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【わかりやすく解説】ゼロからわかる嘱託産業医の仕事②健診事後措置・ストレスチェック

こんにちは。マジメ嘱託産業医のatamiです。

この記事では私が健診事後措置・ストレスチェックに関する業務をどのように進めているかをお話していきます。

■健診事後措置

▶就業上の措置を取るのは事業者

「そもそもなぜ健診を行っているのか」
「健診の事後措置とは」
「産業医の役割とは」
これらを確認しておきたいと思います。

労働者(従業員)に対して健康診断を行うことは、労働安全衛生法に定められた事業者(雇い主)の義務です。

事業者には「安全配慮義務」という労働者に対する義務があります。
「安全配慮義務」とは、労働者の安全と健康に対する危険性を予測し、危険を回避するために必要な措置を実施する義務です。
健康診断はその重要な情報源です。

一方で労働者には「自己保健義務」という義務があります。
安全で健康に働けるように健康管理をしなくてはいけないという義務です。
事業者が安全配慮義務のために行う措置に、労働者側も協力しなくてはいけません。

産業医の役割は、事業者が労働者に対して適切に安全配慮義務を履行できるように、助言やお手伝いをすることです。

事業者に対して「意見」や「勧告(指導)」をする権限がありますが基本的に産業医は、事業者側でも労働者側でもない第三者です。
最終的には安全衛生に関するすべては事業者の責任になります。

事業者は労働安全衛生法に基づく健診実施後の措置を行わなくてはいけません。

事業者は労働安全衛生法第66条の4に基づき「健診結果についての医師等からの意見聴取」をしなくてはいけません。

そこで産業医は健診結果をチェックして、職員の皆さんに「通常勤務」「就業制限」「要休業」のいずれかの就業判定をします。
この健康状態で従来通りの勤務を続けていただいて問題ないかどうかの医師としての意見です。

この健康状態でこれまで通りの勤務を続けた場合、ご本人の健康と安全を守れないと判断した場合や、事業者が損害を被るリスクが高い場合、つまり、「通常勤務」を継続すると事業者の安全配慮義務違反となる可能性があると判断した場合、「就業制限」や「要休業」という判定をして、どういった措置が必要と考えられるか事業者に意見します。

しかし、職員の方の業務内容を制限・禁止する決定を直接下す権限は産業医にはありません。
産業医の意見を勘案し、最終的にどう対応するかは事業者が決定します。

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