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「クォリティスクール・ティーチャー」生徒を強制せず、質の高い学びを促せるリードマネジャー教師になる方法の本

選択理論がよくわかる本の紹介#6



「生徒が成功できる学校」の先生は教室でどんなマネジメントをしているのか? について書かれた本

ウィリアム・グラッサーが提唱した「選択理論という内的コントロール心理学」の考え方をベースにした学校は、クォリティスクールと呼ばれます。

そこでは、生徒が学校や教師を好きになり、生徒は、主体的に行動することを促され、主体的に学んで成長していけるという、いわば、「生徒が成功できる学校」です。

クオリティスクールでは、教師の命令や指示があるわけではなく、生徒自身がどうしたいのか、どんな活動をしたら満足できるのかを生徒自身が考えます。

① 教室で、先生は、ボスではなく、リードマネジャーとして生徒を支援する

選択理論にもとづいて、強制を使わないで、相手に学んでもらったり、仕事をしてもらったりするマネジメントを「リードマネジメント」と呼び、そのようなマネジャーを「リードマネジャー」と呼びますが、この本は、「教師がリードマネジャーになるための本」です。

教師が生徒を教室でリードマネジメントするときの具体的な考え方と方法が詳しく書かれており、また、クラスでどのように学びの指導を進めていくとよいのかについて、アドバイスやたとえが豊富に書かれています。

学校教員向けに書かれた本ですが、職場や家庭におけるマネジメントにも活用でき、親や上司の立場の人にも、十分に参考になります。

② 教師は、教室で、生徒の基本的欲求を満たす手助けをすることで、自分も満たされる

クオリティスクールでは、教師は、生徒が選択理論にもとづいて基本的欲求を満たすことと、生徒が自分の周りで起こる出来事に対処できる力を身につけること、を支援します。

生徒自身が自ら、理想や目標に対して主体的に行動していくことで、自分自身で自分の将来を切り拓く力、社会で自己実現する力を身につけることが目ざされます。

クオリティスクールにおける先生の最初の仕事は、生徒の信頼をえることです。教師は自分のことを、生徒に分かってもらうように努力する必要があります。

クォリティスクールでは、生徒は、先生も、学校も好きになり、教師と生徒が常に良い関係でいることが重視されます。

③ 教室で、先生と生徒がどんなことをしてれば「生徒が成功できる学校」になるのか?

クオリティスクールでは、教師や生徒の作業について、次のような6つの条件を満たすことが求められます。(筆者の追加修正部分あり)

1.教室は暖かく支援的であること
2.生徒は役だつことのみに取り組むこと
3.生徒はいつも最善をつくすこと
4.生徒も、教師も、自分の取組みを、自分で評価し、より上質を目指して、自分で改善していくこと
5.質が高いものは、気持ちのよいものであること
6.破壊的なやりかたでないこと(先生も生徒も、外側から相手をコントロールしようとしないこと、強制や命令を使わないこと、批判したり責めたりしないこと)

高品質な学びに向かって、生徒自身が現状とのギャップを自己評価をして、進んで、創造的に改善していくこと、成長を楽しむこと

クォリティスクールの特徴は、生徒自身による「学びの自己評価と、より上質を目ざした改善」が重視されていることです。

生徒は、「自分の行動や成果を、自分で自己評価すること⇒より高品質(上質)を目ざして改善すること」を繰り返して、学びの「クオリティ(高品質、上質)」のレベルを上げ続け、成長を目ざしていきます。

④ クォリティ・スクールでは、先生は生徒に強制する必要がない。生徒は、満たされているので、腹を立てて規律違反をする必要がない

自分で目標を設定し、その達成状況を自己評価することで、自ら、よりよいものにしていこう、目標を達成しようという動機づけが、自ずとなされるので、教師が生徒に強制をする必要がなくなります。

少人数のグループやチームでは、お互いを評価しあうやり方として、「自分の成果物を見せること、説明すること」により、お互いに「自己評価→改善」を繰り返し、みんなで「クオリティ」を追求しあっていきます。

⑤「生徒に選択理論を教える」ためのマニュアルもついてます

ところで、この本の第11章「生徒に選択理論を教える」では、4回のクラスミーティングで、生徒に理解し、身に付けてほしい「選択理論の内容」と、身につけてもらう方法がまとめられています。

生徒に対して「急所を刺す質問」を重ね、生徒に考えてもらうことで、選択理論の考え方を理解させる教材、マニュアルのようなものになっています。

第11章は、グラッサーが考える「選択理論の内的コントロールの考え方と方法」のエッセンスのような内容ですので、とても参考になります。


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