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遺伝問題は蓋をするべき問題なのか?

つい先日、キャスリン・ペイジ・ハーデンさんの「遺伝と平等」を読み終わった。私は今までの人生、何度もメンタル不調を経験し、その度に苦戦している。周りの人よりもメンタルとの戦いに費やしている時間多くない?と感じていた。大人になるまでは原因がよくわからなかったが、色々な本を読む中で、そもそも自分はそういったタイプに生まれてきたんだという事がわかった。今はそれを攻略していくというか、上手く付き合っていくというのが私の人生において重要な事なんだと理解している。
そういう経緯もあって、遺伝子に興味があり、そういった類の本はかなりたくさん読んでいる。研究も進んでいる分野なのでどんどん新しい本が出てくるので嬉しい。「遺伝と平等」はアメリカに現在住んでいる身としては、非常に興味深い内容だった。(個人的には共感できない部分もあったが)アメリカは自由や平等を掲げていて、誰にでもチャンスがある、アメリカンドリームなんていう言葉もあるくらいだが、実際のところそうではないという事実は、ほぼ誰もがわかっている事である。裕福で且つ高学歴な親から生まれた子供は、同じように裕福で高学歴な人物となり・・・というサイクルは続く。逆もしかりだ。アメリカは学歴社会で、また社会福祉が弱くお金がないと生きていく事が大変な国なので、学歴を得て、高収入を得られるかどうかという事がその後の人生を左右させる。裕福という有利な環境、親が高学歴であるという遺伝子的にもおそらく有利な状態の人に勝つのは難しく、逆転現象はなかなか起きる事がない。データ上でもアメリカはそういう事が起きる可能性の低い国のようだ。アメリカの不平等な仕組みをそのままにし、それを綺麗な言葉で塗りつぶし、あたかも自由で平等な国であるというように振舞っているという側面を著者は様々な角度から批判している。どういった環境の元に生まれるかを選べないのと同じように、どんな遺伝子を持って生まれてくるかも人は選べないのだ。そういった事をふまえて仕組みをデザインしなおすべきだという事だ。優生学の黒歴史もあり、遺伝子の問題というのは議論することすら差別的であるという風に言われかねないので、非常に難しい問題である。が、黒歴史があるからといって、その問題に関する事全てに蓋をしたところで何も解決しない。
ただ、アメリカのニューヨーク州という点でいうと、こういった問題を解決しようと色々な事が実際に行われていると思う。様々な人種がおり、格差が激しい、且つ民主党も強く、どちらかというとリベラルな地域なので、必然なのだ。確かにうまくいっていない部分も多いなと思うが、変えていこうという意志は感じられるし、実際に行動に移すスピードも早くそういった点は本当に素晴らしいと思う。すぐに結果が出て解決される問題ではなく、ある程度の時間が必要なので、その間に潰されることなく、色々と試行錯誤されている解決策が良い結果となることを願うばかりである。そして良いモデルケースとなり、ひろがっていってほしい。

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