上野房子

振付家ジョージ・バランシンとニューヨーク・シティ・バレエをこよなく愛するダンス評論家。…

上野房子

振付家ジョージ・バランシンとニューヨーク・シティ・バレエをこよなく愛するダンス評論家。訳書:スキ・ショーラー「バランシン・テクニック」(大修館書店)。大学講師、猫派、Sako Ueno。

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『テーマとヴァリエーション』はバランシンがアウェーで振り付けた、サプライズ満載の“偽装”古典バレエ

 ジョージ・バランシン(1904〜1983)は20世紀を代表する振付家である。21世紀のいま、彼の生前以上に多くのバレエ団がより多くのバランシン作品を上演し、より多くの観客が彼の作品を鑑賞する機会を得ている。バランシン作品は20世紀生まれの古典として、今日に踊り継がれているのである。  では、バランシンは、いつ20世紀を代表する偉大な振付家になったのだろうか。一つの重要な節目がある。1947年である。  1947年7月28日、パリ・オペラ座バレエ団がバランシンに委託した新作

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    • バランシンの『ルビーズ』を愛さずにいられる人がいるでしょうか? ジョージ・バランシン作品指導者ポール・ボーズが語る『ルビーズ』の魅惑と素顔のバランシン

       2024年2月3日、4日に牧阿佐美バレヱ団が主催公演〈ダンス・ヴァンドゥⅡ〉で、ジョージ・バランシン(1904〜1983)の振付による『ルビーズ』を27年ぶりに上演する。  バランシン作品の上演権を管理するジョージ・バランシン財団(George Balanchine Trust)が作品指導のために派遣したのは、ポール・ボーズ(Paul Boos)。ニューヨーク・シティ・バレエ在籍時にジョージ・バランシンの許で踊り、バランシン財団の指導者に任命されて以降、数多のバランシン作品

      • NYCB 新着公式写真 ---- 2024年1月23日に開幕するウィンター・シーズン先取り写真、どうぞご覧ください(ミニ・クイズ付き)。

         ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)のプレスから、2024年1月23日〜3月1日に開催されるウィンター・シーズンの公式写真が届きました。ジョージ・バランシン作品、ジェローム・ロビンズ作品、アレクセイ・ラトマンスキー作品、クリストファー・ウィールドン作品、ジャスティン・ペック作品と並んで、今季、NYCBでの振付家デビューを飾るタイラー・ペックの顔写真も含まれています。  来日が途絶えて久しいNYCBの〈いま〉をどうぞご覧ください。 〈 ミニ・クイズ 〉 以下の写真、どう

        • Season's Greetings! ニューヨーク・シティ・バレエから届いた『くるみ割り人形』公式写真、どうぞお楽しみください。

           ニューヨーク・シティ・バレエでは、2023年も定例の『くるみ割り人形』 1ヶ月ノンストップ公演がつつがなく進行中です。 創設振付家ジョージ・バランシン自身が馴染んでいた 帝室マリインスキー劇場の『くるみ割り人形』にならって、 クララとフリッツほか、大勢の子供が登場します。 時折、ドロッセルマイヤー役に、元団員がゲスト出演するのも、 (オールド?)ファンには嬉しいお約束です。  クリスマスのひと時、ニューヨークの『くるみ割り人形』の 香りを楽しんでいただけましたら幸いです。

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          NYCB創立75周年記念シーズン、公式プレス写真、一挙掲載します(2023年9月17日開幕)

           1933年の渡米から苦節15年、振付家ジョージ・バランシンと盟友リンカン・カースティンが創設したニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)が旗揚げ公演を行ったのは、1948年10月11日のことでした。2023年9月17日に開幕する秋シーズンは、創立75周年記念と銘打ち、上演作品には、いつものシーズン以上にバランシンの代表作中の代表作が含まれています。  NYCBプレスから届きたての新着写真をアップします。バランシン作品を彩る世界に冠たるバレエ団に成長を遂げたNYCBの精鋭たち

          NYCB創立75周年記念シーズン、公式プレス写真、一挙掲載します(2023年9月17日開幕)

          NYCBプリンシパル、タイラー・ペック&ローマン・メヒア来日記念バランシン・クイズです。

           小林ひかる氏が芸術監督を務める「The Artists --- バレエの輝き ---」に出演するため、ニューヨーク・シティ・バレエの絶好調プリンシパル、タイラー・ペック氏とローマン・メヒア氏が来日することを記念して、バランシン・クイズを出題します。  下掲の写真で、ジョージ・バランシン のミューズとしてつとに知られたバレリーナ、スザンヌ・ファレル と一緒に写っている2人の男性と3匹の猫の名前は何でしょうか? バランシンがこよなく愛したミューズ:スザンヌ・ファレル  回答

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          英国ロイヤル・バレエ団日本公演記念、バランシン・クイズです。この写真に勢揃いした錚々たる振付家とダンサーたちは・・・・?

           2023年6月、英国ロイヤル・バレエ団が4年ぶりに来日しました。東京公演前半に上演された「ロイヤル・セレブレーション」は、ニューヨーク・シティ・バレエで振付家として台頭した後に古巣である英国ロイヤル・バレエ団に復帰したクリストファー・ウィールドンの振付による『FOR FOUR』から始まり、フィナーレはジョージ・バランシンの振付による『ダイヤモンド』でした。少々、うがった見方をすれば、「ミニ・NYCB・セレブレーション」!? 出題:英国ロイヤル・バレエ団来日記念、バランシン

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          NYCBプリンシパル、ラッセル・ジャンセンの麗しき写真をご覧ください。

           ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)のプレスから、(わたくしめにとっては)今年最大級のショッキングなニュースが届きました。 「ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル・ダンサーのラッセル・ジャンセンは、2023年9月24日午後3時開演のニューヨーク・シティ・バレエ公演でジョージ・バランシン振付『ジュエルズ』の「ダイヤモンド」を踊り、バレエに別れを告げる」  ジャンセンの忘れ得ぬ舞台といえば、何はさておき、2017年1月にニューヨーク現地で見たジョージ・バランシン版

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          NYCB+バランシン・アポロ・クイズの回答です。

          NYCBクイズ:1991年に #NYCB で初演されたピーター・マーティンス版 #眠れる森の美女 の主演バレリーナはダーシ・キスラー。デジレ王子を踊った(たぶん皆さんご存知の)エレガントなこの男性は誰でしょう? 正解:Mr. Ben Huys / ベン・ヒューズ氏。3月4日〜5日にNBAバレエ団がバレエ団初演する『アポロ』、東京シティ・バレエ団がバレエ団初演する『アレグロ・ブリランテ』の指導者であられます。添付写真(上)は、ピーター・マーティンス版『眠れる森の美女』のフィナ

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          振付家ジョージ・バランシンの原点『アポロ』の深淵を探る----振付指導者ベン・ヒューズのインサイド・ビュー

          NBAバレエ団が2023年3月4日〜3月5日に上演する「バレエ・リュス・ガラ』で、ジョージ・バランシン(1904~1983)の振付による『アポロ』をバレエ団初演する。日本のバレエ団の国内公演としては、松山バレエ団(1988年)、牧阿佐美バレヱ団(1996年)、新国立劇場(2013年)に続いて4団体目の上演となる。  公演に先立つ2月末、NBAバレエ団でステージングを担当したベン・ヒューズに、〈アポロ・インサイドビュー〉と銘打ち、振付指導者の観点、そして、バランシンが創設し、育

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          ニューヨーク・シティ・バレエ発:4人の新プリンシパル公式写真、一挙掲載

            2023年2月26日、ニューヨーク・シティ・バレエの4人のダンサーのプリンシパル昇格が発表されました。彼らの躍動を、遠くない将来、日本で見られることを期しつつ、プレスから届いた公式写真をアップします。(掲載は順不同)

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          『シンフォニー・イン・C』は、バランシンの本音と建前と全幕古典バレエ数作分の見どころを凝縮した、簡潔で緻密なチュチュ・バレエ

           1947年7月28日にパリ・オペラ座バレエ団(以下、オペラ座)で初演された『シンフォニー・イン・C』は、振付家ジョージ・バランシン(1904〜1983)の長く豊かな黄金時代の始まりを告げることになる、世紀の傑作である。  同年、ゲスト・バレエマスターとしてオペラ座に招かれ、『アポロ』『セレナーデ』『妖精の口づけ』を再演していた間に着想を得て、2週間で振り付けたもの。パリ滞在中の新作ゆえ、音楽はフランス人作曲家の楽曲こそが相応しい。バランシンの人選は、ジョルジュ・ビゼー(18

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          アレクセイ・ラトマンスキー NYCB Artist in Residence 就任記念公式写真

           2023年8月、アレクセイ・ラトマンスキー がニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)の〈Artist in Residence〉 になることが発表されました。  NYCBのプレス・リリースより、本人の言葉を引用します。 “This opportunity at New York City Ballet has opened a new creative door for me,” said Ratmansky. “After working with the compan

          アレクセイ・ラトマンスキー NYCB Artist in Residence 就任記念公式写真

          激動の2022年、心に残ったダンス公演 / 出来事10選

          1)ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)の不屈の活動 2月22日に「Evenings on a farmstead near Dikanka」を上演、2月24日のロシア軍による侵攻のため劇場は閉鎖されるも6月3日に公演を再開した。同劇場のオペラは2月23日の「Natalka Poltavka」が侵攻前の最終公演、5月21日に公演再開。  7月15日〜8月9日には選抜メンバーが来日し、16会場で「キエフ・バレエ・ガラ2022」と銘打ったプログラムを披露。バレエ団としては12

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          NYCB2022シーズン「くるみ割り人形」公式写真、一挙掲載

          今年もニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)が、ニューヨークの冬の風物詩として親しまれているジョージ・バランシン版『くるみ割り人形』を上演します。日程は11月25日から12月31日まで、月曜日と12月25日以外はノンストップで全46回の公演が予定されています。 コロナ禍のなか、劇場に足を運ぶ観客の数が減っていると言われていますが、また、入場券の価格も45ドル〜185ドル、ピーク時は90〜200ドルと随分と値上がりしていますが、『くるみ割り人形』人気は根強く、すでに完売した公

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          バランシンが出演したこともあるジェローム・ロビンズの絶品コメディ・バレエ『ザ・コンサート(音楽会)』-----音楽会あるある、人生あるある、バランシンあるある、ロビンズ流の泣き笑い

           喜劇王チャーリー・チャップリンいわく、〈人を泣かせるより、笑わせるほうが難しい〉。しかしことバレエと笑いの相性は、けっして悪くない。数からいえば泣かせるバレエのほうが多いとはいえ、20世紀半ば以降、観客を笑わせずにはおかない名作が断続的に生み出されている。  フレデリック・アシュトンの『シンデレラ』、ジョン・クランコの『じゃじゃ馬慣らし』、イリ・キリアンの『シンフォニー・イン・D』は、日本の観客にもお馴染みだろう。そしてメイド・イン・アメリカの雄といえば、ジェローム・ロビン

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          バランシンが出演したこともあるジェローム・ロビンズの絶…