先日、仕事でホットケーキミックスを使ったお菓子の撮影をしました。
人気ですよね、ホットケーキミックス。通称ホケミ。ホットケーキはもちろん、いろんなお菓子が作れます。そして何より失敗が少ない！

私自身は、日常生活でホットケーキミックスは使うことはほとんどありません。理由は自分好みに配合できないから。でも、ホットケーキミックスの可能性みたいなものはすごく買っています。なのでホケミのお仕事を可能な限りは受けるようにしています。使わないからこそ、それは大事なことに気づく機会でもあるのです。そしてできる限り「簡単で、手軽で、おいしい」を目指してレシピを作ります。

そう思うようになったのにはちょっとしたきっかけがありました。今から多分10年くらい前に、体調を崩した時のことです。いくつかの撮影だけはスケジュールがずらせないので決行することになりました。レシピはすでに作り終えていたのでアシスタントに助けてもらいながらお菓子を作ることに。

その中で、ホットケーキミックスを使ったお菓子の撮影があり、お菓子を作りながら、その簡単さや使い勝手のよさに改めてびっくりしたのです。
え、こんなにすぐにできるの？と思うくらいあっという間に撮影用のお菓子は焼き上がりました。

「ふるわなくてもOK」
「混ぜる時もダマになりにくい」
「泡立てなくてもちゃんと膨らむ」
「パンと言いながら、発酵いらず」

手軽さと、簡単さを備えながら、どれも味はちゃんとおいしい。
優しい味わいと食感は疲れ果てた身体にじんわりと沁みました。

それまでは単に「便利」としか思っていなかったのですが、体調が万全ではない中で使うことで「これ、すごい！」という気分になりました。
他のお菓子がある程度の手間暇が必要の中で、あっという間に出来上がるホケミスイーツ。なんか魔法の粉だよ！とその時にすごく思ったのです。

私はお菓子を作るのに慣れています。そして我が家には道具も材料も揃っています。計量も、ふるうことも、寝かすことも、発酵も、泡立ても必要なことだと思って苦になりません。

でも、例えば子育てで忙しいお母さんだったらどうでしょう。時間もない、エネルギーもない、でも手作りお菓子作ってみんなで食べたい。そんな時にホットケーキミックスって救世主みたいな存在だなと、ようやく腑に落ちたのです。

大事なのはその人にとってのプライオリティ。どんなにおいしく作れるレシピでも、手順が多くて、難しくて、時間がかかるものは忙しい人には向きません。

「私のいつも視点で、考え方で、立場でだけ勝手にいろんなことを判断しない。いろんな人の立場になってそのレシピにとって何が最善か考えてみる」それからは、これが私の仕事のポリシーになり、目標になりました。

ホットケーキミックスを使ったレシピはちょっとの違いで、大きく出来上がりに差が出ます。それがわかるようになってから、研究するのがすごく楽しくなりました。ネットの世界には、検索すればホットケーキミックスを使ったレシピがたくさんあります。でもそのレシピのクオリオティはかなり違うように思うのです。

私は今までホットケーキミックスを使ったレシピをたくさん作ってきました。その中でもダントツの１番のお気に入りはこれ。

パンだけど、発酵要らず。オーブンに入れるまで10分かかりません。中からバターがじゅわ〜っと溶け出して、ふわふわ、モチモチ、カリカリの生地と相まって、「え、何これ最高なんですけど」という味わいです。

まわりのカリカリがポイントなので高温でさっと短時間で焼くのがポイント。なのでオーブンはしっかり予熱しておきましょう。そして、焼きたてが本当においしいので、焼きたてを食べられる分量で作るのも大事です。「もうちょっと食べたかった」ぐらいの個数で作るのがおすすめです。

夏にこのレシピ、と思ったのですが（笑）、涼しくなったらでもいいのでぜひ試してみてください。