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【音楽】 酔いどれ詩人 トム・ウェイツ#2


前回

 「Anthology of Tom Waits」に針を落とし、第一声で完全にヤラれてしまった。
 トム・ウェイツのファンが口をそろえて言う事だが、私もこの第一声で完全にハマってしまったと言ってもいい。

「ワーントゥースリーフォー・・・」

 くぐもった音。疲れ果て、しゃがれた声のカウントから始まる名曲「Ol'55」である。
 私はすぐに店内のショーケースに走り「T」のインデックスのコーナーを探し、何枚かあった彼のアルバムの裏面をチェックして行った。
 「CLOSING TIME」というアルバムの第1曲目だった。
 私はそのアルバムをそのまま購入した。最初に自腹で購入したトム・ウェイツの作品になった。

クロージング・タイム(CLOSING TIME/1973)-1


 

内山結愛さんもレビューしていました。
彼女のアルバムレビューはとても楽しくて好きです。


 薄暗い中に浮かび上がるピアノとそれに寄りかかる男、タバコ、酒。
 なんとも言いようのない閉塞感がジャケットのデザインからにじみ出ていた。
 トム・ウェイツのアルバムには彼自身が写っていることが多く、そのどれもが映画のポスターのようでもあり、ワンシーンを切り取ったようでもあり、何かストーリーを感じる。彼は後に役者としても活躍するようになるのだが、この1st ALBUMのジャケットですでにその片鱗が見えている。
 記念すべき自分のデビュー作にあえて「CLOSING TIME」(閉店時間)というタイトルをつけるあたりにもこの男の洒落たヒネクレ加減が良く表れている。

Ol'55


 とにかく世界中、有名・無名・男・女・バンド問わずいろんなアレンジでいろんな人たちにカヴァーされている、あまりにも美しいピアノの音色が印象的な名曲である。
 独特の気だるい雰囲気ではあるものの、サビに向けてのメロディでは閉ざされていた世界が一気に広がって行くような明るさや爽やかさも感じる曲で、ノスタルジックではあっても決して暗くはない。実はこの世界観に救われた人と言うのが世界中にたくさんいるのだろうなぁと思う次第。

歌詞・対訳付き

トム・ウェイツ/ライブ

福山雅治

桑名正博

Margot Cotten

The Eagles

ISOZAKI40

…to be continued


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