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日本人は「不完全」が好き

日本人ならなんとなく分かると思うが、何故か既に「完成」しているものに惹かれない。
日本文化は「不完全の美」、つまりは「わびさび」の文化だからだ。

この千利休が唱えた「わびさび」という概念は茶道の本質として不完全であるがゆえに周りとの調和を計ろうとする慎み深さや謙虚であることの大切さを言っている。

欠けているからこそ、一生懸命な姿はそれを補ってなお美しい。

清少納言も“月は満月よりも、幾分欠けているほうが風情がある”と書いているし、兼好法師も“螺鈿(らでん)は少し剥げ落ちたところに風情がある”といって、不完全の美を愛した。

そして今現在も日本人は高校野球が好きだったり、アイドルが好きだったりと、不完全の美、この場合は成長過程を楽しみ、日本人の気質というのは脈々と受け継がれている。

世界には「美しい景色を探す」文化と「景色の中に美しさを探す」文化の二つのアプローチの仕方があるとするならば、日本は明らかに後者である。

本当の美しさは、不完全を心の中で完成させた人だけが見出すことができるのだ。

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