自傷行為の認知度で、他の追随を許さないのがリストカットだろう。
だが正直な話、私には向いていなかった。
だって痛いし。

この記事でも書いたが、学生時代の私は所謂非行少女だった。
その頃にストレスが限界に達して、ある瞬間にふと、糸が切れた事があった。
そしてオーバードーズ、薬の過剰摂取と言う自傷行為に走った。
別に死のうとした訳ではない。
本当に何も考えていなかったのだ。
とにかく、何が何だか分からなくなり、それをどこかにぶつけたかった。
この頃の友人が何人か、よくODをしていたのでそれを真似ての事だったのかもしれない。

飲んだ数は覚えていない。
正気じゃない時の人間がする事など、正気の人間が理解出来る事でもない。
とにかく薬を胃に流し込んで、寝た。
深夜の二時頃だった事はよく覚えている。

そして目が覚めた時には深夜の三時頃だった。
「あんなに薬を飲んだのに全然寝れてない」
そう思ったが、携帯電話を見ると友人から心配のメールが届いていた。
最初は友人が何を言っているのか、ODで上手く回らない頭ではよく分からなかったが、少ししてから日付を見てようやく理解した。
約25時間、丸一日以上寝ていたのだ。

存外驚きもなかった。
何も感じなかった。
どうでもよかった。
ただ、この体験のせいで私はしばらくの間、OD癖に悩まされる事になる。
ヤケ食いやリストカットと同じだ。
「飲んで寝ればすっきりした気がした」と言う記憶が、ストレスを感じる度にODを思い出させるのだ。

ODはリストカットや過食、嘔吐よりも手軽に出来る自傷行為だ。
痛い思いもしないし、食べ過ぎて苦しい事も、吐瀉物の臭いで不快になる事もない。
だが、当時未成年だった私が丸一日寝ていても家族が気にもかけなかったからこそ私は翌日、喉がからからになり頭が重く全身が浮腫んだ状態を家で迎える事が出来たが、ODは病院に運ばれる事もある。
病院に運ばれれば胃を洗浄される事もある。
個人的には、ODは一番手軽な自傷行為だが、病院に運ばれた際に最も面倒だと思う。
また、手軽とは言え飲んでいるのは薬だ。
その日の体調や体質、飲む薬の種類や量によっては命を落とす事もあり得る。
「パキる」だなんて言って気軽にやるものではない事を、経験者だからこそ改めて言いたい。