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【名医取材記#11】原因不明の病気を診断する「総合診療専門医」に注目する話

元気でなければ病院には通えない!?

皆さんは病院に行くときに、一度に全身の状態を診てくれる診療科があったら良いと思いませんか? 実はそういう診療科が実際にあります。今回の取材記は、「総合診療専門医が日本の医療を変える」という話を書きます。
現在の病院は、各診療科がとても細かく分かれています。これは、各分野が高度な診断・治療をするためにより専門化されているためです。日本は、全国どこでも高いレベルの医療を「保険で」受けることができ、本当にあり難い国だと思います。
一方で、患者にとっては少し困ったこともあります。それは、実際に起こる身体の不調が、各部位で同時に進んでいる場合があるからです。例えば、お腹が痛いし、ひざも痛い、高血圧でもあるといった具合です。複数の病気をかかえているため、丸一日かけて病院の各科を受診するという方もいるのではないでしょうか。まさに「元気でなければ病院には通えない!?」です。誰か、全部の病気をいっぺんに診てもらえませんか?という切実な声があります。
そのようなときに頼れるのが「総合診療専門医」です。全身の状態を総合的に診断し、治療方針を立てて、必要ならば各診療科と連携してもらうことができます。

原因不明の病気も相談できる

総合病院や大学病院に行くと、数多くの診療科がありますが、自分はどこに行ったら良いか分からない場合があります。例えば、「腰が痛いので整形外科に行ったが、痛みの原因がはっきりしない。内臓系の病気ではないかと思い消化器内科に行ったがこれも問題がない。次はどうしたら?」という具合です。
原因不明の不調に悩んでいる方は本当に多く、各診療科で様々な検査をしても原因がはっきりしないこともあります。結局は、「精神科を勧められた」なんて話もあり、患者にとってはだんだんと深刻に考えてしまいます。
こんな時に相談できるのが「総合診療専門医」です。以前、NHKで『ドクターG』という番組がありました。総合診療専門医が原因不明の病気を究明し、病名を特定するというもので大変面白い番組でした。実際に長年、原因不明の病気に悩む患者さんが、総合診療専門医によって原因がわかり、病名が特定できたという例があります。総合診療専門医には様々な側面がありますが、あの「ドクターG」の姿もその一つです。
また、「高齢者で複数の病気を抱えているので、全身を総合的に診てもらいたい」という場合もあります。高齢者は、内科や整形外科、認知症など複数の病気をかかえていることが多いです。このような時には病院の「総合診療科」を受診し、各診療科への連携をお願いするのも一つの方法です。

地域医療の中心となり、様々な連携をとってくれる頼れるドクター

日本の総合診療専門医には大きく分けて二つの役割があるとされています。一つは地域のかかりつけ医としての側面です。かかりつけ医は地元で長期間にわたって診てくれる、家庭医のような存在です。身近にどんな病気も診てくれる頼れる先生がいて、家族も含めて様々な相談に乗ってもらえるのは大変心強いです。
もう一つは大きな病院の総合診療専門医としての役割です。どの科に行って良いかわからない患者さんを振り分ける役割や入院、救急などの場面で幅広い問題に対応しています。
また、総合診療専門医は様々な業種の医療関係者との連携をとってくれるのも特徴です。患者さんを中心としてケア・マネージャー、ホームヘルパー、介護関連施設などと連絡を取り合い、良い関係を作ってくれる、大変ありがたい存在でもあります。

今後の超高齢化社会に向けて、総合診療専門医の役割はますます大きくなっています。総合診療の訓練を受けた専門医数はまだまだ少ないですが、『国民のための名医ランキング』では総合診療専門医に大注目して、全診療科の最初に掲載して応援しております。総合診療専門医がどんどん拡充し、日本の医療をさらに充実させ、国民の支えとなってくれることを願っています。

皆さまがより良い方向に進むことを心よりお祈りいたします。
全国の名医を探す取材は続きます!


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