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短編小説を書いてみました

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日々生活で感じたこと、おもしろかったこと、いやだったことを小説で、表現してみました。
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15歳・3月【2,280字の小説】

15歳・3月【2,280字の小説】

 マフラーを巻く肩が重く感じるようになってきた。もはや防寒具としての役割が主となったマスクもやっぱりおっくうだなと思うようになってきた。

 この通学路を歩くのもあと少し。片道歩いて25分。一年生のころは30分もかかった中学校までの道。先輩に気を使いながら歩いていたから仕方がない。学年が上がるごとに早足になり、信号が変わるタイミングを覚え、記録を更新してきた。でもやっぱり限界がある。25分が三年間

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儀式

儀式

木曜日

結婚して半年。彼といっしょの生活も徐々に慣れてきた。お互いの生活のルールを理解し、妥協するところ、許せないところも折り合いがついてきた。

結婚ってこんなに大変なんだな、全くの別人が同じ屋根の下でずっといっしょに生活することって奇跡なんだな、つまらないことにもお金ってかかるんだな。結婚してまだ半年しか経っていないけれど、ふとひとりになるとこんなことを考える。

仕事帰りの電車の中、歯を磨

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