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【読書レビュー】罪の境界 薬丸岳

渋谷のスクランブル交差点で無差別殺傷事件が起きた。

偶然現場に居合わせたために被害に遭い大怪我を負った女性。
女性を守って犯人に殺された男性。
幼い頃から母親に虐待され学校にも通わせてもらえなかった生い立ちの犯人。
自らも犯人と同じような生い立ちのためシンパシーを感じノンフィクションを描こうとするライター。
この四人を元に話が進む。

刑務所に入りたいがために無差別殺人を犯し全く反省のない男、その男に同調するライター、被害者やその周囲の人たちの深い傷や苦悩。それぞれの心情がとても丁寧に描かれている。

貧困、暴力、虐待、ネグレクト、周りの偏見、学も手に職もない女性が一人で子供を育てる難しさなど、様々な社会問題が詰め込まれていて気持ちが沈む。犯人の生い立ちには同情はすれど、全く共感はできない。

身勝手な動機の犯罪が珍しくなくなった昨今、その場所に居合わせたというだけで犯罪に巻き込まれる可能性は誰にも起こりうる。
「罪の境界」は案外身近なところに転がっているのではないだろうか?

テーマが重過ぎて、とても一言では感想がまとめられない一冊だった。

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