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#7 甲陽学院の思い出〜水泳、テニス、リコーダー〜

みなさんは母校についてどんな思い出がありますか?今日は私の母校、兵庫県の甲陽学院について書きたいと思います。現在の校長である今西昭先生は、僕が高1の時の担任の先生だったので、今ここで思い出を綴ることに特別な喜びを感じます。

甲陽学院は私立の中高一貫校ですが、よくある中高一貫校とは一味違います。中学は海の近く、高校は山の上と別々の校地にあり、さらに中学は制服、高校は私服とルールもかなり異なります。それでも、甲陽学院の思い出は?と聞かれて思い出す3つのこと、それは水泳、テニス、リコーダーです。卒業生なら多くが手を打つ内容だと思います。


まずは水泳。高3の体育の単位取得要件に、「1,000メートルを止まらずに泳ぐ」というのがあり、達成できない場合は夏休みに追試を受けなければならないという徹底ぶりでした。生徒は2人で組になり、何往復したかを数えます。僕もどうにか夏休み前にクリアしました。進学校の高3生になぜそんなことを求めるのか?先生の説明はこうでした。

君たちが将来エリートになったら、出勤前にジムに通って、体力作りのために1,000メートル位泳ぐようになる。そのために、今から訓練だ!

友人たちとは、「そんなバカな」「出勤前に1,000メートルも泳いだら、くたびれて仕事どころではなくなる」と笑って話していました。でも後年、都内のジムに入会すると、それは現実でした。出勤前に1,000メートルどころか毎日2,000メートル(25メートルプールを40往復!)泳いでいる人がいました。2,000メートル泳ぐと頭がスッキリするのだそうです。

次にテニス。高3になると主にペアを入れ替えながらダブルスの試合をするのですが、スコアをつける生徒は “Fifteen-love”,  “Thirty-fifteen” などと両手でサインをしながら英語で数えます。そういったことを覚えるのも「君たちの中には、将来ビジネスパートナーとテニスをすることになる人も多いだろう」という理由でした。

そして最後はリコーダー。これは「甲陽学院・リコーダー」と Google 検索しただけでヒットする有名な話です!新聞記事を見つけました。

少し引用すると、「リコーダーによる『グリーンスリーブスの主題による変奏曲』の演奏は、半世紀近く続く伝統の授業で、中学の3年間をかけて習得するものとなっている。」とあります。僕が指導を受けたのは、今から37年前のことですが、今でも続いているというのは驚きです。

「グリーンスリーブス」は有名な曲ですが、オリジナルの旋律を変奏したもの(variations)が14追加され、全部で15の変奏曲となっているものを演奏します。先生とクラスメイトが聞いている前で一人ずつ演奏し、間違えたらそこでアウト、正しく演奏できたら先に進めます。リコーダーと侮るなかれで、譜面にあるトリル、プラルトリラー&モルデントを演奏するには替え指も必要となり、本来のスピードで演奏するにはダブル・タンギングが必要な箇所もあります。先生は、

君たちはエリートになる。音楽を嗜む人たちに囲まれる機会も多くなるだろうから、この位できるようになっておけ!

とおっしゃっていました。


時は流れて、クラシック音楽業界の仕事をするようになった時、有名な演奏家と話す機会が増えました。しかし演奏技術に関わる用語を使った会話で不自由を感じたことはありません。自分で演奏する時も、「あの変奏曲は15番まで合格したから、自分が演奏したい曲もきっとできる」と思えます。

僕は先生たちに期待されていたような「エリート」にはなれなかったけれど、秋からはそんなエリートたちに混ざって研究をします。水泳、テニス、リコーダー、全てちゃんと今に生きていると思います。「グリーンスリーブス」の楽譜、もう一度買ってきて今度はフルートで吹いてみようかな。

今日もお読みくださって、ありがとうございました☕️
(2023年7月7日)


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