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個人だけどクオリティの高いMVを作った話①~初めてのストップモーションアニメ

こんにちは、作曲家の櫻木咲子です。
今日は楽曲の話ではなく、私が個人で作ったMV(ミュージックビデオ)について書いていこうと思います。
4ヶ月前に公開したものですが、まずはこちらをご覧ください!

制作に関わったのは、自分と、スタジオのクリエイターさんと、カメラマン(編集)さんのほぼ3人です。
私もですね、まさか初めての試みでここまでのものが作れるなんて思ってもいなかったんですよ。で、せっかくなので体験談を記録しておこうかと。


ことの発端~とりあえず曲ができた

1年前くらいにできたんですね、曲が。もっというと、曲は8年前に構想していたものでした。で、メロディや歌詞はそのままで全然違うアレンジで新たにリメイクしたものがこの曲なんです。8年前の当初も、物語をつけた童話のような世界を表現したいと何となく思っていましたが、それを今回MVというかたちで表現しようと思いました。

MVの準備を始めるが、何か違う…

最初は、簡単なMVにするつもりでした。ウサギのぬいぐるみをどっかの公演の池で遊ばせて、それを撮影したものと、自分が歌っている動画を合わせたら何かそれなりにできるだろうと。うん、できそうだ。で、撮影できるところを探したんですね。都内の色々な公園を。
しかしこれが思った以上に面倒くさい。

公園って場所によって都だったり市だったり色々なところが管理してるんですね。で、一定時間場所を占領することになるので、許可を取る必要があるんです。これが、調べれば調べるほど面倒くさい…。よさそうと思ってもどこに許可を取ればいいのかわからなかったり、動画撮影の料金が思ったより高かったり。そんなに大がかりじゃないので許可は要らない程度かもしれないですが、何か言われたら嫌だなということでそのあたりはすっきりさせて撮影したかったんです。でも何か気が乗らない。しかも、実際に行った場所じゃないところをネットで調べたりしているので現場の状況もわからない。

あー、その辺の公共施設で撮影って思ったより面倒そうだな、やっぱりレンタルスタジオなら人目も気にならないなと思い、庭のあるスタジオを探しましたが、何かピンとこない。理想的な雰囲気の場所が見つからなかったんですね。
そうこうしている内に、調べ疲れて「なんかもういいや」的な気分になっていました。

作曲家はストップモーションアニメを作ってしまうのか?

上の出来事から数か月後、やっぱりMVを作りたくなって、今度は「簡単にできそう」から「やりたいこと」に焦点を変えて考えてみたんですね。そしたらまず出てきたのが、
ストップモーションアニメ制作
コレですわ。で、もちろんこんなの一人で全部できるわけないとわかっているので、業者に見積りを出したんですね、ダメ元で。そうしたら案の定普通に予算オーバーでした。

そりゃそうですよね、セット作って、パペット作って、それをミリ単位で動かしながら撮影していくんですよ。たった数秒作るのにどれだけ手間がかかっているのか、それくらいは『ウォレスとグルミット』の制作ドキュメンタリーとかを観ていたから知っていたんですね。で、同時に作り方も何となく知っていた。大丈夫、数秒のカットなら自分で作れる。こんなこと一生に一度しかやらないだろう。他の部分は自分が歌っている・動いているところを何かしら撮影して繋げればいい。
じゃあやってみようか。

ストップモーションアニメを作り始める作曲家

で、始めてしまったわけです。
イメージは固まっていました。昔NHKのみんなのうたで見たことのある、『まっくら森の歌』です。あの、美しくて、ちょっと怖い世界を表現したかったんです。100均に行ってはちょこちょこと材料をそろえる日々が続きました。ほぼ100均でそろいます。

■鏡の泉のセットの作り方
用意するもの
・大き目の生け花用スポンジ
・コルクボード
・お好みの草や造花
・コケ
・大き目の鏡
・関節が動く人形

作り方
①生け花用スポンジにコルクボード(地面に見立てる)を置きます。
②そこに造花などを適宜好みでトリミングし、ぶっ刺していきます。
③コルクボードに、コケをいい感じにボンドで張り付けて道を作ります。
④コルクボードを適当に切って、池を作り、下に鏡を敷きます。コルクボードの切れ端が目立たないようにコケをくっつけましょう。
⑤最後に(最初にやってもいいけど)、段ボールに森の画像を印刷した紙を貼り、セットの周りの見える部分を覆いましょう。奥行がでた感があります。

造花たちがこんなにいい感じに!

これだけ。ウサギの人形は手芸屋でモールを買ってきて、YouTubeとかの動画を見ながら作ってみましたが、まあこれが難しい。何とかコルクに固定させたくて、足に画びょうを埋め込んでいます。
結局あまり関節は動かせず、撮影では体全体の角度を変えることで動きを表現したので、もしかしたら普通の人形でもそこまで変わらなかったかも・・・いやいや、耳がぴくぴく動かせたし体も屈められたんだ!画びょうで固定できたんだ!!作った意味はあったんだ!!!

鏡がちゃんと水面に見えて、「おおっ!」ってなりました。

作ってみた感想。
全部勘でやったのにそれなりになるもんだな。
自分が一番びっくりしていました。特に、「鏡の泉」ってタイトルなんだし、マジでリアル鏡使ったら泉に見えるんじゃね!?ヒャッハー!というノリがここまで功を奏すとは思っていませんでした。本当に澄んだ泉に草花やウサギが映りこんで、しかもいい感じにちょっとぼやけているという完璧な絵になりました。

撮影はPanasonicのLUMIXのDC-GF9というミラーレス一眼レフを使いました。なんか一番いいハイビジョンみたいな設定で撮ったんだけど、設定よくわかってなくて対比ミスってちょっと画面小さくなっちゃった…テヘペロン!もうそんなことはどうでもいいんです。ここまで素人がやったんだから、やったもん勝ち努力賞なんですヨ。

「おつかれさま!」とうさぎが言っております。

と、今回はストップモーションアニメ制作を中心にお話しましたが、実は材料をそろえてから撮影まではかなりのブランクがあったんです。とりあえずセットだけ作って、玄関に置いといたんですが、近くを通る度に「あー撮らなきゃ…撮らなきゃ…」という焦りに襲われていました。
で、結局撮るしかなくなったわけですが、それにはあるきっかけがありました。そう、運命のスタジオとの出会いです。

文字数が多くなってきたのでこの辺で。次回はいよいよカメラマン探しや、スタジオでの撮影のお話をしようと思います。



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