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日本の運命を決めた20時間

GHQに狙われた靖国ーー日本の魂を守った20時間の戦い

1945年11月19日の黄昏時。

このとき、戦後日本の全ての神社の運命を決める20時間が始まった。

「社殿を爆破してしまえ」

「靖国神社こそ日本の軍国主義の諸悪の根源だ。早く焼き払え!」
「日本人が好戦的なのは、『神道』のせいだ。神道を潰すために、神社を全て無くしてしまえ。」

当時、終戦直後の占領期。
GHQの内部では、日本の「神道」を廃止し、日本人の精神を改造するための動きが活発になっていた。

日本人にとっての神道とは、いわば国民道徳。
「いただきます」や「ごちそうさま」といった、国民の生活に根付いた「日本国民の心」と言えるもの。

その精神文化である「神道」を破壊するために、彼らが真っ先にその矛先を向けたのが、日本の英霊たちを祀る靖国神社だった。

「11月20日に靖国神社で慰霊祭が行われるそうだが、視察を行い、少しでも軍国的な要素があれば排除しよう。」

この視察の結果がGHQの「神道」そのものの評価にもつながり、日本全国にある何百という神社の消滅に繋がることすらあり得る。

2000年以上も続いてきた神道や神社の歴史が途絶えるかもしれない…、そんな危機を迎えていた。

しかし、ここで日本にとって幸運が舞い込むことになる。

なんと、1人のアメリカ人が靖国の危機を知らせに来たのだ。

その男とは…、

当時のGHQ側の宗教課長、ウィリアム・バンスである。

バンスは、たった1人だけ…、あるに日本人だけにこう密かに告げた。
「靖国神社で、ちょっと面倒なことが起こっている。」
「明日、GHQ側の数人で靖国神社の視察が行なわれることになったのだが、その印象次第では、靖国神社の運命が決定的になってしまうかもしれない。」
「それは、日本全国の神社全体が存続するかどうかにも響くだろう。」

バンスからこのような密告を受け取ったその1人の日本人の名は、岸本英夫。
岸本は宗教学者として日本の教育改革を進めていたGHQ側に、日本の宗教的観念を教える役を頼まれていた。

バンスもはじめは、「神道は日本国民を好戦的に煽ったり、激しい活動をさせる宗教」という考え方を持っていたが、岸本から日本の宗教観を教えられ、それにより考え方を変えていた1人だった。
そうした経緯から、バンスは岸本に情報を流したのだった。

しかし、岸本がこれを伝えられたのは、11月19日の夕刻。
靖国神社の慰霊祭は翌日の10時には始まってしまう。

残り時間は24時間もなかった。

岸本は必死に考えを巡らせる。

「明日は、戦没者を合祀する慰霊祭に昭和天皇が親拝する。今はその前夜祭が靖国で行われているはずだ。」
「万一のことがあれば、自分の身はどうあれ、その巻き添えは全神社に及ぶ。」
「今すぐ行けば間に合う。」

岸本は靖国へと走った。

岸本が靖国神社に到着した時、前夜祭はすでに終わり日が暮れていた。
すぐさま、陸海軍将校の祭典委員が30人弱ほど集まってビールを飲んでいるところに駆け寄る。

そして、彼らに緊迫した状況を説明する。
「今日、こうやって賑やかにお祭りをしておられるが、問題は明日にあります。もし明日のお祭りがあんまり派手な軍国調になると、靖国神社や護国神社の将来が大変難しいことになります。」

しかし、将校たちは敗戦の鬱憤が溜まりに溜まっている状態。
「アメリカがなんだ。我々にサーベルを外させた上に、まだそれでも足りないで、戦死者を弔う祭りまで止めさせると言うのか。けしからん!」

将校たちは岸本の言うことに聞く耳を貸さない。
それでも岸本は、全ての神社の未来のために諦めることはしない。
1時間ほどの押し問答した後、
「もし、今後の靖国神社の運命に万一のことがあったら、あなたがたは一体どうする気なのだ!!」

そう一喝し、詰め寄った。
そして、岸本は話を続けた。

「明日は、軍服を脱いで、背広を着てくれ…」

祭典から軍国調を取り除くために、軍人にも一般市民と同じように背広を着るように約束を取り付けようとしたのだ。
終戦直後の当時、学者である岸本と軍人では、対等に意見など聞いてもらえない可能性すらあった。

しかも、アメリカ人が視察に来るから…、アメリカ人の都合で…。

ともに大戦を戦った英霊たちを祀る神聖な祭事に、軍人の魂ともいえる軍服を脱げと言われているのだ。
軍人にとって、簡単に受け入れられるようなものではなかった。

靖国を守るか、軍人としての誇りを守るか…、その葛藤が、彼らの中に渦巻いていた。

そして、一抹の不安を抱えながら迎えた当日。

岸本とバンス、そしてGHQ側の役員2人が見守る中、慰霊祭は始まった。

そこには、一般市民と同じように背広を着た軍人たちの姿があった。

それだけではない。

元々、軍楽隊の奏楽を流す予定が、雅楽などの古典的なものになっていた。

その中を昭和天皇が、祖国のために戦った英霊たちへ鎮魂の祈りを捧げる。
昭和天皇は前日から風邪をひいて熱があったが、「この行幸は大切なれば是非行く」として参内をしていた。

晴天に恵まれた靖国神社には、派手な軍国主義の色彩が取り除かれた、静かで厳かな雰囲気が流れていた。
その様子をバンスと岸本、GHQの他の者も静かに、そして親しく拝観する。

この大祭の様子を見たGHQ側の大佐は、のちに靖国神社での祭典を人に語り、
「神社神道は欧米で考えられているような野蛮なものではない。」
と自ら進んで説明するようになったほどだった。

GHQの神道に対する意識を一変させた戦い。
これにより靖国神社のみならず、日本の魂を守りきったのだ。

岸本ら先人たちの必死の頑張りによって、靖国神社をはじめとした日本の神社や神道は、GHQの魔の手から守り抜かれました。

しかし、GHQが日本人の精神ともいえる神道を潰すためにしたことは、これだけで終わりませんでした。

その魔の手は、日本の中心である「天皇」にまで及んでいたのです。

日本を内側から改革させるため100万冊、200万冊…と、合計1000万冊もの聖書が日本中で配布され、マッカーサーの要請に応じて、3000人を超えるキリスト教の宣教師らが続々とやってきました。

そして、追い打ちをかけるように、‟昭和天皇”がなんと「キリスト教に改宗する…」という噂が流れ始めたのです。
(当時の朝日新聞では、「天皇、皇后両陛下はキリスト教に多大の関心を示されている」と報じられ、日本中が大きく揺れ動いた。)

一体この時、宮中で何が起きていたのか…?

マッカーサーをはじめとするGHQは、どのような手を使い日本人の精神を破壊しようとしたのか。

昭和天皇をはじめとした私たちの先人たちは、どのようにしてGHQの精神改革に対抗したのか。

しかし今の私たちには、GHQの手口も天皇陛下や先人たちが神社・神道の精神を守るために、必死に奔走したこうした姿や事実も伝えられることはありません。

「二度と強い日本を見たくない」という思いで、日本の文化を、日本人の精神を、魂を破壊しようとしたGHQの占領政策…。

その影響で私たち日本人は、太古の昔から日本に続く天皇と神道の関係や本来の意味合いについて、深く意識する機会を奪われて現代を生きることになってしまったのです。

戦時中、アメリカは日本に対し、凄まじい恐怖心を抱いていました。

自らの命を顧みず突っ込んでくる神風特別攻撃隊。

軍人でもない民間人が必死の抵抗を見せた硫黄島での戦い。

年端もゆかぬ男子が、爆弾を抱えて戦車に突撃した沖縄戦。

日本人のその驚異的な滅私奉公の精神は一体どこから来るのか。
得体の知れないソレに恐れおののいていました。

そこでアメリカは、二度と日本がアメリカの脅威にならぬよう、日本人の精神を完全に骨抜きすることを決定。
日本人から愛国心、誇り、滅私奉公の精神を消し去るため、戦後GHQが日本人の心であった「神道」を改変していきました。

例えば、「日本は神の国である」という考えを抹消すべく、天照大神や神武天皇といった日本の建国神話を教える国史の教科書は全て焼き払い、天皇からの直接的な教えであり滅私奉公、無私、利他の精神など、日本の美徳を育む修身の授業も全て禁じました。

しかし、全ての教科を禁じては授業ができないので、他の教科については天皇や神道に関する部分を削除して使用することにしました。

そうして作られたのが、この墨塗りの教科書です。
この墨塗りは自分たちの手で行わなければなりませんでした。
自分たちの国の教科書を、自分たちの国の成り立ちを、自分たちの国の精神を、全て自分たちの手で黒く塗っていくのです。
その時の屈辱は想像もつきません。

こうして日本の教育から天皇や神道に関する記述が消し去られました。

そのため、戦後の教育を受けた日本人は、天皇が本来、祭祀者としての役割を持ち、神道と密接な繋がりがあることも、神道が我々日本人にとって、どれほど深く根付き大切なものであったかも、日本は天皇を中心として国家の安寧を保ってきたことも、日本の皇統は2000年以上続く世界最古の伝統であることも、そんな日本人にとって誇らしいことを、そして何より、その神道を守ろうと奔走した先人たちの「心と魂」を全て忘れてしまいました。

まるで、脳の一部を切り取られてしまったかのように、神道と皇室の繋がりに関することだけスッポリと記憶が抜け落ちてしまったのです。
そうして、日本人の一番の誇りである皇室と国民を繋ぐ「神道」について、何もわからなくなってしまったのです。
果たして、このままで良いのでしょうか?

天皇や神道といった日本の存在そのものと密接に絡み合う記憶を失ったままで良いのでしょうか…?

アメリカやフランス、中国といった国は、必ず歴史の授業で自国に成り立ちを学びます。

自国の歴史を知らないのは世界でも日本人だけと言っても過言ではありません。

それにもかかわらず、自分は日本人なのだと、胸を張って言うことができるでしょうか。
日本の一番の誇りである天皇と神道について、何もわからないままで良いのでしょうか?

海外の人の方がよっぽど日本の中心である天皇のことを知っている。それは、日本人として恥ずかしいことではないでしょうか。

このまま私たちが何も分からず、子供たちに伝えていくことができなければ、過去先人たちが2000年以上にわたって連綿と受け継いできた世界最古の日本の皇統と神道を、私たちの代で消滅させてしまう可能性すらあります。
そうなってしまっては、取り返しのつかないことになってしまう。

命を懸けて日本を守り抜いた先祖、これから日本を受け継いでいく私たちの子供の代、孫の代に申し訳が立たなくなってしまう。

そんな最悪な事態は防がなければいけないのではないでしょうか。

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