佐々木暁洋

医療政策/公共政策、コミュニティデザイン、持続可能な社会デザイン、健康/幸福の社会的決…

佐々木暁洋

医療政策/公共政策、コミュニティデザイン、持続可能な社会デザイン、健康/幸福の社会的決定要因、死生観に関心のある救急医

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プロフィール

以前かいたプロフィールの興味関心や問題意識も変わってきたので、プロフィールを更新することにしました。過去のプロフィールは別記事として残しておきます。 簡単な自己紹介と経歴医療政策、公共政策、コミュニティデザイン、持続可能な社会デザイン、健康/幸福の社会的決定要因、死生観に関心のある救急医 医師としては、初期研修ののち救急医、集中治療医としての研修を行い、それぞれ専門医を取得しています。この過程で、管理職、訪問診療、病棟診療も経験しました。 その後、以下で説明するような関心

    • tree peopleという活動

      Birmingham tree peopleという活動を発見。おそらく桜の苗木に「水をやってください。やり方はこうです」とラベルが貼ってある。こういう街路樹のいくつかがボランティア活動がベースの活動で管理されているらしい。 この団体は市と協力しながら、植樹やそのモニタリングと管理、適切な樹種の選定、緑や木のある環境の格差の是正、木を管理するための講習会やワークショップ、木への水やりなど地域住民との連携を実施して、それを通じて、街の森林化を目指し、「木々の街 tree cit

      • インタビュー記事

        ご縁があってcoFFee doctorsさんにインタビューを記事にしていただきました 読者として知っていたページだったので「まだまだお勉強をさせてもらっていてなにかを形にしているわけでもない自分が出ていいものか…」と思いましたが、 学生や若手のキャリアの参考になるように…という意味で言えば、まだいろいろ悩んで右往左往しているのをインタビューしてもらうのでもいいんだな、と思い至りました 健康の社会的決定要因 SDHへ取り組む、というと、 きれいごとや大風呂敷すぎて医師や救急

        • 社会を考えるときのいくつかの「軸」「視点」

          なぜイデオロギーの話なのか。 きっかけは、MPHの講義でイデオロギーについての自己認識の議論があったためです。きっと政治学の領域ではもっと丁寧な議論や実証研究に基づいた議論がされているとは思うので、今回の内容は雑感に過ぎない点ははじめにご了承ください。 その講義の先生曰く「健康増進というのは必ず政治的なものとなる」「健康やPublic Healthを重んじる、ここにいる学生は、健康第一になったり、科学優先になったり、平等を最優先したり、逆に全体主義や功利主義を最優先したり

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        プロフィール

          社会構造へアプローチする健康向上活動は少ない?

          社会構造へアプローチする健康向上活動は少ないかもしれない MPHで先日あった健康向上とイデオロギーについての授業からつらつら考えたことを書きます。 平等主義的な視点のみでは、実は個人の不健康という「ミクロレベルでの結果」にしかアプローチできないように思う。なぜなら社会構造にマクロレベルでアプローチしようとしたときには、大衆に対して説得的な功利や実用を考慮する必要があり、ある意味折衷的にならざるを得ない。そして平等主義をとるひとはなかなかこの折衷ができないことがある。健康格差

          社会構造へアプローチする健康向上活動は少ない?

          死生観と街並み/家屋

          ひとの死生観に街並みや家の構造、デザインなど周辺環境がどう影響しているかが気になっている。例えば南房総で古い日本家屋に訪問診療でいくと、客間には先祖代々の肖像画や肖像写真が飾ってある。寝起きするのは別の部屋のことが多いが、こういうご先祖様に囲まれた家で年をとったり、家族を介護したり、看取ったりする 同様に、集落によっては集落を見下ろす山の斜面だったり、海に開けた斜面だったりに代々のお墓がある。どちらにせよ生活からちょっと離れているけど近いところに。こういう家や街の構造は、そ

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          北条海岸ビーチマーケットと、医療機関地域活動の包摂性と継続性

          僕自身は今回参加することができなかったのですが、 安房地域医療センターから、館山市で定期的に開催されている北条海岸ビーチマーケットへ参加することができました! 前回から参加して、今回も主体として出展した亀田ファミリークリニック館山の方々はもちろん、実際に出展までこぎつけてくれた安房のメンバーのみなさんのおかげです。(僕自身は案を出すだけ出しただけ) 昨年度、政策研究大学院大学で勉強し卒業した際に、 安房地域医療センターにいる今回の留学までの数か月では、 「短い間だけど、なに

          北条海岸ビーチマーケットと、医療機関地域活動の包摂性と継続性

          「地域社会の人々は週4-5回、1日30-45分、公正な社会についての合意形成を行うこと」:新しいPublic Healthの推奨

          はじめに 前回は公衆衛生に関わる倫理と政治哲学の大枠を抑える議論だったけれど、今回はもう少し各論的なものを2つ。これも講義の参考資料でした。 1つ目は、感染症の時代から慢性疾患の時代に移るにしたがって、公衆衛生の原則は「パターナリズム」や「平等原則」よりも「自律性」に置くべきだという議論。 2つ目は、ナッジへの批判。パターナリズム的性質への批判かと思ったら、そうではなく、そもそも「枠組みや構造が判断に影響する」だけでパターナリズムの正当化には失敗しているよね、という指摘。

          「地域社会の人々は週4-5回、1日30-45分、公正な社会についての合意形成を行うこと」:新しいPublic Healthの推奨

          公衆衛生の倫理と政治哲学のフレームワーク:要約

          動機MPH課程の授業の中で、欧米的な特徴なのかもしれませんが、"Justice"という言葉がでてきました。 講義としては「Public Healthの価値観と倫理」とか「健康の社会決定要因」というような授業の中です。 さらっと進んでいき、周りを見回してもみんな納得しているようだったのですが、「Justiceって語感も強いし、そんなみんなが共有する正義ってなに?」という疑問がぬぐい切れませんでした。 また、健康の社会決定要因の授業で"Justice"という言葉が出てきたように、

          公衆衛生の倫理と政治哲学のフレームワーク:要約

          なぜ民主主義とコモンズの概念が地域医療構想に重要なのか?特に病院統廃合と地域住民の関係について。

          大学院プリセッショナルコースで「医療と民主主義」についてまとめる機会があったので、もう少し具体的に、少し個人的な雑感をつけてシェア。 最後につけた大学に提出したレポートは、もう少し一般論に寄っていて、英語から日本語に直しているので、やや生硬です。 (少し学問的なことをいうと、個人的には、このような医療や健康のための「政策」とその「過程」、そこに関係する「個人」、背景にある「歴史や文化など」のナラティブの関係に最近興味があります。) ・行政でもなく、営利でもない、「ローカルコ

          なぜ民主主義とコモンズの概念が地域医療構想に重要なのか?特に病院統廃合と地域住民の関係について。

          なぜバーミンガム大学MPHなのか?

          今回はタイトル通りの記事を書きます。 最近はまだマイノリティではあるものの公衆衛生大学院に進学する医師は増えてきていますが、 なぜイギリス? 特に、なぜバーミンガム? というのは比較的めずらしい選択なので、 大型奨学金をとって、IELTS7.0とか7.5で、ハーバードやロンドンいって… という王道じゃない選択肢を説明することで、誰かの参考になるとうれしいです。 なぜ公衆衛生大学院か。 以前にも別の記事で書いたように、昨年度はあえて公衆衛生ではなく、公共政策を勉強しました。

          なぜバーミンガム大学MPHなのか?

          医療政策に興味を持つ人にとって、保健所は案外アリかもしれない

          7月但馬/豊岡にいってきました! 少し時間が経ってしまったけれど、7月のはじめに志摩市民病院の日下先生とともに、だいかい文庫などで活躍中の守本先生のところを1泊2日で訪問しました。 守本先生と直接会うのは学生時代以来!!近い分野で活動しているよな、と思いつつ、なかなか機会がなく、やっと訪問できました。 1泊2日の中では、守本先生の勤める保健所の見学および業務を紹介してもらったり、だいかい文庫やケアと暮らしの編集社の内容を見学したり、翌日には養父市役所にご紹介いただいて、

          医療政策に興味を持つ人にとって、保健所は案外アリかもしれない

          プリセッショナルコース~MPHの英語入学基準に関連して~

          実際にMPHの過程が始まるのは9月25日からですが、 1か月以上早い、8月8日に渡英して、いますでにバーミンガムにいます。 これは来週8月14日から4-week Pre-sessional Academic English Preparation courseに参加するためです。 ・プリセッショナルコース/条件付きOffer イギリスの大学院への出願にも関係することですが、 当然、IELTSの点数など英語の成績要件が必要です。 例えば、バーミンガム大学MPHの場合、 IE

          プリセッショナルコース~MPHの英語入学基準に関連して~

          「健康/well beingの視点からみたまちづくり」:タウンミーティング原稿

          先日、館山市にあるカフェMANDIで開かれたタウンミーティングでお話をする役割で呼んでいただきました。 今回は、そのときに話をするために作った原稿をそのまま記事にします。 話し言葉であったり、文として構造がときどき崩れるところもありますが、スピーチ原稿だと思ってください。当日はおおむねこれと同様の内容を話していますが、実際には多少その場で追加したり端折ったりしています。 ―昭笑村塾 館山の明日を語ろう― タウンミーティング @カフェMANDIの庭 「健康/well be

          「健康/well beingの視点からみたまちづくり」:タウンミーティング原稿

          政策過程論ノート②

          ※このnoteは、政策研究大学院大学での飯尾潤教授の講義を受けて、僕自身がとったノートをもとに記載しています。専門の方からみて間違えなどあるかもしれませんが、ご指摘いただけると幸いです※ そもそも政策とは? 今回は、政策過程論の各論的な内容に入る前に、そもそも政策とどのように捉えるか?という話題です。 そもそも政策と政治とはどのように違うのでしょうか。 日本語では「政治/政策」、英語では「politics/policy」と使い分けられていますが、国によっては同じ単語が使

          政策過程論ノート②

          政策過程論ノート①

          ※このnoteは、政策研究大学院大学での飯尾潤教授の講義を受けて、僕自身がとったノートをもとに記載しています。専門の方からみて間違えなどあるかもしれませんが、ご指摘いただけると幸いです※ 「政策過程論」とは? 政策過程論ときいてもなんのことを言っているかわからないと思います。 いくつか例を出してみます。(医療福祉関係の読者が比較的多いかと思うのでそのような例が中心となりますが…) 例えば、子宮頸がんワクチンの問題 医師らの中では「どうしてこんなに明確に科学が示しているこ

          政策過程論ノート①