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「自分がマネジメント」の限界

「自分だったらこうするのに」
「なんで自分の言ったとおりにやらないんだ」
管理職になればこのような思いを抱くことはたくさんあるだろう。自分がやってきたことが評価されたから今の立場がある。自分がやってきたことにプライドもある。だからこんなことを思ってしまう。

でもそのような考え方は今すぐに捨てたほうが良い。

管理職とは自分のやり方をメンバーに押し付けるのが仕事ではない。
仮にメンバーへ自分のやり方を押し付けたとして、その組織のパフォーマンスは最大でも組織に所属する人数分にしかならない。しかも人は相手の言ったことの8割でも実行すれば優秀な方だろう。ということは、押し付けるタイプの組織は人数×0.8の成果しかあげられない。

「起きたことはすべて報告してほしい」
「見積もりは事前に相談を」
これは「自分がマネジメント」の典型例である。

このマネジメントをしているととても楽しいだろう。
すべて自分に報告が来るので優越感にも浸れるだろう。
毎日たくさんの報告が上がってくるので仕事をやった気にもなるだろう。

でも、これらの仕事はメンバーだけでも十分に対応が可能である。目の前の仕事の可否を判断するために管理職は存在するのではない。
管理職は未来の仕事や部署をまたがる仕事、他の会社や団体とよりよい仕事をするために存在する。目の前の仕事はメンバーに任せなければならない。任せることができないならば、組織はその場でずっと停滞したままになる。

ではどうすればよいか。

自分の考え方や組織の目指す方向を伝えることは必要である。
メンバーにどこを目指してほしいのか、なんでそこを目指すのか、そのために何が必要なのか。この考え方をメンバーで共有することはとても重要である。そのために何をしなければならないのかをメンバー個々が考え、その考えを話し合うことも大切である。この経験を通じて、メンバーは成長する。その成長が組織の活性化につながる。組織の活性化が組織の成長へとつながる。

人を管理すること、目の前の仕事をやること、たくさんの報告が来て優越感に浸ること。どれも楽しくて仕方がないだろう。でも、そんなことで楽しんでいるようでは管理職としては失格である。
管理職の楽しみは苦しみを経験したその先にある。
その境地に達したとき、初めて本物の管理職になれたといえるのだろう。

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