佐々木友輔

映像作家/鳥取大学地域学部で教員をしています/揺動/風景論映画/ドキュメンタリー/鳥取…

佐々木友輔

映像作家/鳥取大学地域学部で教員をしています/揺動/風景論映画/ドキュメンタリー/鳥取の地域映画史と公共上映/🦀蟹/鴨🦆/アイコンは品岡トトリさんに描いていただきました。

マガジン

  • 地方映画史研究のための方法論

    鳥取の地方映画史に関する調査・研究に協力してくれる学生たちに向けて、押さえておくべき理論や方法論を共有しておきたいと考え、この原稿を書き始めた。杵島和泉さんと行っている研究会・読書会でレジュメをまとめ、それに加筆修正や微調整を加えて、このnoteに掲載している。

  • ミュージックビデオの身体論

    ミュージックビデオの身体論

  • 見る場所を見る──鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

  • 映画愛の現在

  • 雑記

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ミュージックビデオの身体論⑦アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ

7. アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ 7-1. 『ディレクターズ・レーベル』とMVにおける作家主義研究者の下澤和義は、MVというジャンルの社会的な認知度の向上を段階的に示す出来事として、①1984年からグラミー賞に「年間最優秀ビデオ」部門が創設されたこと、②1992年からMTVが楽曲のアーティストだけでなくMV監督の名前も画面に表示するようになったこと、③2003年にMV監督毎の代表作をまとめたアンソロジーDVD『ディレクターズ・レーベル』シリーズが発売

    • 地方映画史研究のための方法論(27)大衆文化としての映画①——テオドール・W・アドルノとマックス・ホルクハイマーによる「文化産業」論

      見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 『映画はどこにあるのか――鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(2024) 2024年3月は、3年間継続してきた「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」の活動成果をいくつか世に出すことができた。 一つは、杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか――鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(今井出版、2024)の刊行。 鳥取で自主上映活動を行う団体・個人へのインタビューを行うと共に、過去に鳥

      • 地方映画史研究のための方法論(26)抵抗の技法と日常的実践④——エラ・ショハット、ロバート・スタムによる多文化的な観客性の理論

        見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉

        • ミュージックビデオの身体論⑥ サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス

          6. サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス 6-1. サイボーグ的身体これまでに取り上げてきた「ダンス」に関連するMVは、視覚効果や撮影・編集技術を重視する「映像のダンス」(③映像そのものがダンスする/④カメラレス・ダンス)と、生身の身体のパフォーマンスを重視する「ダンスの映像」(⑤ダンスそのものを映し出す)とに大別することができる。 ただし、これらはあくまで便宜的な区分であり、それほど明確に分けられるものではない。あらゆるMVには「映像の

        • 固定された記事

        ミュージックビデオの身体論⑦アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ

        • 地方映画史研究のための方法論(27)大衆文化としての映画①——テオドール・W・アドルノとマックス・ホルクハイマーによる「文化産業」論

        • 地方映画史研究のための方法論(26)抵抗の技法と日常的実践④——エラ・ショハット、ロバート・スタムによる多文化的な観客性の理論

        • ミュージックビデオの身体論⑥ サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス

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        • 地方映画史研究のための方法論
          27本
        • ミュージックビデオの身体論
          9本
        • 見る場所を見る──鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
          46本
        • 映画愛の現在
          6本
        • 雑記
          3本
        • 映画による場所論
          3本

        記事

          地方映画史研究のための方法論(25)抵抗の技法と日常的実践③——スチュアート・ホール「エンコーディング/デコーディング」

          見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉

          地方映画史研究のための方法論(25)抵抗の技法と日常的実践③——スチュアート・ホール「エンコーディング/デコーディング」

          地方映画史研究のための方法論(24)抵抗の技法と日常的実践②——ミシェル・ド・セルトー『日常的実践のポイエティーク』

          見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉

          地方映画史研究のための方法論(24)抵抗の技法と日常的実践②——ミシェル・ド・セルトー『日常的実践のポイエティーク』

          リリックビデオを解剖する(後)Text by えむ

          「ミュージックビデオの身体論」番外編連載「ミュージックビデオの身体論」の番外編として、えむさんに「リリックビデオ」をテーマとする論考を寄稿していただきました。 えむさんは「リリックビデオ」という語のうちに含まれる多種多様なありようを詳しく分析し、①実写映像の中に歌詞の文字を造形したオブジェ等が含まれる〈実写/単一レイヤー〉、②実写映像と歌詞テロップなどを合成した〈テロップ/二重レイヤー〉、③歌詞も含めてすべての映像がアニメーションもしくはCGで制作されている〈アニメーション

          リリックビデオを解剖する(後)Text by えむ

          リリックビデオを解剖する(前)Text by えむ

          「ミュージックビデオの身体論」番外編連載「ミュージックビデオの身体論」の番外編として、えむさんに「リリックビデオ」をテーマとする論考を寄稿していただきました。えむさんは大学で視覚メディア表現を学び、実写とアニメーションを組み合わせた映像作品制作も行ってきた方です。 本稿では「リリックビデオ」という語のうちに含まれる多種多様なありようを詳しく分析して腑分けし、①実写映像の中に歌詞の文字を造形したオブジェ等が含まれる〈実写/単一レイヤー〉、②実写映像と歌詞テロップなどを合成した

          リリックビデオを解剖する(前)Text by えむ

          イラストで見る、倉吉市内・郡部の映画館&レンタルビデオショップ史(2)

          見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト2021年から実施している「見る場所を見る」の第4弾(8月開催の「見る場所を見る2+」を含む)となる展覧会「見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」をGallery そらで開催中です。このnoteでは、会場で配布している「鑑賞ガイド」に収録の展覧会第1部解説文「イラストで見る、倉吉市内・郡部の映画館&レンタルビデオショップ史」を2回に分けて掲載します。前回の記事は以下のリ

          イラストで見る、倉吉市内・郡部の映画館&レンタルビデオショップ史(2)

          イラストで見る、倉吉市内・郡部の映画館&レンタルビデオショップ史(1)

          見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 2021年から実施している「見る場所を見る」の第4弾(8月開催の「見る場所を見る2+」を含む)となる展覧会「見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」が、本日12月21日(木)からGallery そらで始まりました。会期中はあいにく雪が続く見込みで、かつ年末の慌ただしい時期の開催となりますが、3ヶ年計画で進めてきたプロジェクトの一旦の締めくくりとなるこの機会、ぜひともお越

          イラストで見る、倉吉市内・郡部の映画館&レンタルビデオショップ史(1)

          神戸映画資料館と小池照男さんの記憶──『映画愛の現在』関西初上映

          明日12月15日(金)から19日(火)まで、鳥取の自主上映活動を追ったドキュメンタリー『映画愛の現在』の第Ⅰ部と第Ⅱ部(2020)が神戸映画資料館で上映されます。「映画とは何か」ではなく「映画はどこにあるのか」を探し求める旅の映画。鳥取に縁のある人に限らず、映画が好きな人・好きだった人、映画館が身近だった人・遠かった人、幸福な映画体験の記憶がある人・辛い映画体験の記憶がある人、その他、何かしらの思い入れがある人なら誰でも、どこかしらに自分自身と接続できる要素があるのではないか

          神戸映画資料館と小池照男さんの記憶──『映画愛の現在』関西初上映

          なぜいま「映画館」を顧みるのか──「娯楽の殿堂・世界館」、そして「初期動画」研究としての地方映画(館)史

          鳥取市歴史博物館で開催中の展覧会「ここが発信地!娯楽の殿堂・世界館──ノンフィルム資料に残された、鳥取の老舗映画館の足跡」を再見した。その際に感じたことや考えたことを備忘録的に残しておきたい。殴り書きのため、思いつきにすぎない箇所や混乱した箇所も多いが、ここ数年目指してきたことの大枠は描けているのではないかと思う。 展覧会「娯楽の殿堂・世界館」展覧会「ここが発信地!娯楽の殿堂・世界館──ノンフィルム資料に残された、鳥取の老舗映画館の足跡」は、私が2021年に始めた「見る場所

          なぜいま「映画館」を顧みるのか──「娯楽の殿堂・世界館」、そして「初期動画」研究としての地方映画(館)史

          地方映画史研究のための方法論(23)抵抗の技法と日常的実践①——ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』と状況の構築

          見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る3——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和

          地方映画史研究のための方法論(23)抵抗の技法と日常的実践①——ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』と状況の構築

          見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

          2021年から実施している「見る場所を見る」の第4弾(8月開催の「2+」を含む)となる展覧会「見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」を、2023年12月21日(木)から26日(火)にかけてGallery そらで開催します。三ヵ年計画としてスタートしたこのプロジェクトもいよいよ最終年度。今回、倉吉と郡部のリサーチを行ったことで、当初からの目標だった鳥取県全体の映画館とレンタルビデオ店の開閉館年表も一旦完成させることができそうです。年末の慌ただ

          見る場所を見る3——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

          地方映画史研究のための方法論(22)初期映画・古典的映画研究④——ミリアム・ハンセン「ヴァナキュラー・モダニズム」としての古典的映画

          見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉

          地方映画史研究のための方法論(22)初期映画・古典的映画研究④——ミリアム・ハンセン「ヴァナキュラー・モダニズム」としての古典的映画

          地方映画史研究のための方法論(21)初期映画・古典的映画研究③——デヴィッド・ボードウェル「古典的ハリウッド映画」

          見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を試みている。2022年に第1弾の展覧会(鳥取市内編)、翌年に共同企画者の杵島和泉

          地方映画史研究のための方法論(21)初期映画・古典的映画研究③——デヴィッド・ボードウェル「古典的ハリウッド映画」