2023.4.23 米台接近で焦る中国
今、中国が物凄く怒っています。
突然、台湾の政治家への制裁を発表し、台湾をぐるっと取り囲むように軍事演習を行いました。
急な中国の軍事行動のきっかけになったのは、4月5日に行われた台湾の蔡総統と米国議員との会談です。
台湾の総統と米国政治のNo.3、下院議員を含む有力な議員19名と会談したのです。
中国の反応を見ていると、無視できないほどの重要会談だったことが分かりますが、何が話され、どんな意味を持つのでしょうか?
今回は、最新の米台外交について、少し書いていこうと思います。
外交は銃を持たない国防
外交は、国防とセットで国を守る両輪です。
外交とは銃を持たない国防で、国防とは銃を持つ外交なのです。
しかし、残念ながら台湾と国交を持つ国は13ヶ国しかなく、本当の意味での外交を行うことができていません。
民間外交や実質外交というものもありますが、やはり限界があります。
例えば、台湾の現職の元首や指導者は日本に入国することはできず、逆に、日本の首相も台湾には行くことができません。
そうなると、軍事協力など重要な話をする指導者同士の交流はできないのです。
そんな中、唯一、国交を持たなくても台湾の指導者が行ける国がアメリカです。
それでも正式に訪問するわけではなく、トランジット外交という形で他の国に行く経由地として訪れるのです。
この形の外交だと、通常はアメリカの高ランクの政治人物と会うのは難しいのですが、今回はケビン・マッカーシー下院議長と蔡英文総統の会談が実現しました。
この会談が良かったかどうかは、中国の反応を見れば分かります。
会談が開かれる直前、中国大使館はマッカーシー下院議長をはじめとする19名の下院議長に恫喝のメールを送りました。
しかし、この恫喝に屈することなく、蔡英文総統の会談に19名で丁重に出迎えたのです。
この様子は全てマスコミに公開され、その場に駆けつけて来たマスコミは世界中から160社にも上りました。
この数を見ただけでも、今回の会談がどれだけ世界から注目されているか分かります。
会談は2時間に及び、通訳なしで行われました。
会談後に共同記者会見が開かれ、その後マッカーシー下院議長とその他議員はまた独自の記者会見を開きました。
また下院議長は余程興奮したのか、蔡英文総統と会ったことをTwitterで6回も投稿しています。
会談の場所にも意味があると考えられます。
今回の会談の舞台となったのは、レーガン大統領記念図書館でした。
レーガン大統領は反共産主義の代表人物で、共産主義のソ連から冷戦を勝ち取った大統領でもあります。
レーガン大統領の姿勢は力による平和で、今のバイデン政権とは違いますが、この場所にもそのようなメッセージが含まれていると言えます。
会談の内容
蔡英文総統は、台湾は世界で信頼されるパートナーになることに対し、物凄く努力をしていると発言しました。
そして、平和と民主はかつてないほどの挑戦を受けていると話しました。
マッカーシー下院議長は、今回は超党派の意向ということを強調しました。
超党派で台湾を支持しており、これは米国の民意が台湾を支持しているという表れだと言えます。
バイデン政権に対する3つの注文
マッカーシー下院議長は今後重要な動きとして、バイデン政権に対し3つの注文を述べました。
①台湾への武器売却の強化とその引き渡しのスピードアップ。
②米台間の経済、特に貿易と技術交流の強化。
技術職の人材交流を進めるための二重課税の解消。
③共通の価値観を米台一緒に広めること。
つまり、民主、自由、人権の価値観を一緒に広めることで、台湾が国際舞台で活躍する後押しをするべきだと言いました。
今回の会談は、台湾の重要性を全世界に認識させる良い会談になったと思います。
今後の流れとして、台湾を国として認めるという方向に向かっていくのは間違いないと思います。
今回の会談は非常に重要であったので、色んなマスコミが報じましたが、そんな中、日本では、非常に意図的な翻訳をしたマスコミがありました。
ケビン・マッカーシーのスピーチの言葉には、
「The friendship between the people of Taiwan and America.」
とありました。
これを“日本経済新聞”は、
「台湾市民と米国民の友好」
と訳したのです。
一方では市民、一方では国民と訳しています。
“台湾国民”という言葉を意図的に使わず、本来の意味を歪めた悪質な報道でした。
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