群馬県の中之条町で2年ごとに開催される国際芸術祭が『中之条ビエンナーレ』。前回は2019年に開催され、コロナを避けて無事今年 2021年も開催された。準備の期間はコロナ禍での準備となり、開催に尽力されたであろう地元の方々、アーティストの方々には感謝をしたい。

アートに触れている時、しっかりと向き合って「記憶」に残したい。その「記憶」を「記録」にも残したい。そんな時にポケッタブルな fp L とコンパクトなIシリーズレンズの 24mm F2 DG DN | Contemporary が鑑賞の邪魔もせずそっと一緒に鑑賞してくれる。24mmF2 の広角で明るいレンズは室内の鑑賞でもしっかりと描写してくれて、手持ちでも安心して「記録」を残せた。アートの全景、空気感を記録するのにこの組み合わせは最適解だったかもしれない。いくつか fp L で「記録」に残したものをここにも記しておく。

中之条ビエンナーレの展示は約40の展示があり、中之条の里山を移動し自然や町を散策しながら進んでいく。駅前のインフォメーションセンターでパスポートを購入し、つむじでピスタチオのジェラートを食べてから歩いて「旧廣盛酒造」へ。

「旧廣盛酒造」は、旧廣盛酒造所再生計画 で町が買い上げ、建築家・松葉邦彦氏とN合同会社が共同で中之条ビエンナーレのメイン会場を創り上げている。アートを展示する場所として創りすぎていない空間が作品を馴染ませて没入感がある。

彫刻家 西島 雄志氏の『真神』。真神とはニホンオオカミが神格化したもの。「存在」「気配」「生命」を表現しようとしたとき「神」に。神秘的な情景に息を呑む。

「旧廣盛酒造」の2階では、鉾井 喬氏 の「Windgraph -Nakanojo-」の展示。風見鶏のように風を捕まえ続け、風上の光を捉える試みを行う。中之条町の各所にある風の景色を可視化した写真。人には撮れない自然が映し出す抽象的な写真になにか嫉妬する。

「旧五反田学校」一番訪れたかった場所。2019年にも 彫刻家 西島 雄志氏 が展示を行っていた同じ場所で今回も展示が行われていた。先の旧廣盛酒造に展示されていた『真神』同様、この『吉祥 kichi-shou』もまた息を呑む繊細さと神々しさ。いつまででもこの空間で向き合っていたい。作品に込められたメッセージにも心打たれる。「良いことの起こる前触れ。いつもどこにも既にあるもの。良きものは良きものと繋がりさらに広がる。自らの選択が未来を創る。」

「伊参集会所」では不思議な空間に出くわした。「ホコリ・コンピューティング」の『Time Quarantine』。ホコリを静電気で動かすインスタレーション。ビエンナーレの会場付近で集めたホコリに生命を宿して表現された空間は宇宙的で不思議な空間。ホコリ・コンピューティングの活動を記したこの映像も合わせて観ると面白い。

「伊参スタジオ」で展示されていた 豊田 朝美氏の『たくさんの分水嶺 ／ 考え続ける人へ』。今、我々は転換点（＝分水嶺）に立っている。考えて、考え続けた先に未来を開く力があると信じて作られた作品。見ていてポジティブな気持ちになれる不思議な作品だった。

韓成南氏の『潜水士』伊参スタジオ体育館だからこそ体感できる深海の音も含んだ映像インスタレーション作品。作品だけが光を放っている空間に居ると海の中を潜水しているかの様。

最後に訪れた会場は神保俊二郎家。通称「やませ」。材木問屋として巨額の富を得た主が建てたお屋敷はビエンナーレ抜きにしても贅沢な造りで興味深い建築。屋根は亜鉛鉄板瓦棒葺で、その瓦を用いた 三梨 伸氏 の作品『「やませ」で庭いじり』は異様で存在感を放っていた。他にも広い屋敷内に時間が足りない程に作品が散りばめられている。

中之条ビエンナーレは16時、日没と共に終わる。陽の落ちかけと共に一旦アート巡りを終えて旅の締めに向かう。

旅の締めは訪れた街の夕陽を眺めるのが流儀。中之条には奥四万湖があり、ちょうど紅葉が見頃。夕日に照らされて彩り豊かな表情をみせた瞬間の紅葉の姿を今回は記しておこうと思う。これだけ彩とりどりの紅葉に出会ったのは初めてかもしれない。いい日、いい旅。

それでは、おやすみなさい。

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