見出し画像

eスポーツが社会に浸透して、成長するためには、e「スポーツ」を紐解くのが早そう

かなり久しぶりにnoteを書いております。

ここ最近は仕事が多く、中々eスポーツについて関わることができておりませんでしたが、やっとeスポーツ関連のことも行っていけるようになったので、その過程で出た疑問と、それについての我々なりの結論をここで掲示しようと思います。

ただ、結構内容が濃いのと、ビジネス的な観点でヒントになるのではないかというくらい貴重な情報を盛り込んでいるので、恐れながら途中から有料で公開させてください。

Ⅰはじめに

 最近、スポーツはその領域が拡大・多様化されており、マイナースポーツと呼ばれる新種のスポーツが増加している傾向にある。
 そして、ゲーム産業の急激な発展により、ゲームを主体としたイベントが日本の各地で定期的に開催されるような現象が起こっており、韓国では世界最初に「プロゲーム制度」が導入され「プロゲーマー」という新しい職業が誕生することになる。プロゲーマーが2003年「韓国職業辞典」にて、ゲーム関連職業分野として新しく登録され、1つの職業として認定を受けるようになったからである。
 この結果、各国でゲーム専門のチャネルやプロゲーマーに関する団体の創立など、様々な様式を作り出すことになる。
 諸説あるが、eスポーツという言葉は韓国が発祥と言われている。

 eスポーツは、ゲームと電子メディアを活用し、観戦だけでなく直接その場に参加することが可能となり、オンライン・オフラインでコミュニティを通じて文化活動ををすべて含む新しい領域として、参加人口が今後ますます増加する成長産業である。

 eスポーツに対して見解を重ねていく中で、そもそもスポーツという言葉の定義にeスポーツが即していないのではないかという議題を基に様々な立場の人物と意見交換をすることができたため、eスポーツプレイヤーやeスポーツに関係するすべての人々が改めてeスポーツに向き合えるようにし、eスポーツの今後の発展を目指すことを目的としている。

 以上を踏まえて、本稿では、スポーツ分野の理解と性質を考察し、eスポーツを社会に受け入れられるようにすることの考案を主な目的とする。そのために、まずⅡではeスポーツに関するフレームワークとして、eスポーツとスポーツの定義と特徴について、Ⅲではeスポーツをスポーツの観点から分析を行い、Ⅳではeスポーツが本来のスポーツ興行として日本においてさらに確立されるための成長戦略を構築し、最後のむずびとして、スポーツマンシップについてeスポーツが大きく影響することを述べる。そして、本稿では主に各種文献と関係者の聞き取り調査、プロ大会の観戦と我々の独自調査などにより、eスポーツを分析・把握し、スポーツとしての構築を試みた。

Ⅱeスポーツとスポーツに関するフレームワーク

1.eスポーツの定義と特徴
 1)eスポーツの概念

 韓国においては1990年代初頭、サイバーアスリートやデジタルアスリートなど、様々な名称があったが、1990年代末プロゲームリーグ(PGL)とサイバーアスリートプロフェッショナルリーグ(CPL)などが開催され、プロゲーマーという名称と同時にeスポーツ(電子競技・電子スポーツ)と呼ばれるようになった。
 eスポーツは短い歴史ではあるが、目まぐるしい発展を見せている。
 eスポーツに対して大衆が疑問に持ちやすい事柄として、「どのゲームタイトルがeスポーツに該当するのであろうか。」というものである。この疑問において、eスポーツに関する定義を語る上で、標準的に認定され、合意された定義は存在せず、研究や団体により多様な定義が用いられている。

 2)eスポーツの特性

 eスポーツの特性はゲーム的属性とスポーツ的属性に分けることができ、ここに加えて電子メディアを利用することからくるオンライン的属性などに区分することが可能である。
 eスポーツがもっているゲームとしての属性はそのほかのスポーツとは区別されることが多く、eスポーツのみの特性と言える。

 eスポーツは基本的に競技または競争を通じた活動としてのスポーツの属性を持っている。
 競争を行うには対戦相手が必要であり、選手や大会の状況を把握できるように記録が取れる仕組みが必要である。これは、スポーツ観戦を行う上で、観客が試合の進行状況などを把握するために必要だからだ。
 

 後述するスポーツの定義に加えて、eスポーツは電子ゲームを用いた競技であり、その代表的な特徴の一つとしてはフィジカルに依存しないということである。この点においては将棋やチェスなどのマインドスポーツも共通する部分ではあるが、マインドスポーツと違う特徴としては、電子メディアを利用することからくるオンライン的属性であり、これによってプレイ環境が整っているという条件さえ満たせば、競技選手同士はどこにいても競技をはじめることが可能となる。

2.スポーツの定義と特徴
 1)スポーツの概念

 普段、我々が何気なくスポーツという言葉を使っているが、スポーツとはどういう競技を指すのかを十分に理解しておく必要がある。
 国語辞典によれば「陸上競技、野球、テニス、水泳、ボートレースなどから登山、狩猟にいたるまで、遊戯・競争・肉体的鍛錬の要素を含む身体運動の総称」とある。
 余暇を利用した身体を使った活動、俗にいうレジャー活動に「競う」要素も含まれることでスポーツの基礎が成り立つのである。

 以上のことから、スポーツの概念は「運動」+「ゲーム性」と定義する。
 研修者の間ではスポーツの定義は「学者の数だけある」とさえ言われており、様々な意見が分かれることが予想されるが、本稿では上記のように定義することで、本目的を達成することとする。

 2)スポーツの特性

 そもそも、どうして「運動」がスポーツの定義に含まれる様になったのか、国語辞典に書かれるようになった歴史を紐解くことにした。

 今日、日本において一般共通認識として用いられているスポーツの定義は17世紀〜18世紀のスポーツの要素が大きい。野外での自由な活動、とりわけ狩猟活動を意味している。これは、近代スポーツ発祥の地とされる英国での暮らし方が大きな影響を与えていると考えられる。これが19世紀に入ると、スポーツは競技的な性格を帯び、屋外で行われるゲームや運動への参加、あるいはゲームの総称に育つのである。

 スポーツが日本に輸入されるのは、主として明治時代初期である。
ただ、運動するというフィジカル的要素は導入されていたが、遊びの要素は切り捨てられていたといっても過言ではない。
 戊辰戦争を経て武士の世を倒した文明開化の日本は、欧米列強と肩を並べるべく、近代国家建設に慢心しており、スローガンとして「殖産産業、富国強兵」を掲げていた。そのため、欧米にならい、肩を並べることを夢見ていたのである。
 輸入されたスポーツは「楽しむ」よりも、「身体を鍛える」ことを主体としており、人材育成のための明治の三育として、スポーツは「体育」にあてがわれ、軍隊と学校をゆりかごとして浸透し、成長したいった。
 さらに、日本には古来、身体活動を通して精神を磨くという伝統が色濃く残っており、武士道に代表される「道」は、能狂言や茶の湯、生花といった「楽しみ」にさえ極めることを求めたのである。
 馴染み深い言葉で「茶道」や「華道」である。

 明治の気骨を支える基礎と言えるが、ここに今日のスポーツにおける「不幸」が始まったのではないかと考える。
 明治文化史研究科の「木村毅」は、「日本スポーツ文化史」を以下のように書き起こす

「日本人は、スポーツには縁の薄かった国民である。スポーツという以上『楽しむ』要素が強くなくてはいけない。しかし、武士道のストイックな、ある意味ではヒューマニズムに背反した道徳的訓練では、楽しむことを罪悪のように考えた。そうでなくとも児戯として軽んじた」

 つまりは、本来スポーツが持つ特性とは、武士道のようなストイックな訓練ではなく、楽しむ要素が強くなくてはならないということである。

Ⅲeスポーツをスポーツの観点から分析する

 スポーツはフィジカルに依存している、故に「運動が得意、不得意」という感情と、そこから始まる「好き、嫌い」が存在している。
 運動が得意な人は「スポーツ」を通じて日本のスポーツの特性の一つである「武士道」のように、精神を磨くという方向でスポーツマンシップにふれることが可能である。しかし、運動が苦手な人はどうだろうか。
 そもそも、先述の通りスポーツとは「運動」+「ゲーム性」である。
 このことから、eスポーツを通して「スポーツ(ゲーム性)」を体験することで、運動が苦手な人でも「スポーツマンシップ」に触れることが可能になるのではないだろうか。

 歴史を辿ると、武士道のような楽しむ要素が少ないスポーツについては、社会に受け入れられやすいのが現状である。野球などから始まり、身体を動かすスポーツは主に受け入れられやすく、武士道的要素を反映させやすい。その他、能狂言や生花などの楽しみにまでこの武士道を極めるように求められている。

 古くより、これによってスポーツ文化が日本に定着していき、この精神を磨く武士道という仕組みがないスポーツについては、日本では浸透せず、人々からはマイナースポーツと呼ばれている存在となる。

 では、eスポーツが日本社会でもっと受け入れられるようになるためには、どのようにすれば良いのだろうか。

ここから先は

8,249字

¥ 1,100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?