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「稚拙で猥雑な本能寺の変」1

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<配役>
織部オサム カーショップヤマダ課長代理
明神健一郎 カーショップヤマダ社員
織田信長  
羽柴秀吉
明智光秀
明智秀満  光秀の重臣
細川たま  光秀の娘
細川忠興  光秀の娘婿
フロイス  イエズス会の宣教師
森蘭丸   信長の小姓
竹中久作  竹中半兵衛の弟
稗田八方斎 秀吉の御庭番
もち    たまの侍女
平太    美濃の足軽農民
しず    平太の妹
たね    平太の妹

●アバンタイトル
○シーン1 安土城内・祈りの間

天正10年。
パイプオルガン。ルイスフロイスが説教をしている。
聞いている細川忠興、たま、もち、明智光秀。

フロイス「主デウスは全能であられる」
四人  「主デウスは全能」
フロイス「主デウスは言った。この世界は美しい」
四人  「主デウスに栄光あれ」
フロイス「アメーン」
四人  「アメーン」
フロイス「この世界は主デウスがお作りになられました。この国も同じ」
たま  「フロイス様、エウロパから遥か遠い日本でさえも主デウスがお作りになられたのですか」
フロイス「勿論です。主デウスは世界の全てを支配なさる全知全能・唯一絶対の存在です」
たま  「そうなのですね。ありがたいこと」
もち  「たま様、ようございました」
たま  「もち、あなたも救われるのです」
もち  「私もですか」
たま  「当たり前です。ねえフロイス様」
フロイス「はい」
忠興  「フロイス様、ありがとうございます」
フロイス「私は何もしていません。全ては主デウスのお導き」
光秀  「唯一絶対・・・フロイス、この教えは決して広めてはならぬ」
フロイス「光秀様、これは異なことを」
忠興  「義父上、何か問題でもあるのですか」
光秀  「・・・」
たま  「父上、たまも聞きとうございます」
忠興  「義父上」
光秀  「御屋形様の悲願である天下統一もいよいよ毛利、長曾我部を残すのみとなったのは知っておろう」
たま  「はい」
忠興  「めでたいことであります」
光秀  「天下統一が成された後、御屋形様はデウスに成り代わり『神』になると仰せだ」
たま  「え?」
忠興  「神に?」
たま  「まさか御屋形様はデウス様を超えようというのですか」
光秀  「そうだ」
フロイス「デウス以外の者が『神』を名乗ることはご法度にございます」
忠興  「なんだと?」
フロイス「デウスは全知全能・唯一絶対の存在。人間がなれるようなものではありません」
忠興  「御屋形様は神になれぬと言うのか」
フロイス「不可能にございます」
たま  「・・・」
光秀  「フロイス、これまで御屋形様は数多の不可能を可能にしてきた」
フロイス「はい」
光秀  「御屋形様は本気で『神』になろうとしている。もしお前がこの国をデウスが作ったなどと申せば、お前は処刑されイエズス会もこの国から追放されるだろう」
フロイス「え?」
たま  「そんな」
フロイス「しかし主デウスに背くものは必ずその仕打ちを受けることになります」
忠興  「仕打ち?御屋形様が仕打ちを受けるというのか」
光秀  「あり得ぬ。御屋形様は伴天連のために政をしているわけではない。宗教を盾にして脅しても御屋形様には効かぬぞ」
フロイス「私は事実を申しているだけです」
たま  「父上、御屋形様は大丈夫でしょうか」
光秀  「安心いたせ。今この国に御屋形様に逆らえるものなどおらぬ」

光秀、出ていく。

忠興  「フロイス様、ではまた」
たま  「・・・」
もち  「たまさま、参りましょう」

忠興、たま、もち、出ていく。

フロイス「アメーン」

フロイス十字を切って出ていく。


<2>へ続く


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