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カラーヴァイナル採集部隊。

表題の通り。無形化の時代に、敢えてフィジカル盤として手元に置く理由。無論それは「記録として残す」べき価値があるからで、あるいはコレクター気質の終着点とも言える。確かに希少性は高いけれど、純粋な音質なら黒盤レコードに到底叶うものはない。ポリ塩化ビニル樹脂にカーボンを添加し、強度と低音感を加える。顔料マシマシのカラーヴァイナルなんて邪道。

そう揶揄された時代がありました、お待たせしましたここからが本題です。果たして令和の時代にも妥当するのか、この目で確かめてやろうじゃない。まさかの海外ショップまでも活用した割とスケール感の広い買い物指南書、単純に「限定盤」の響きに惹かれただけじゃねえのとの声も根強いがしかし近年、主宰の琴線に振れる銘盤のリリースが後を絶たないのもまた事実で。

令和版米騒動、フジロックの名演に心打たれたファンの買い占め事案多発。瞬く間にショップから消えた砂原良徳氏不朽の名作、満を持してリリース。業界人の多くに機材新調時、リファレンス音源としてプレイされているとの逸話もある。確かな品質と色褪せぬ輝き、20年かけて時代がやっとこの音に追い付いたそんな実感すらあります。本当に、あっという間に売り切れた。

しかしインタビューを散見するに、決して満足いく出来栄えではなかった。ゆえに自らの手でミックスダウンからやり直す。Optimized Re-Masterなんて仰々しいタイトルが付いてますが本当に一聴の価値アリです。全く違う作品として五感に訴えかけてくる。そして本稿メインテーマであるカラー仕様、金色に輝くエメラルドグリーン。齢31にして、一生の宝物を手にした。

得体の知れぬ業者さんから輸入、念願のピクチャーヴァイナルデビュー。Men I Trust『Oncle Jazz』との究極の二択を制し、我が家のコレクションに仲間入り。もじゃもじゃヘアーが、ターンテーブル上をクルクル回る幸せ。もしも8年前、関西某所のビレッジヴァンガードで名曲「Lost & Found」を耳にしていなければこの感動は味わえなかった。

奇しくも砂原氏同様、作品の完成度に満足できなかった経験から5年の歳月を経て辿り着いた新境地。セルフタイトルを付けたことからもその充実度が窺えます。本作LPはミンドグリーンカラーの限定盤もリリースされており、マニアの方は即買い必至です。緑で揃えるのもなかなかオツなんですけど、せっかくならいろんなタイプのコレクションをとの気概から。

宮田麺児以来となる「幸せの黄色いハンカチ」オマージュか。昨今のコロナ禍を憂う作風こそ数多く存在しますが、ここまで音楽性に昇華しプラス軸に推し進めたアルバムは恐らく今後も出てこないはず。時代の象徴として又は証人として、イエローヴァイナル購入を決めた。音を奏でる喜びと、それを味わうことのできる喜びとが共鳴する無敵の時間。

黒盤だって広義におけるカラーヴァイナルなのであって。この度、15年振りに待望のリイシュー。主宰が人生最も聞いたアルバム選に間違いなく入ってくる銘盤中の銘盤です。ボーナストラック「Another Rainy Day」もしっかり収録、このタイミングを逃すと次のリイシューはまた15年後なんてことにもなりかねませんから。欲しい時が買い時。このチャンス逃すまい。

ここ10年以上根詰めて追いかけてきたIndie R&B/ポストソウル界隈。10年代を代表するアルバム、と訊いて真っ先に思い浮かべたのはやはりJessie Wareの1stで。もしもSADEが電子音楽路線に舵切りしたら、恐らくこんな風だったろうなを地で行く問答無用の名手。長年入手困難だったLP盤をこの度ようやく手にするチャンスが来た。まさしくネット時代の勝利。

そして11月下旬、我が家にやって来る新顔を紹介して〆ます。2021年、業界を震撼させたInfloのプロデュース力。Little Simz、SaultそしてCleo Sol。今季のベスト盤候補ばかりが並びます。中でもCarole Kingの再来、Minnie Rippertonの生まれ変わりと各方面から絶賛された彼女の最新作をチョイス。針を落とす瞬間が本当に待ち遠しい。以上、採集隊からの調査報告でした。

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