【短歌】迷い鳩
止血鉗子光れる棚の硝子戸にあぢさゐの花の薄き輪郭 /葛原妙子
白と決め止血鉗子は輝けりコピーの束に白妙子ゐる
名乗るたび殺される木が一度だけ文字化けできたときの言語野
抽象の雨をふらせているときに傘を持たないなんてあなたは
CLUB METRO
迷い鳩だからこんなに薄暗いライブハウスに潜っていける
ステッカーまみれの壁に「寄るな」って言われたようで「来い」とつぶやく
おもむろに傘を広げて土砂降りを待ちおればアイスピックが降りぬ
赤の顔、緑の顔と染められる隣人みてはきれいと思う
ひとしきり暴れてみんないなくなる 音突き事故は跡形もなく
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