第二話　お母さんの再婚

　サラにはお父さんがいません。サラが生まれてすぐ、事故で死んじゃったんだそうです。だからサラはお父さんを知りません。ずっとお母さんと二人っきりで生きてきました。だからナタリオが家族に加わって毎日とても嬉しそうでした。

　ナタリオが家族の一員になって少しして、サラのお母さんが再婚することになりました。隣の町のお金持ちの息子さんとです。サラのお母さんはまだ若くてとっても美人なので、その男の人がどうしても結婚したいとと申し込んだんだそうです。サラのお母さんも、親戚の人の紹介だし、サラにお父さんが必要だと考えて、そのプロポーズを受けました。生活もずっと楽になるから…　そしてナタリオも一緒にその男の人のお屋敷にいくことになりました。サラはナタリオに、

「今よりずっと美味しいものが毎日食べられるんだって。よかったね!」

って言って嬉しそうでした。ナタリオは、今のままで十分だと思ったけれど、サラが幸せになるならそれでいいと思って、黙ってついて行きました。

　新しいうちは大きなお屋敷で、庭も広くて、その庭の片隅の大きな小屋がナタリオの居場所になりました。ご飯もお手伝いさんが毎日美味しそうなごちそうを持ってきてくれます。でも、サラもお母さんも、めったに来てくれなくなりました。お母さんはいつも旦那さんのそばにいなくちゃなりません。以前は朝起きるとすぐナタリオのところへ朝御飯を持ってきてくれていたサラは、お屋敷でご飯を食べて、車で学校まで送ってもらいます。帰りも車のお迎えがあり、そのままピアノや社交ダンスの教室に行かなければなりません。ナタリオと遊ぶ時間なんか全然ありません。ナタリオは、ひとりぼっちで、庭の中をいったり来たりするだけです。

「あーあ、前の方がよかったなあ…　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でもサラもお母さんも幸せなんだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これでいいんだ。我慢しなきゃ…」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く・・・