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影響を受けた(好きな)マンガを100作品並べたら、自分への理解が進んだ

先日、ふと思い立って、自分が実際に読んで影響を受けたマンガを筆者別で100作品選んだところ、自分への理解が進み、20年弱ほどの謎が解けたので、それを記します。

100作品を選ぶルール

元々のルールは以下でした。

  • メモ等は何も見ない。思い出す。インターネットも見ない。

  • 純粋に自分自身がどれぐらい影響を受けたか、または自分自身がどれぐらい好きかによってランキングする。

  • ただし、考えるタイミングや観点、その時の自分の思考状態によって、自分の考える受けた影響や好きさは変わってきてしまうため、ランキングの大きな序列はS,A,B,Cの4段階とする。細かい序列もつけるが、今後の人生を通して多少の変動はありえるものとする。

  • 作品の一般的な質や難易度、高尚さ、芸術性、歴史的意味といったものは、原則として考慮しない。影響と好みを軸とする。

  • 細かいシリーズや、同作者の類似作品などについてあまり本質的でない考察を避けるため、一作者に対して最も好きな一作品を選ぶものとする。
    例)高橋留美子→めぞん一刻、曽田正人→昴

  • マンガを読んだ時期等は一切問わない。

  • その他、判断において悩ましいことはすべて直感だけで決める。

※C作品の基準は、面白さでいうと「寝食をある程度忘れて読める程度に面白い」
※ただし、思いつきをそのまま答とするわけにもいかないので、仮で100作品を選び、自分の中でほぼランキングが完成してからはインターネットを見てよい。(Cランクで5作品ぐらい入れ替わりあり)
※Cランクとして今回は選外としたものの、寝食を忘れて読めるというマンガはもっとある。

「影響」という軸にした理由ですが、例えば作品全編を通して好きな部分も嫌いな部分もある場合の、総合評価みたいな事を考えなくて済むようにしているという側面があります。したがって、この100作品の序列において作品としての完成度などは支配的な要素ではなく、刺さる要素があればそれによって上位に食い込みます。言い換えると、どの作品も「私にとってのテッペン」での比較、みたいな比較の仕方をしています。
ただ、本来は必ずしも作品の面白さや影響というのは順位付けして表現しきれるものではなくて、あくまでも今の私の思うこと、傾向としての整理でした。

100作品の一覧

S:自分の行動原理や信念に特に深く影響を受けている、または特に深く共感があり、確実に自分を支えている作品(3作品)

  • 銃夢

  • ドラえもん

  • 鬼滅の刃

A:自分の考えや感情について、そこそこ深く影響を受けており、出会わなかったら多少人生が変わっていたかもしれない作品(17作品)

  • めぞん一刻

  • タコピーの原罪

  • 東京卍リベンジャーズ

  • HUNTER×HUNTER

  • 【推しの子】

  • 東京喰種

  • はれた日は学校をやすんで

  • からくりサーカス

  • ダイの大冒険

  • 笑う大天使

  • 聖闘士星矢

  • バクマン。

  • あしたのジョー

  • 超人ロック

  • やったろうじゃん!

  • 栄光なき天才たち

B:人生の根本的な部分への影響はないと思うが、やはり強く心を動かされたり、考えたり、行動に対しての影響があったであろう作品(24作品)

  • ONE PIECE

  • DRAGON BALL

  • SHOGUN

  • B・B

  • キャプテン

  • ルックバック

  • ガンバ!Fly high

  • ブラック・ジャック

  • 寄生獣

  • おたんこナース

  • ワールドトリガー

  • リアル

  • MAJOR

  • 自虐の詩

  • 女帝 SUPER QUEEN

  • 北斗の拳

  • ベルセルク

  • はじめの一歩

  • 鋼の錬金術師

  • 家栽の人

  • ギャラリーフェイク

  • 自由人HERO

  • 名門!第三野球部

  • ちはやふる

C:その作品を読んで直接的に大きな変化があったという事はないが、心に残り、また寝食を忘れられる程度には十分面白い作品(56作品)

  • BEASTARS

  • H2

  • 暗殺教室

  • YAIBA

  • NARUTO - ナルト -

  • 呪術廻戦

  • 約束のネバーランド

  • ジョジョの奇妙な冒険

  • 墨攻

  • 三国志(横山光輝)

  • 宝石の国

  • CLAYMORE

  • イレブン

  • Papa told me

  • 「子供を殺してください」という親たち

  • るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-

  • 赤ちゃんと僕

  • SPY×FAMILY

  • 魔入りました!入間くん

  • ローゼンメイデン

  • 沈黙の艦隊

  • SPRIGGAN

  • 花より男子

  • 仮面ライダーBLACK

  • Happy!

  • よしえサン

  • 雷火

  • 魁!!クロマティ高校

  • ブラックジャックによろしく

  • 総務部総務課山口六平太

  • コータローまかりとおる!

  • コウノドリ

  • コブラ

  • 賭博黙示録カイジ

  • 哲也-雀聖と呼ばれた男

  • クレヨンしんちゃん

  • 進撃の巨人

  • 七つの大罪

  • 笑ゥせぇるすまん

  • 彼岸島

  • 天牌

  • ゴールデンカムイ

  • メイドインアビス

  • 静かなるドン

  • イキガミ

  • 3×3 EYES

  • 拳児

  • リエゾン-こどものこころ診療所

  • トリコ

  • ああっ女神さまっ

  • 天才柳沢教授の生活

  • 銀河英雄伝説(道原かつみ版)

  • 新鉄拳チンミ

  • グラゼニ

  • 新世紀エヴァンゲリオン

  • 風の谷のナウシカ

単純な影響/好みで並べてわかったこと

「話」がすき

まず、作品の選び方の傾向として、画が映像的にきれいで流れるように構成されているかどうか、いわゆる映画的かどうかよりも、「話として面白いか否か」という部分に強く偏っているのではないかと思います。ここで「話」と言っているのは「人間の感情がむき出しになる部分」や「人が意志を持って選択する事と、それのもたらす結果」みたいな事です。
また、舞台設計のディテールについても、映像的なことと比較するとまだ多少のウェイトがあるにしても、上記の「話」と比較するとウェイトがだいぶ軽いように感じています。話として練り込まれていることや、明らかな矛盾が存在しないことは重要ですが、物質的な意味でのディテール(?)にはあまり興味がないように思えます。
これは実際、私も昔から薄々思っていた事ではあるので、特に驚くという事でもなかったです。おそらく、私自身がいろんな人と仲良く楽しくやるにあたって、複雑なものを複雑なものそのままの形で処理しようとする性質が邪魔なことが結構あって、そういう感性を自分自身に対してはコントロールして絞っていたのかなという気がしています。また、それ以上に「話を聞いて、その話について自分の中で考える」ということがおそらく面白く、その刺激に浸かり続けたいというのがあって、映像を処理して味わうという事よりは、短い時間に刺激を詰め込むみたいな"ある意味で贅沢な"消費の仕方をしていたんだろうなという気がします。私自身の情報処理も、かなり聴覚的な処理に依存しているのを傾向として感じていたので、その意味でも整合的です。

人にワクワクしても、世界にはそんなにワクワクしてなさそう

ワクワクする世界観、見たことのない景色(直喩)を見るための冒険、みたいな事にはあまり興味がないようです。世界か人間か、という極端な問い方をすると、確実に人間の方に興味があります。広大な世界を冒険していくとか、死と隣合わせの生き方を楽しむとか、そういうのが最上にあるわけではないです。その世界が余すところなく/矛盾なくきちんと描写されているか、という事は、必ずしも重要ではないようでした。

マンガの主人公として共感できる人・できない人

私が好きなのは、わかりやすい行動原理、強い感情。芯の強さ。といったもののようです。
逆に、"なよなよした主人公"もあまり好きではないようです。これはヘタレな主人公とは意味が違います。最近で言えばタケミっチ(東京リベンジャーズ)、昔で言えば特攻の拓、あるいはのび太のような主人公は、典型的なヘタレですが、芯が無いわけではなく、いずれのキャラも好きで共感できます。
これは表現が難しく、なんというか、思考傾向が内向きな主人公だとちょっと、という感じのようです。根暗だとダメだという事でもないのですが…
芯がないという事とも若干違ってはいるのですが、例えば緋村剣心、エレン・イェーガー、碇シンジなどは、なんというか違和感があります。
この後半に挙げた人物、決して自分で意志を持って決断をしていないという事ではないのですけど、私が上の方に挙げた作品の主人公とはちょっと決断の方法が違うかなと思います。(ひょっとすると同族嫌悪である可能性もありますが…)
これの裏返しが、銃夢でした。「神」に抗うこと。
以下で説明します。

なぜ銃夢なのか、という答

ところで、Sランクの3作品について。ドラえもんと鬼滅の刃は世間的にも確固たる地位を確立していますが、この2作品と比較すれば相対的には知名度が低い銃夢。それでも、私はずっと、銃夢を最も影響を受けた作品として並べ続けてきました。(鬼滅が出る前から)
今でこそ、ジェームズ・キャメロンが映画化した事で一定の知名度を有していますが、じつは私自身もなぜ銃夢からそんなに強い影響を受けているのか/好きなのかという事を説明できませんでした。小学校の頃から読んではいましたが、刺さったのは高校の頃に読んだ時で、「たまたま多感だったから」という事なのだろうか、と思ったりしていました。
それについて、こうして100作品を並べたことで理由がわかりました。
銃夢は、全編を通して「神に抗う」という事を徹底しているんですよね。
私が一番好きな、マッドサイエンティストが作中で唯一メガネを外し、またメガネをかける一連のシーン。このシーンでは、物理法則・万物が流転し永遠のものが無い事に対する憎悪が語られますが、つまり神への抵抗なんですよね。じつは。
ガリィの重要なライバルであるジャシュガンは、作中で「神になった男」と語られます。(広義では)ガリィの生んだ業であるところのザパンに対して、ガリィは赦しを求められます。クズ鉄町から見たザレムは神の領域と言って差し支えなく、(作者本人は当初の展開を否定していますが)無印銃夢の最後の方でガリィは"神"を殺しています。
このように、神、あるいは支配への抵抗としての自由、意志の自由が全編を通して描かれていて、あーだから刺さったんだな、ということがわかりました。というのも、直接的に神/支配/物理法則への克服を自由意志とセットで根本的なテーマとして描き続けている作品って、リストアップした中でいうと実は意外と少ないんですよね。なるほど、そこがコアな要素で、だから銃夢が刺さったのも必然だったんだな、という事を思いました。(高校だったという補正もあるとはいえ)
あと、それに加えて、銃夢はオチというかシーンの象徴的な絵をきちんと作るので、それも好きというのがありますね。メガネを外す一連のシーンのきれいさ、ジャシュガンの最期、ザパンを倒した後の芽、締めの絵がきちんとある、これは単純にマンガとして好きなんでしょうね。(映像は重要ではないのではなかったのか!)

ひっくり返したい!

わかった事を改めて考えていると、結局私が人生レベルでやりたいことって、ひっくり返すという事なんだろうな、という気がしました。おそらく神に抗うという事をしたくて、特に、不条理を豪快に潰したい、ひっくり返したい。多分。
何をひっくり返せるのか、という事はわからないですが、きっと。
この辺をちゃんと整理して、採用原稿とかつくろう…

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