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老化とハイキング

1日1万歩歩くことは、認知症のリスクを減らすという研究成果の
記事がハーバード・ヘルス・パブリッシングに出ていた。
友達にも、通勤を一つ手間の駅から乗り降りして
歩数を増やすようにしているという人は何人かいる。

もちろん、若いうちからの努力は大事!
でも、
実は問題なのは、定年後だったりするのでは……
とちょっと思ったりもする。
フリーランスの私は、停年はないけど、通勤もないから
ほとんど歩かない日が週に何日もある。
意識して、朝7時から1時間近所を速歩きで歩いているという
友人もいるけれど、意志の弱い私には結構難しい。
でもって、雨が降ったりすると、ほんとに、継続的に歩くのは難しい。

友人のバージニアは、どこかで、認知症だけでなく、老化を遅らせるには
できるだけいろいろな筋肉を使うのがいいというレポートを読んだそうな。
「でもね、いろんな筋肉を使うって、そんなに簡単じゃないわよね。」
とバージニア。
腹筋だけ鍛えればとか、スクワットだけやっていればという話ではない。
全体にいろいろな筋肉を動かすことが、
脳にも体にもいいらしいと彼女は言う。

確かにそうかもしれない。
だって、指先を動かすのは脳にいいからピアノがいいとか
老化には筋トレがとかいろいろいうものね。
総合して、いろんな筋肉を鍛えるまでいかなくても、動かし続けることは
確かに老化に効果があるのかもしれない。

ハーバードの記事にもあったように、まずは歩く。
その間に、ちょっと腕を回してみたり、スキップしたり、小走りしたり……
ってすればいいのかしら?
と言ってみたら、彼女の今のところの一つの解決策が
ハイキングだ、という。
坂を登って下りるだけでも、確かに使う筋肉は違う。
石ころが多い道なら、恐らく足の裏の力の入り具合も違うだろうし、
ゴツゴツしたところなら、もっと違う。
飛び石を伝いながら小川を渡るとなれば、それもまた、バランスを
とるために別の筋肉を使うだろう。
なるほど。
いろいろ考えると、確かに理にかなっている。

ここ数年、年に何ヶ月かをアメリカで過ごす生活が続いていて、
周囲に誘われてハイキングをするようになった。
なんとなく、ハイキングということばから、
草原をゆっくり歩くようなのんびりした印象があったのだけれど、
今は、日本語だと山歩きというイメージに近いハイキング。
バージニアが言ったように、ちょっとした岩登りもあり、
岩下りもあり、木の枝を支えにして上に上がったり、
ボルダリングのように体を腕で支えたり……いろいろな体制を
とり、当然ながら、いろいろな筋肉を使っている……ハズ。

ハイキングは基本的に、何人かのパーティーでいくのだけれど、
それで気づいたのが、ミートアップなどに応じてハイキングに来る人は
みなさん割とスマートな人が多いということ。
自転車乗りのみなさんに比べても、
ハイカーの方がお腹がベルトからはみ出している人の率は
かなり低い気がする。

でもって、これは、年齢があがる程顕著。
東京の生活では、なかなか週1回ハイキングに行くなんて難しそうだけれど、
まぁ、停年になったら、あるいはフリーランスなら、月2回でも3回でも、
時間を作って近場でハイクをやるのはよさそうだ。

ちなみに前出のバージニアも、ハイキングのミートアップを主催して
いるのだけれど、停年してからは、ほぼ毎日のようにハイキングを
しているのだそうな。
1回のハイキングは2時間程度。
でも、それだけ歩けば、1万歩は行くし、たぶん、私なんかより
ずっといろんな筋肉がその2時間の間に動いているのだと思う。


得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)