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お風呂あがりの「ちょっと」の贅沢が、わたしをさりげなく音の世界に戻してくる。

瓶牛乳の自動販売機が、目に入る。温泉に行くと、一番に探してしまうのが、コレ。温泉がメインなのは重々承知だけれども、温泉の後にあの瓶牛乳を飲むことを楽しみに、脱衣所への暖簾をくぐる。

幼少期と大学時代を東北で過ごしたからか、「〇〇の湯」みたいなスーパー銭湯から旅館の日帰り入浴、そして旅先としての温泉は、よく行く場所のひとつになっている。
ちょっと、息抜きに。
ちょっと、ご褒美に。
そんな日常を「ちょっと」非日常に変えてくれる、そんな場所。

洗い場のシャンプーとリンスがリンスインシャンプーでなくて、ノンシリコンシャンプーとリンスだったりすると、ちょっと、贅沢気分を味わえる。

内湯で身体をあっためたら、露天風呂へ。
何種類もお風呂があると、全部回らないといけないような気がして、5〜10分刻みで浴槽を回っていく。

昼間は、目を瞑ってぼんやりと
夜は、夜空を眺めながらぼんやりと
何も考えないで、ただ時間が過ぎていくのが心地よい。
とにかく無音の中、ただ風が流れていくこの感覚がたまらない。ちょっとでも良聴耳側から音が入ってくるもんなら、それを塞いじゃいたいくらいこの音のない世界を愛おしく感じる。

のぼせてくると、内湯に戻り改めて身体を温めなおす。露天風呂では、何も考えていなかったわたしの頭の中がぐるんと動き出す。
どの牛乳を買おうかな。
普通のかな、コーヒー牛乳かな、ヨーグルトかな。いちご牛乳も捨てがたいけれど、大抵パックに入っているからなんとなく選ばない。
結局。決めきらないうちにフラフラしてきてとりあえず脱衣所へと戻る。

ドライヤーを当てながらもなお、どの牛乳を飲むか考え続ける。コーヒー牛乳にしようかな。

そう思って脱衣所を出て、あの自販機の前に立つ。さっき「コーヒー牛乳」と決めたはずなのに、やっぱりまた悩む。

えいっ!
と押したのはヨーグルト。

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決め手は、ヨーグルトだけに「小岩井」って書いてあったこと。東北の味か。そう思うとちょっと応援したくなって、ついポチッとしてしまうんだから、不思議だ。

熱った身体を冷ましながら、ゴクゴクと飲み干す。打ち上げの乾杯ビールも好きだけど、温泉の瓶牛乳には叶わないと思っている。

この頃には耳も乾いてくる。補聴器をつけて、この世界にこんなにも音があったのかと毎度のようにびっくりしながら音の世界になれていく。

秋も深まってきて、温泉が気持ちいい季節。次は、どこの温泉にいこっかなぁ。


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