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妖怪ウンコちゃん投げ

感じの悪い人っている。

たとえば
『あたたかくなってきましたね』
などと笑顔で話かけると
『あたりまえだろ。
もう4月だぞ。
いつまでも寒かったらおかしいだろ』
みたいなことを言う人だ。
あぁそうだねーでいいじゃん
だからアンタは嫌われるんだよ
話かけて損をした
なんだよ感じ悪い
もう絶対話かけてやるもんか

まぁそんな気になる(笑)

こっちが優しいボールを投げているのに
はねのけてウンコちゃんを
投げて返されたような気分だ。
そんな人はたいがい全てのボールを
ウンコちゃんで投げ返す。
だからみんなから嫌われ
孤立する。

『自業自得。
自分でまいた種は
自分で刈り取らなければなりません』
そう思ってサティは
そんな人達を残念な人だなぁと見ていた。

否定否定否定
何を言っても反対で返す。
みんなが笑っていると水をさす。
そんな人と一緒にいると
本当に嫌になってくる。

妖怪ウンコちゃん投げ

サティはそんな人達を
心の中で
そう呼んでいた。


そんなある日ふとテレビを観ていると
心理学者の先生が
『何にでも否定否定で返す人は
自分が認められていない
正当に認めてもらっていない
という思いの強い人』
と話していた。

サティはハッとし度肝を抜かれた。
あの人達は
実は可哀想な人達だったんだ…
なんでもイヤイヤいう2歳児は
なぜイヤイヤいうかというと
イヤイヤいうことで自分の世界が
広くなったように感じるからだ
と聞いたことがあるが
まさにそれと一緒か?
誰も自分を分かってくれないから
ウンコちゃんを投げて注目させたくて
そしてそれが全部裏目に出てるのか?
あぁなんて可哀想
ということは彼らの心の中も私と同じ
本当はみんなと仲良くしたい
一緒に笑い合いたいのに
何かのボタンの掛け違いから
ズレてズレていき
年月を経て妖怪ウンコちゃん投げと
呼ばれるまでになってしまったのか。。

あぁなんて可哀想なその心
心はそこで泣いている

サティは激しく同情した。

いわば妖怪とまで見えていた人が
自分と同じ血の通う人間だった。
自分を理解してもらいたい
認められたい人間だった。

すまなかった
すまなかった
妖怪ウンコちゃん投げなんて呼んで
すまなかった

そうだったのか
分かってほしかったのか
認められたかったのか
分かるぞサティもおんなじだ!

その日を境にサティは
妖怪ウンコちゃん投げの
投げてくるウンコちゃんを
そっと座布団で受けとり
床の間に角度よく飾ってあげる試みを始めた。

『あたりまえだろ。4月なんだぞ』
そう言われたら

『あっ、そうですねぇ
もう4月ですもんね。
あたたかくなるのはあたりまえかー
ホントだホント』

『日本には四季があるんだぞ。
いつまでも寒かったらおかしいだろ』

『冬が来れば春が来る
季節は巡って
だからこそ日本の四季は美しいんですよねー』

『おまえバカだな(笑)』

『ホントにバカでやってられません(笑)』

そうやって投げてくるウンコちゃんを
根気よくミニ座布団でキャッチし
それをそっと大事そうに
床の間へ飾ってやるんだ。

すると、どうだろう
妖怪ウンコちゃん投げは
次第にいい表情になり
明らかに機嫌が良くなり
いままでの憎たらしい妖怪顔が消え
柔らかい顔になる。
『この人もこんな可愛い顔をするんだ』
その時見せる元妖怪のほどけた顔は
まるで子供のように可愛い。
『この人の中にこんな表情があるだなんて』
正直本当にビックリする。

それから不思議なことに元妖怪は
もうサティにウンコちゃんを投げてこなくなる。
サティを見たら子供みたいな顔をして
可愛い顔して微笑むんだ。

認められたい感の強い人は
とてもプライドが高く
実はどこか能力のある人。
それゆえ人を見下す悪い癖があり
時間の経過と共に
ウンコちゃん投げにまで成長してしまう。

『自分はもっと認められていいはずなのに
正当に認められていない。
理不尽だ。
どいつもこいつもバカだ。
無能が傷を舐め合って
この世は腐敗していく一路だ』
そうやって高みの山から
憂いで怒って自分を慰めている。

なんだか可哀想な
妖怪ウンコちゃん投げ

裏目裏目に全て転がっている。
自業自得と言われてしまえば
それまでだけど
ウンコちゃん投げだってきっと
孤立を心地いいとは思えていない。
だから高みの山から降りて
愚民どもにウンコちゃんを投げるのだ(笑)

サティはウンコちゃん投げが
ウンコちゃんを大切に床の間に飾ると
もう二度とウンコちゃんを
投げてこなくなることを知って
彼らだって本当は
ウンコちゃんなど投げたくはない
実は自分でも手が汚れることを
快くは思っていなかったことを知る。

優しいボールでキャッチボールしたい
本当は気持ちよくキャッチボールしたい

妖怪ウンコちゃん投げだって
人間だ!

誰もかれもみんな
心ある人間なんだ!

そうしてそんなことを色々考えているうちに
次第に自分のことも見えてきて
よくよく見つめてみると
案外自分もウンコちゃんを投げている。
『認められていない』
と感じてる時やなんかは
結構周りの人間達に
思いきりウンコちゃんを投げている。

だから

みんなみんなウンコちゃん投げ

みんなみんな人間(笑)




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最後まで読んでくれてありがとう(*^^*)♪

またサティに会いに来てねー(^з^)~.:*:・'°☆



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