作道雄

映画監督・脚本家/阪神とカルボナーラ/監督脚本「君の忘れ方」・VR映画 「Thank …

作道雄

映画監督・脚本家/阪神とカルボナーラ/監督脚本「君の忘れ方」・VR映画 「Thank you for sharing your world」/小説『Love Letters~100回継ぐこと~』 /脚本 映画「アライブフーン」NHKドラマ「ペットにドはまりして、会社辞めました」

最近の記事

スポットライトを当ててくれ!

2023年9月。 映画「君の忘れ方」の、たしか撮影後半戦に突入した頃。その日は午前中が撮休で、午後に結婚式のシーン撮影のみを、予定する日だった。 朝9時、僕の泊まる宿の前に車が着いた。ロケ車ではない。本当に来ると思ってなかったから、僕は苦笑した。差し入れ用の大量のハイボールを車から下ろしながら、その先輩二人は立っていた。 東京を、まだ明け方暗いうちに出たという。二人とも、さすがに少し眠そうに見えた。 映画監督の高明氏と、俳優の森本のぶ氏だ。 僕たちは近くの喫茶店でモーニング

    • 編集の合間に

      ことさら忙しい二週間を過ごした。 書かなくちゃならないものが幾つか、編集チェックをしないとならない映像もちらほら。 映画「君の忘れ方」の音楽仕上げも、クライマックスを迎えていた。 音楽を依頼させていただいたのは、作曲者でありかつ演奏者でもあるチェリスト。 昨年の6月頃からやり取りを重ね、今年に入ってレコーディングが開始。僕もスタジオに入らせていただき、塩梅を打ち合わせしながら収録を見守った(とても贅沢な作り方をさせていただいたと思っている)。 三日前の金曜日が、その最

      • 「死仮面」という作品が出来ました

        2022年4月初旬。 俳優の中村優一氏と、僕は監督・脚本作の舞台挨拶巡りをしていた。 もとはケーブルテレビの連続ドラマとして、いわば地域密着の形で制作された「1979 はじまりの物語」が、再編集と追加撮影を行い、映画化されることになったのだ。 舞台挨拶は、二日間に渡った。 初日は大分県別府の別府ブルーバードにて。その夜は別府に宿泊。二日目の朝、別府を出発して昼に大阪の十三シアターセブンへ。さらに東京へ移動して、夕方過ぎから池袋シネマロサ。 乗り間違いを許されない、緊張か

        • ケルヒャーをご存知だろうか

          ケルヒャーをご存知だろうか。 ケルヒャーとは、ドイツの家電製品のメーカーで、スチームクリーナー(高圧洗浄機)が有名である。 僕がこのことをいつ知ったかと言うと3日前で、教えてくれたのはジャパネットたかた、だった。 夕方にぼんやりテレビを見ていたら、ジャパネットたかたの番組が始まり、相当強力に押されていたのがケルヒャーのスチームクリーナー。 要するに物凄い勢いでノズルの先から水が出て、面白いくらい汚れが落ちるという代物。 中には高温で除菌までしてくれるタイプもあるそうで、

        スポットライトを当ててくれ!

          生業にはしていない方とのモノづくり

          愛知県半田市にあるケーブルテレビ局CACというところと、4年前にお付き合いが始まり、定期的に番組制作の仕事をさせていただいている。 1年前から、「わたしのストーリー~あなたのエピソードを映像化~」という番組が始まった。 地元にお住いの方から、ちょっとした思い出話を投稿してもらい、それをショートドラマにするというもの。 僕は、ディレクターをさせていただいている。 局の方針から、基本的には出演者を地元にお住いの方々によって構成させるというのが、この番組最大の特長だと思う。 要

          生業にはしていない方とのモノづくり

          「近畿地方のある場所について」が怖すぎる

          映画と同じくらいの数、小説を読むので、よく知人から推薦してもらう。 この1ヶ月、2人からこの本が怖いと薦めてもらったのが、『近畿地方のある場所について』。 小説投稿サイトのカクヨムで人気に火がつき、単行本になったのだという。 SNSで存在を知って気にもなっていたし、本屋で購入した(隣に置かれていた『変な家』と『変な絵』もその時ゲットして読んだ。僕は『変な絵』派だった。うどん派か蕎麦派かのノリで誰かと語り合いたい。あなたはどちら派?) 子どもの頃、怖いものがとにかく苦手

          「近畿地方のある場所について」が怖すぎる

          ダ・ヴィンチ12月号に掲載いただきました

          映画『君の忘れ方』撮影の真っ最中。 朝一で撮影後、夕暮れ時を狙うまで撮影はお休みです、という日があった。 そんな日は基本弁当は用意されず、バレ飯になる(バレ飯、撮影現場用語。バラバラにご飯を食べてね、ということ)。 880円までならば、領収書で後日精算しますよという素敵なルールが、撮影の現場には基本的に存在する。 超えた分は自腹で払えば大丈夫なので、高山ラーメン屋に入った僕は、チャーシューと煮卵をトッピング。普段なら撮影中は腹いっぱいに絶対しないのだが、仮眠を取る時間もあり

          ダ・ヴィンチ12月号に掲載いただきました

          野球と映画は同じという話③

          阪神タイガース、CS初戦勝利の喜びを噛み締めつつ。 前回の記事で、脚本は投手であると仮説を立てたが、ここでは、俳優(役者・キャスト)は打者であるという説を述べたい。 今年、東京ドームへ2回、阪神の試合を見に行った。 一番大きな声を上げて騒いでしまったのが、阪神・大山選手のホームラン。 やっぱり、期待した打者が打つのを見るのが一番気持ちがいい。 単純に、見に来た価値があると思えた瞬間だった。 これは、俳優陣の素晴らしいお芝居を観ると、観客が胸打たれるのと似ているな、と思う

          野球と映画は同じという話③

          野球と映画は同じという話②

          野球は、映画と様々な点において似ている。 同じだということはさすがに言えないけれども、色んな点を取り出して比較すると、相当似ている。 サイズは違うけれど、引き延ばしたり縮めたりするとピタッと同じ形になる二つの図形を、相似形だと小学生の頃に習ったけども、たぶんあれ。 野球における投手(ピッチャー)は、映画における脚本だという話をしたい。 投手は、「試合を作る」なんて言い方をよくされる。 投手が良いピッチングをすれば、試合に勝つ確率は圧倒的に高まる。極論、延長戦まで0点にお

          野球と映画は同じという話②

          野球と映画は同じという話

          趣味は、野球観戦。 大阪府出身。 愛するのはもちろん、阪神タイガース。 野村克也監督が指揮をしていた頃、僕は小学生だった。 チームは最下位に沈んでいたが、赤星選手や藤本選手、今岡選手、矢野捕手、さらには濱中選手など、2003年と2005年優勝の立役者が実は揃っていた。 今ではファイターズ監督の新庄剛志選手がそこにもいたのだから、やっぱり面白いチームだったのだと思う。小学生の僕は、熱狂した。親は開幕戦に連れて行ってくれたりした。 2003年の星野政権の時は、中学1年生。 2

          野球と映画は同じという話

          カルボナーラは最上位

          僕はたいてい、ああカルボナーラが食べたいな、と思いながら生きている。 これは物心ついた頃から、ずっとそうかもしれない。 腹が減った時はもちろん、何気ない瞬間にもカルボナーラがよぎる。小雨の路地裏、金木犀の匂いにふと立ち止まるとき、僕はカルボナーラを思い出す。桜舞う川沿いのベンチ、鳩と目が合って微笑みを交わす時、僕はカルボナーラを思い出す。 僕にとってカルボナーラは、何よりも最優先にすべきものである。 仕事とカルボナーラのどっちが大事なの、とカルボナーラに聞かれたら、お前だよ

          カルボナーラは最上位