【超短編小説】 合格最低点
「おれ、友達少なくてさ」と呑気に言えるほど、友達はいない。あれは、友達がいるやつの劣等感を武器にするためだけの言葉だ。こんな風に、りくは斜に構えて、世間を斜めから見る。
おれは、京都に生まれた。そして、京都で育った。父親の職業は内科医で、5年生のころに開業した。母は、おれを医者にするための日々を過ごした。たとえば、勉強のスケジュール作成や、宿題のチェック、テストの分析、各塾の評判集めのためのママ友の会への出席などで、それなりに多忙だった。
一方、おれは、おれは。
勉強が心