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Winter Break - Ring Ring Ring

12月26日 月曜日
MSNにEくんがあがってきた。無事日本着いたよー!との報告だった。

親友ちゃんとカラオキー!

翌日は年下の大好きな親友の子とカラオケの約束をしていて、それだけがすごく楽しみだった。
後にもっとちゃんと書くけど当時カラオケでオレンジレンジをひたすら歌うのにハマっていて、そこから派生していつのまにかハーモナイズすることが目的となった。
オレンジレンジに限らずハモりパートがある曲をひたすら練習し、カラオケに通わなくてもいいようにと彼女がたまたま持っていたテープレコーダーでカラオケを録音したのをきっかけにどうせならさあ!と自分たちが歌っている声を録音するようになった。
ユニット名も作って、作戦会議の日々。
プリクラを撮ってカラオケに行って、その子の家に行って録音した「音源」をチェックするのがいつもの流れだった。
私は1人、CAROLSを歌ってEくんとの再会を密かに心待ちにしていた。

初めて会った日を 今も覚えている?
照れたように君はうつむいて
目をそらしてばかりだったね
その仕草をとても 愛しく思うように
なったのはいつの頃だったかな
なんだか懐かしいね
・・・
白い雪が町を染める頃にも君のそばにいさせて
私これからも困らせてばかりかもしれないけど

CAROLS/浜崎あゆみ
どことなく歌詞をEくんに重ねて聴いてばかりいた

きっとこの子の家にも泊まらせてもらったとおもう。
きっと普通に冬休みをそれなりに楽しんでいた。

数回だけ、Eくんが日本の実家からMSNに上がってきたことがあった。
年が明けた途端、いつも彼のディスプレイネームにあった「I ■ U」の表記と、プロフィール画像に設定していたミスチルのI Love Youのアルバムジャケ写が変わってしまったことにすぐに気がついた。

日本に着いた翌日の名前「I Love U」だった


年が明けた後、オンラインになった彼のMSNの名前はI Love Youが取っ払われてしまっていた。

たったそれだけのことだったけど、今までと違って長くチャットができない、近況がいまいちわからない状況の中で、
これまで頑なに変更しなかった「I love you」のフレーズが消えてしまったこと、英語表記だった名前が日本語表記に変わってしまったことが不安要素に加担してしまった。

今思えば、Eメールででもいいから連絡取り合おう。連絡してね、って言っておけば良かったんだ。
だけどそれを思うのは未来を知っている今だから言えることで。

1月5日 木曜日
23:00過ぎにHageが突然電話をかけてきた。
日本から今戻ってきて、暇だったから電話したらしい。
この電話をきっかけにEくんと私の物語は強制打ち切りになることを当時の私はもちろん知らない。

Hageは電話魔で、女の子好きで、ことあるごとに仲のいい女子に電話をかけてくるような奴だった。しかもかけてくるのは決まって夜で、話が長く長時間話すことが常だった。
候補の1番目が電話を取らないと2番目、3番目とわかりやすく手当たり次第にかけてきていた。
Grade9の新学期から出会って以来ずっと仲の良かった私は彼がFちゃんと付き合うまでの間しょっちゅう電話がかかってきてた。
Fちゃんと付き合い始めても「暇やから」との理由でちょこちょこ電話はあった。
MSNでHageとチャットしてても電話をかけてきて「電話取れよ」と言われたり、宿題に詰まったとき、暇な時、Fちゃんがいないとき。
遅い時間の電話なんか無視しちゃえば良かったし、強気でもう電話切るねバイバイと早々に切り上げれれば良かった。だけど、ご機嫌取りの私は人から「求められている対応」をしてしまって些細なことでも「裏切る」ことができなかった。

補足:HageはEくんと同じ日本行きの飛行機に乗って帰国していた。

日本はどうだったとか、冬休みの宿題進んでるかとか。いつもと変わり映えのない話をした。
Eくんとも話すことがなく、友達とも会わない時間があった中で久しぶりのHageとの軽いノリが心地良かったんだろうなと今になってきちんと当時の物を読み返して思う。

深夜のテンションで、途中でHageが「お前って学校でモテてんの知ってる?」と言ってきた。
「んなわけないじゃん。なんで?」と聞いたら、「お前のこと好きまたは過去に好きやったって人3人はおるで」と答えが来た。
1人目はもちろんEくん。
2人目はマッチョ。(彼女いるのに何言ってんの!?!?とこの話を聞いたIちゃんは言っていてごもっとも。という感想しかない)
そして3人目はHage自身だといった。

Hageが弁明するには、転入してきた初日のホームルームで会った時から気になってたんだそう。
そこから最初の1ヶ月間は私を好きだったと。

この流れから、Hageの私に対する当時の気持ちの「振り返り」が始まった。
私はてっきり過去のことと割り切って話をしていると思って、自分もこの頃Hageのことが気になっていたんだよと打ち明けた。

お互い隠し事がなくなった途端、ずるずるとGrade9が始まった8月頃の出来事が引っ張り出されて行った。
半年越しに判明する見事なまでのすれ違い。現実世界でこんなことがあるもんなのかとむしろ感動した。

続きます。





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