【中国フードツアー #01】 白族のおじい、おばあに学ぶ保存食の知恵

オランダの農大在学中、半年間ブータンの農村調査に携わったことがきっかけで始めた小さな村の持続可能な暮らしを学ぶ旅。毎年、数回、どこかの村へ聞き書きに出かけています。今年はブータンにいた時からずっと行ってみたかった雲南省へようやく行くことができました。

発酵食をテーマに白族のじいちゃん、ばあちゃんに聞き書きしながら料理を習う。干しチーズ、発酵パン、豆腐よう(こちらでは毛かび臭豆腐の油漬け)、豆豉、腌菜、などなど一緒に仕込みました。

なぜ雲南へ?
中尾佐助さんの「照葉樹林文化論」では、イネをはじめ、餅や納豆や漆器、釘を使わない伝統建築など、日本文化の基本的な要素の源流が雲南・ヒマラヤを中心とする東亜半月弧に見られるとの記述があります。いろんな作物の起源でもあるこの地域は、在来種マニアにとっても面白いのです。

今回は、「茶馬古道 Tea & Horse Road」を北上し、昆明→巍山→大理(喜州&周城)→沙渓→麗江と、バイ族の村を中心に旅してきました。

白族やイ族、ダイ族、ヤオ族、チワン族、 ジノー族、ナシ族など雲南には多様な民族が暮らしています。それぞれに、言葉や民族のルーツも違えば、食べ物も異なります。例えばチーズ。遊牧民から習ったのであろうチーズが、時代の流れにより、炙りチーズがあったり、それぞれの民族で独自の発展を遂げています。

景色や作物はブータンに似ています

若き起業家、ルーシーのフードツアー

案内してもらったのは、上海の旅行会社で働いた後、9年前に気候の良い雲南に移住し、起業したルーシーさん。少数民族の多様な文化を掘り起こし伝えるフードツアーや料理教室を企画されています。茶馬古道を1週間かけて、村に泊まり、古式塩田を見学したり、お茶を一緒に作ったり、少数民族に伝わる料理を習うツアーもあり、ヨーロッパ人に人気だとか。トリップアドバイザーでもほぼ満点のスーパーガイドさんなのでした。

アメリカ人や日本人はあまり参加していないようですが、いろんな民族の食文化を調査する料理研究家でもあるルーシーさんは、地元のじいちゃん、ばあちゃんたちからも歓迎されていて、民族の食卓に入り込んでいるのが素晴らしいのです。興味のある食べ物の作り方を伝えると、素早くニーズに答えてくれました。

ということで、今回の私のテーマは「発酵」。
チーズに納豆、麹、パン、藍染、豆腐よう、漬物、と発酵食品(+藍染も発酵)を中心にじいちゃん、ばあちゃんのお宅を訪問。一緒に色々とお料理を作らせていただきました。

チーズ「乳扇(ルーシャン)」

扇のように伸ばして火にかける干しチーズです。モンゴルやブータン、ネパールと旅してきましたが、このタイプのチーズは初めてみました。

まず、ヤギや牛のミルクとホエーを混ぜ、火にかけます。

あっという間に固まります。お箸のような棒で引き伸ばしながらこねる。餅を練るのと同じで、これがポイントなのだとか。棒に巻きつけて数日間干し、残った液体は、次回に使うホエーとしてとっておくのだそう。

干し上がったチーズを炙り、薔薇の花びらのジャムを塗って食べる。扇の形をしているので「乳扇(ルーシャン)」と呼ぶそう。

パリッとして濃厚なチーズはいかが?

キムチのような漬物、腌菜 

韓国と同じく、こちらでも大量の唐辛子を使います。マーケットにはいろんな種類の唐辛子が並ぶとともに、いろんなタイプの漬物もずらり。キムチは中国語で泡菜、腌菜というのが、中国でいう伝統的な漬物なのだそう。泡菜は塩を使わず(水キムチ?)、腌菜は塩漬けなのだとか(間違ってたらすみません)。

白族パン「baba」を焼く

他にも、パン屋さんや、米粉で作るライスヌードル屋さんなどを訪問しました。

白族のパンは「粑粑baba」と言って、一晩、発酵させた生地を多重レイヤー状に伸ばし、黒砂糖と薔薇ジャムやアンコを入れる甘いバージョン、野菜と塩を入れる塩からバージョンと、2種類のパンを焼きます。

米粉で作るライスヌードル

豆腐よう

豆腐ようのルーツを遡るといろんなタイプがあって、仕込む豆腐を事前に発酵させるかどうかというのもポイントなのですが、大きく分けて、酒につけるか、油につけるか、という2種類に分けられると思います。

台湾や沖縄の豆腐ようは、麹と酒に漬けるものが一般的。雲南でも2種類あるそうですが、酒の味が強い豆腐ようが苦手な人は、油がオススメなのだとか。茶の実を絞った苦茶油の豆腐ようがめっちゃうまい!!

毛かび豆腐よう(油漬け)

台湾でも豆腐の他に、パイナップルや唐辛子など、いろんなものを混ぜていましたが、雲南でも、家庭によって違い、生姜を入れるバージョンで作りました。

見た目が日本の豆腐ようと全然違います。

草麹

こちらでは、麹は餅状になっていて、「曲」という。ブータンで見た麹も確かこんな感じでした。白酒という蒸留酒を仕込むそう。そして、初め間違って買ったのですが、「碱」はベーキングソーダ。パンを焼くときに使います。見た目が似ています。

白族のおばあちゃんのお惣菜屋さん。山で採れた薬草を使った保存食がずらりと並ぶ。迷っていたら色々と味見させてもらいました。

最後に

毎年こんな旅をしていますが、仕事ではなく、完全に趣味なので、通訳や車代などなかなかお金がかかります。割り勘できたらありがたいので、同行者絶賛募集中。次は多分、韓国か台湾へ。民族の食卓を学ぶ旅は続く。

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ならいごとの旅

世界の小さな村を訪ね、保存食や手仕事など昔ながらの知恵を学ぶ旅の記録
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