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耳屋⑧ 運転手はバランタイン、そしてワタシはトミーです

もう30年も前にね…。
って、自分の人生に30年前が存在するなんて、自分の事なのに馴染めない。

学生時代に友達と初めての海外旅行に行ったの。
ニューヨークへ。
友達も私も英語を使ってみたくて、それならアメリカ。アメリカならニューヨークって一択だった。

当時のニューヨークは、今より随分治安が悪かったと思う。
その中、ハーレムのアポロシアターでアマチュアナイトを見る、スタートしたばかりのツアーを申し込んだの。

今なら、アポロシアターにはツアーなんて申し込まなくても行けるようになってるのかな?
当時は、昼でも危険だから立ち入れないエリアだったんだ。

バスツアーとは言え、夜のハーレムに立ち入るのはすごい冒険。
夕方、ツアーのバスにワクワクながらも緊張しつつ乗り込んだ。

ハーレムで浮かない様に黒人の運転手、そしてニューヨーク歴が長そうな日本人のコーディネーターの男性が添乗した。

その添乗員がツアー参加客への第一声…。

「運転手はバランタイン、そしてワタシはトミーです」

ガッツリ日本人の風貌のコーディネーターの言葉に、私と友達は顔を見合わせた。

私「富田さんかな?」
友達「富夫さんかも?」

友達と私「富田富夫さんか」

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