見出し画像

2023.6.14 307年間…日本人を翻弄してきた魔書

『魔書』誕生の秘話

これは良書か、悪書か…。

307年間、日本人を翻弄し続けてきた『魔書』が存在しました。

天才作家である三島由紀夫は、
「私が感銘を受けた、たった1冊の本」
と絶賛しましたが、総理大臣を務めた大隈重信は、
「実にくだらない本」
と吐き捨てています。

なぜ、たった1冊の本で、180度も評価が分かれてしまうのか?

私たちを翻弄し続けてきた魔書は、その強力な魔力によって日本の歴史をも動かしてきました。

果たしてこれは良書なのか、悪書なのか…。

幕末、明治維新、大東亜戦争、GHQ占領期など、時代を越えて多くのニッ本陣の運命を変え、時には惑わせてきた禁断の書物だが、実は、ある意外なきっかけから生まれたものでした…。

意外なきっかけとは?

魔書が生まれた意外なきっかけ…。
それは、とある侍による『口伝(口伝え)』でした。

部隊は、今から遡ること307年前の江戸時代(1716年)、佐賀藩に山本常朝じょうちょうという一人の男がいました。

彼は昔、佐賀藩の重臣でしたが、尊敬していた主君が死ぬと悲しみの余り山に籠り、誰とも会わずに毎日を過ごしていました。

そんな彼の許に、ある人物が訪ねてきたことで、物語は動き出します…。
その人物とは、田代陣基つらもとという男。

佐賀藩にリストラされ、失意の余り山本のところを訪ねてきたのです。

二人の会話はこのようなものでした。
田代「山本殿、拙者はこの先どうすればいいのか…」
山本「それでは田代殿、いい話を聞かせてあげよう…」
田代「ほう、一体どんなお話ですか?」

山本は、先人たちの思想や人生哲学について口伝えで教えてあげました。
その教えは、悲嘆に暮れていた田代にとって、胸が救われるほど素晴らしいものばかりでした。

以来、田代は山本のところへ毎日通って、話を聞くようになりました。
気が付けば悲しみも吹き飛び、落ち込んでいた心もすっかり晴れていました。

話に魅了された田代は、いつしかこう思うようになりました。
「口伝では勿体ない。全て書き留めておかねば」
そうして7年もの歳月を掛けて、前11巻に及ぶ膨大な書き写しを作ったのです。

ところが、喜びも束の間、山本は驚くべきことを命じました。
原文にはこうあります。
「この始終十一巻は追つて火中すべし」
「他見の末々にては意恨悪事にもなるべく」

現代語に訳すと、
「田代殿、この書き写しは、必ず全部焼き捨てよ」
「誰かに見られると、恨みや憎しみを生み、、好ましくない事態に陥ってしまうだろう…」
山本は続けて、
「これはただの書き写しではない。解釈を間違えれば、読み手の人生を破滅へと導く恐ろしい『魔書』だ…」
「まさか、こんな書物が世に出回っては一大事。その前に焼いてしまえ」
山本はその存在を危惧して、厳しく忠告したのです。

ところが山本の死後…、そのまさかが起こってしまいました。

予想外の結果を生んだ魔書

ここから先は

3,562字 / 1画像

¥ 144

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?