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2023.8.29 【全文無料(投げ銭記事)】人口100万都市を水没させた習近平

・人為的大洪水
・頭金を払ってもマンションを受け取れない消費者
・地下道で寝泊まりする農民工

等々…、独裁国家の中国で様々な事が起こっている中、8月24日の記事でも少し触れましたが、今回は台風5号によって引き起こされた中国皇帝の独裁に苦しむ中国国民の今について書き綴っていこうと思います。


日本からの水産物を輸入禁止とした中国皇帝の独裁ぶり

8月26日付の朝刊で、朝日新聞は
<中国の禁輸 筋が通らぬ威圧やめよ>
と、東京電力福島第一原発の処理水放出を理由に、中国政府が日本からの水産物輸入を全面的に止めると発表した事を批判しています。

朝日新聞のこうした論説を読むと、
「少しは日本のことを思える新聞社だったんだな」
と、僅かながらに安心します。

中国で発行された原子力専門書『中国核能年鑑』によると、浙江省の秦山原発は2021年に218兆ベクレルと、日本の処理水の海洋放出計画が設ける年間上限“22兆ベクレル”の約10倍に相当するトリチウムを放出しています。

中国政府自身が公表したこの数字を使って、今後は国際社会に向けて、
「現在のトリチウム放出量は中国秦山原発の8%だ」
といった発表をすれば良いと思います。

何れにしても、真面まともな国で中国政府の反対に同調する国はなく、中国の非論理的な対日批判は常軌を逸しています。

恐らく“裸の王様”となった習近平の独断でやっていることで、取り巻き連中には、そんな“皇帝の独裁”を止められる人がいなくなってしまったことが想像できます。
そして、なにより、この独裁者には、自国民の苦難も全く眼中に無いことが分かります。

日本の報道では、国内の困惑ぶりのみが報道されていますが、同様に中国内でも安全安心な日本の水産物が手に入らずに困っている業者やレストラン、消費者がたくさんいるでしょう。

せっかく良い機会ですので、この際、日本国民が皆で魚を食べて、水産業者を守り、これを通じて食料自給率を上げる方向で努力しましょう。

それが日本の経済的安全保障にも繋がるのです。

100万人都市が習近平肝煎りの『鬼城ゴーストタウン』を護るために水没

習近平皇帝の中国人民無視は、先日の北京の洪水でも見てとれます。

北京の南西60kmほどに位置する涿州たくしゅうでは、水深6mもの洪水が街を飲み込み、3階建て以上の建物や交通信号などが、やっと水面からのぞく他は、街並みが水の底に沈んでしまいました。

河北省全体では死者29人、行方不明者26人、被災者は388万人と公式発表されていますが、実際の被害はこれより1桁か2桁多いのではと言われています。

この被害も、実は習近平の人民無視の人災だという声が出ています。

中国の洪水対策は、予め低地を“遊水地”と決めておき、洪水になりそうになったら、そこに水を流すというものです。

今回、大洪水となった涿州は北京を守るための遊水池だったのです。
人口100万の都市を、北京を守るための遊水地にしているという、日本では考えにくい何とも豪快な対策です。

更に凄い話として、実は涿州の上流に華北最大の遊水池『白洋淀はくようてん』がありました。

ここには広大な湖沼群があり、人があまり住んでいない低湿地帯です。

ここを遊水池として活用すれば、涿州が洪水に襲われることもなかったはずですが、不幸なことに習近平がこの地に目をつけて、人口2000万人規模のスマート・エコシティー『雄安新区』の建設を始めたのです。

専門家たちは、
「必ず大水害が起きる場所に都市を造るべきではない」
と反対しましたが、習近平としては、深圳しんせんを大都市に育てた鄧小平を超えようと、“習近平が自ら発案、計画、指導”して巨大プロジェクトを始めました。

既に5000億元(約10兆円)を投じて、多くの高層ビルや巨大なスタジアムが作られています。

しかし、企業も、わざわざ北京から100kmも離れた僻地に移転するメリットはなく、人もあまり住んでいない『鬼城ゴーストタウン』となっており、建設工事も殆ど止まっています。

習近平の機嫌を損ねないよう、この鬼城を護るために、100万人が住む涿州が身代わりとなって水没させられたのです。

人口14億の中国で34億人分の住宅を作ってしまったバブル経済

鬼城は『雄安新区』だけではありません。

中国の各地にある大都市には、超高層タワーマンションが何本も建ち並んでいますが、それらが皆、建築途中で放棄されている光景をよく見ます。

なぜ、こんな事になっているのか?

これは、中国の住宅バブルが実体的には破裂しているのに、中国政府を護るために、その被害を一般消費者や労働者に押しつけているからです。

そう、北京や雄安新区を洪水から護るために、涿州の100万の住民が犠牲にされたように…。

海外の資本市場では、中国の不動産バブルの実態が垣間見えるようになりました。

不動産大手の中国恒大集団エバーグランデは8月17日、米ニューヨークの裁判所に連邦破産法15条(日本の民事再生法に相当)の適用(破産)を申請しました。

恒大は2021年、ドル建て債の債務支払い不履行デフォルトに陥り、負債総額は推定3000億ドル超(約43兆5000億円)に達し、過去2年間の純損失が計5819億元(約11兆2000億円)だったと発表しています。

ちなみに現在、日本で最大の赤字を出しているのは楽天グループで、負債が約4兆円、昨年の赤字が約3700億円です。
比較すると、中国は1桁大きいです。

他の不動産業者も似たような状況です。
今や中国全体で34億人分の住宅ができていると言われています。

中国の人口は約14億人ですから、20億人分ものムダな住宅を作ってしまったのです。

こんな状態で、不動産業者が巨額の損失を出しながらも、まだ生きながらえている方が不思議ですが、そこに中国の独裁政権による統制経済の本質が窺えるのです。

34億人分の住宅を作ってしまったバブルの仕組み

なぜ、34億人分もの住宅が出来上がってしまったのか?
そのバブルの仕組みを説明しますと…。

中国の土地は全て国有ですが、地方政府が土地の使用権を販売します。

基本的に革命時に地主たちから取り上げて国有化した土地で、元手はタダですので、地方政府としては棚ぼたでお金が入ります。

不動産業者は使用権を購入して、そこに住宅を造って消費者に売ります。

一方、消費者は銀行にローンを組んでもらって住宅を買います。

実際に、住むための住宅を買っているうちは正常なプロセスですが、既に住んでいる家があるのに、値上がりを見越して、もう一軒買おうとするとバブルが始まります。

例えば、2000万円の家が、1年後には2500万円になるという見込みがあれば、投資目的でそれを買おうという人々がたくさん現れます。
とすると、投資目的の見かけの需要が膨らんで、実際に価格も2500万円に上がったりするのです。

こうして実需を超えて、投資目的で見かけの需要が膨らみ、それで価格が上がり、その値上がりが更に投資を呼ぶという膨張過程がバブルの正体です。

このバブルは銀行の資金供給が続く限り、そして、人々が住宅の値上がりはまだまだ続くと考えている限りは続きます。

日本のバブルを崩壊させたのは、財務省による不動産向け融資の総量規制や日本銀行の金利(公定歩合)引き上げなどで、資金供給を絞ったことでした。

国有銀行がずっと貸し続ければバブルは維持できる

日本のバブルは財務省や日本銀行がストップをかけましたが、中国ではどうでしょうか? 

元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏は次のように断言します。

しかし不動産バブルを維持することは可能なのです。
銀行のほうで不動産開発業者にずっとお金を貸し続ければいい。
中国では銀行は国有です。
だから国有銀行がずっと貸し続ければバブルは維持できます。

もう絶対に売れない“不良債権”となっても、それは国有銀行と、更に銀行を監督する中国政府が、
「いつか売れるはず」
と言い張れば、不良債権ではなくなってしまいます。

日本の銀行がこんなことをしたら、背任罪で刑事罰を受けます。
こういう事を平気でできるところが中国の特殊性です。

こうして34億人分もの無駄な住宅が積み上がっても、不動産企業は知らんぷりをして、銀行から金を借り続けて経営を続けていけるのです。

恒大のように2年間で約11兆2000億円もの赤字を出していても…。

見捨てられている消費者と労働者

中国政府、国有銀行、不動産業者はマネーゲームを続けていけますが、実態経済の方では、さすがにタワーマンションの建設が続けられなくなったり、新規案件が無くなったりしています。

国家統計局の発表では、昨年1年間で中国全土の住宅の販売面積は24.3%減、売上総額は26.7%減と激減しています。

中国の統計は何割かが粉飾されているので、実態はもっと悲惨でしょう。

また、消費者にとって不幸な点は、中国のマンションは完成前に購入して、頭金を支払いをします。

従って、不動産業者の方で資金繰りが苦しくなって建設が止まってしまったら、代金は払っているのに物件は完成しないということになります。

恒大集団のマンション販売だけでも、既に頭金を支払ったのに入居できない人が160万人。
中国全体では、1000万人以上だろうと言われています。

テレビでも、消費者がデモをしている光景が映し出されていますが、これが理由です。

しかも、マンション購入のためのローンなどで、中国国民は借金漬けになっています。

現在の中国の家計の負債率(収入に対する債務)は137.9%にも達していると報じられています。

日本の家庭で言えば、近年の平均世帯収入が560万円ほどですから、平均的な家庭で700万円ほどの借金があることになります。

但し、日本の場合は住宅ローンで借金があっても、購入したマンションとそれに付帯した土地を財産として持っているので相殺できます。

しかし、中国の場合はマンションは未完成で住めず、しかも土地は利用権のみで実体的な価値はありません。

未完成の建物と利用権のみの土地という“絵に描いた餅”を、700万円も借金して購入した消費者は、マネーゲームに騙された被害者と言えます。

建設工事も当然、激減しています。
農村部の若者たちが仕事がないため、都会に出て建築現場などで働いている『農民工』が2億5000万人ほどいますが、不動産開発の仕事も減って浮浪者化しています。

こんな報告があります。

例えば、広東省の深圳でも広州でも地下道路やトンネルなどは、夜になると寝に来た農民工たちで満杯になっている。
遅く行ったらもう寝る場所も取れない。

こうしてみると政府、銀行、不動産業者などに務める上流階級はマネーゲームで生活を守られていますが、その一方、消費者や労働者などの下流階級は搾取されていることが分かります。

北京や雄安新区を護るために、涿州の住民100万人が犠牲となったのと、正しく同じ構造なのです。

ここまでの階級搾取を見ると、中華“人民共和国”という国名は、最早ブラックジョークです。

日本の何倍も速い出生数の低下

しかし、中国人民の不幸を考えれば、ブラックジョークなどと揶揄することはできません。

中国社会のお先真っ暗ぶりは、日本よりも格段に酷い少子化に現れています。

1人の女性が生涯に産む子どもの平均的な人数を示す『合計特殊出生率』で、中国は2022年に1.09に下がったと報じられました。

日本の1.26(2022年)よりも一段と低いのです。
人口を維持するためには、1人の女性が2人強の子どもを生まなければなりません。
それが1人強では人口は急速に減少していきます。

人口過剰に苦しんでいた中国は、数十年に亘って『一人っ子政策』をとってきました。

それでも、2010年までの出生数は毎年2000万人以上でした。
それが、2022年には956万人と半分以下になってしまったのです。

日本では、出生数が半分に落ちるまでに40年掛かっていますが、中国は僅か12年で半減してしまったのです。

この間に一人っ子政策を廃止し、第二子容認、更に第三子容認まで行いましたが、殆ど効果はありませんでした。

この急激な少子化の進行は、青年たちの間で『3つのしない』、即ち、
「恋愛しない、結婚しない、子供を作らない」
が広まったからです。

それもそのはず。
中国政府が発表した2022年4月の統計では、16~24歳までの若年層の失業率は20%を超えています。

政府統計で20%以上なら、実際には30%以上になっているはずと言われています。

仕事もなく、住宅も買えなかったら、『3つのしない』で生きていくしかありません…。

私たちの子孫に中国人民の苦難を体験させたくなければ…

こうした中国の人民の不幸な有様を見ると、『知らす』と『うしはく』という政治姿勢の違いが実感できます。

『知らす』とは、民の喜びや悲しみを知り、その安寧を祈る心です。
大きな災害が起きたときに、天皇皇后両陛下が被災者へのお見舞いをされていますが、それが『知らす』政治の象徴です。

そして、その『知らす』御心を実現するために行政、自衛隊員、消防隊員たちが被災者救援に取り組みます。

一方、『領く』とは、皇帝が人民を牛馬のような財産と見做して搾取する政治です。

中国の皇帝から見れば、水害で100万人の都市が水没しても、14億の家畜のごく一部が被害を受けただけの話に過ぎません。

現在の日本は、中国の覇権拡張から独立を如何に護るかという瀬戸際にあります。

我々の子孫を、人為的な洪水に曝された涿州の人々、前金を払ったのに家を受け取れない消費者、仕事もなく地下道路やトンネルで夜を過ごす農民工のように、『領く』政治の被害者にしたくないのであれば、今が踏ん張り時なのではないでしょうか。

最後までお読み頂きまして有り難うございました。
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