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#KimOhNo キム・カーダシアン氏のKimono商標登録問題について


昨今、2016年の呉服店の広告ポスターが今更炎上したり、
億単位の横領をした日本和装の元社長が会長として経営復帰したり、
何かと嫌なニュースの多かった和装業界。
ですが、今度は「ニュース」という言葉で片付かないほどの事が起こりました。


アメリカのソーシャライトとして活躍するキム・カーダシアン氏が、下着のブランド名を”kimono”とし、商標を出願しました。
これに対してTwitterやInstagramでは#KimOhNo(キム・オーノー!)というハッシュタグで抗議の声が上がりました。

私も勿論抗議の投稿をしたのですが、
今回は私の視点から”Kimono”が下着として商標登録されることの問題点についてまとめます。

問題点は3点あります。
①経済的な損失という観点からの問題
②日本人のアイデンティティという観点からの問題
③人種・国籍という観点からの問題


特に①経済的な損失という観点からの問題をまとめます。

"Kimono"が商標登録されることの問題点

先述のタグ #KimOhNo では、日本の民族衣装である着物を下着の名称として使用されることに対しての嫌悪感を表明する人が少なくありません。
当たり前の事だと思います。実際に私も、言葉にできない嫌悪感を抱きました。
しかし、「嫌だからやめろ」と言って商標を取り下げさせるのはとても困難です。
何故なら味方の数が全然違うから。

キム・カーダシアン氏のInstagramは、フォロワー数だけで日本の人口を超えています。
彼女の投稿1回だけで、#kimono のInstagramカバー写真は彼女の商品写真になりました。
人口1億2600万人、人口の世界ランキングは11位である私達日本人は、最初から「数」では大変不利です。

この状況で、kimonoという名称を使用して下着を売り出されたらどうなるでしょう?
インターネットでkimonoと検索して、1番上に表示されるのはキム・カーダシアン氏の下着。そんな未来がすぐに想像できますね。

つまり、着物という民族衣装に対しての認知機会を、キム・カーダシアン氏の下着に奪われてしまうことになります。

混同されるくらいで済めばまだ良いのかもしれませんが、アメリカの商標の有効期間は日本と同じ10年間。
その間にキム・カーダシアン氏はPR活動行い、Kimonoという下着をアメリカ市場のみならず、世界の市場で定着させるでしょう



キム・カーダシアン氏は「商標申請を取下げるつもりはないが、制限はしない」とコメントしているそうです。

私が当初懸念していた「日系企業がアメリカで”Kimono”という名称を使用してビジネスができなくなるのでは」という可能性はなくなったようです。
しかし、これもコメントしているだけで、権限はあくまで商標登録した側にありますよね。
ビジネス面で名称使用ができなくなる可能性はゼロではないということです。

しかしこれも微妙なところで、
キム・カーダシアン氏は「無料で名称の使用許可をする」とは一言も言っていません。
多額の使用料を請求される可能性もあるのではないでしょうか?

”Kimono"という名称を使用されることの問題点

また、制限はしないとコメントしてはいるものの、ビジネス展開をするに当たり
Kimono=キム・カーダシアン氏の下着
という広告がかなり大々的に行われることが予想できます。

いくら着物が1000年の時間をかけて育まれた文化とは言え、日本国内でも衰退しているのが現状です。
参考サイト:きものと宝飾社「着物市場規模に関する調査2019年:2,875億円と推計」
この状況下で認知機会を奪われたどうなるでしょうか?
着物という概念自体の認識が、世界で薄れてしまう可能性も否定できないと思いませんか?

着物という概念が薄れた際の経済的な懸念としては
・外国人観光客の着物の購買量の低下
・レンタル着物等の利用率の低下

等が挙げられると思います。なんだこれだけか、とお思いになる方もいるかもしれませんが、
2018年の訪日観光客は3000万人を超えています。
参考サイト:JNTO「月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)」
世界経済のメインと言っても過言ではないアメリカで、大々的に下着として"Kimono"とPRされれば、影響が出ることが予想されます。

また、国内でのシェアが全く伸びていない現状、着物の海外展開を視野に入れている企業も少なくないはずです。
自社商品のPRの際に「Kimono=下着」という認知が浸透していれば、こちらも影響が出るでしょう。

また、先述の通り、
今現在アメリカに進出している日系企業も、今後進出予定の日系企業も、
彼女の決定次第では”Kimono”という名称を使用してビジネスが出来なくなる可能性も十分にあります。
中国で日本のブランド米の名称での商標登録が報じられていましたが、
同じことが起こる可能性がまだ否定できないのです。

Kimonoという名称を守ることは、引いては国益を守ることに繋がります。


署名活動が開始しました。
→こちらの署名活動については後日改めて解説を致します。




もちろん、キム・カーダシアン氏の下着がKimonoという名前になろうと、
日本人の民族衣装が着物である事実に揺らぎはありません。
ですが、着物と無関係の下着に民族衣装の名称を使用され、
経済的に影響が出る可能性も否定できないとなると話は別だと思います。

SNSでは「下着の名称にされるのが不愉快」「文化を軽んじている」
などの批判も数多く投稿されていますが、
もっと経済的な実害にも目を向けて反対しませんか?
私は、着物をKimono表記の上、海外展開できなくなる可能性を無視してはいけないと思います。


続きを書きました。

2019年6月28日 投稿
2019年7月9日 加筆修正

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さと*着物コーディネーター

大正浪漫とメリケンサック。着物コーディネーターさとです。 noteでは着物に関するコラムやレクチャー記事を書いています。

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