思う。
先にも言ったがもちろん、メンタルがそれなりの時にだが。
どん底の時には見るなよ!描写が丁寧だから!マジで病むから!!!


・総評
思わず一気見するくらいにはしっかり面白かった。
舞台や扱っている内容が内容なだけに、もちろん暗いシーンもあるし、人によっては自分の経験を重ねてしんどくなる人もいるだろう。
ただ、一見の価値は十二分にある。

合間合間にギャグシーンも挟まっていて毎秒鬱展開ではないので、まああれこれ言ったが、そんなに気張らずに見てみてほしい。
本当に良いドラマでした。

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