朝日が眩しい。通勤には、日傘が必需品。ちょっとした時間でも気になり日傘をさしてしまう。荷物も決して少なくないのに、面倒さを感じながらも日傘をさして交差点の赤信号を見つめている。
中野 美由紀、42歳。仕事は、社会保険労務士(社労士)である。
以前は、商社で営業企画の仕事をしていたが、労働環境に疑問をもち、ネットで調べたり、本を読んでいる内に社労士の仕事に興味を持ち始めた。そして一念発起して思い切って今の職場を退職し、社会保険労務士事務所へ転職した。始めは、見習いとして勤めながら3年ほど前に資格試験に合格した。2年ほど雇われ社労士として働いていたが、先輩の勧めもあり3年前に独立をした。今は、「中野社会保険労務士事務所」として一人で働いている。
顧客も先輩の紹介や、労働局の仕事もあり、日々忙しい毎日を送っている。そんな中、今後の仕事の在り方や、社労士として企業の人たちの役に立ちたい思いで考えを巡らせていた。
その日も事務所に向かう道すがら交差点で信号を見つめて、青信号を確認して横断歩道を渡り始めた時のことである。前からビジネスリュックを背負った体格のよい男性が自分の方へ歩いてくる。
美由紀は、田中の言葉にピースサインで答え、自分の事務所へと向かった。
田中は、美由紀の10歳上で経験豊富な社労士である。事務所も大きくて3人ほどの社労士を抱えて事務所を運営している。確か、顧問先も随分多いと聞いていた。美由紀に独立を勧めてくれたのも田中だった。
午前中に顧問先の就業規則の見直しを行い、先方の担当者とのやり取りも比較的スムーズに終えたこともあり、気持ちも楽にお昼をむかえそうだと感じていた。
田中とは、田中の事務所近くのカフェレストランで待ち合わせをした。
美由紀は、田中の言っていたコミュニティを調べてみることにした。ネットやSNSにコミュニティの説明やイベントの様子などが掲載されているとのことだったので、事務所に帰って早速見てみた。
田中が言う様に、様々な業種の方が集まっている様で、月に何回かのイベントで交流会やセミナーを開催している会員制のコミュニティだった。毎月の開催の様子やコンセプトもしっかりしている様に感じた。良く言われている異業種交流会とは違っている感じだ。
美由紀は、田中と時間調整して、主催者に会ってみることにしてみた。アポイントは田中が取ってくれて、来週の月曜日の15時に田中と主催者の佐倉の会社へ訪問することになった。
当日、田中とは、15時前に会社のあるビル前で待ち合わせした。田中と佐倉は付き合いも1年ほどだが、結構頻繁に食事をしたり飲みに行ったりしているとの事だった。イベントにも比較的参加をしているとのことだった。
ちょっと早めに着いた美由紀は、スマホで場所を確認しがら、ビルのエントランスで待つことにした。LINEで田中には、自分のいる場所を伝えたので、大丈夫だろうと思っていた。
暫くすると、田中かがやって来た。
佐倉の会社は、比較的大きなビルの7Fにあった。ビルの案内に会社名が掲示されていたので、美由紀も確認済みだ。
会社の受付で挨拶をし、会議室に通された。暫くすると佐倉が会議室に入って来た。
こうして、美由紀は佐倉の主催するコミュニティに参加することになった。佐倉の話に将来の可能性を感じたし、これから自分がやる目的も明確にイメージできた。
佐倉の「言語化」「図」への可視化するということも凄くヒントになり、会社に戻るとすぐに頭の中にあることを書き出してみた。佐倉から言われたことだが、書き出すことで頭が整理すると同時に文字で目から入る情報にすることで、新しいイメージや書き出した文字や図が繋がっていくと課題やテーマにすることも浮かんできた。
早速、これを田中と共有しながら、コミュニティで作れる仲間と共有できる様にしたい。なんか、今日は眠れなくなりそうだ。。。