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十二国記『白銀の墟 玄の月』を、友と分かち合う

※とりとめもない、尽きない、あくまでも個人の感想話です。。
私と友人、まだ学生だった頃に小野不由美先生の『十二国記』に出会い、長い長い時を繰り返し読み返しながら人生航路をほっつき歩いてきました。

この物語に、何度も何度も、救われてきました。
感謝しかありません。

そんな私たちの、長い長い、勝手な感想です。


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いや、もう、なんか。

何回泣けたかわからない。
泰麒の物語で十二国が最終ってことに
本当納得できる。
まだ途中なのに。

泰麒は、私たちと同じじゃん。
奇蹟を持たない。
現実的なものしか。

自分自身の
身ひとつでさぁ。


泣ける。
つらいよね。
天に背く行為なのに。
だけど、白雉は鳴いてないし、驍宗は生きているって信じてるから、戴の民を救いたいから、一心に今出来ることをって。
はぁー、ギュッてなるね。

なんかさー、慶王の景子の物語もそうだけどさ、今までとは違う世界に来て、突然国とか民とか言われて、いい人ばかりじゃないから裏切られたり酷い目に遭わされたりして、だけど、楽俊みたいな本当にいい人に会えたりもして、ってどんどん経験していって、日本でなら普通の中学生か高校生だったのに、いまや一国を統べる器量を持つ人になっている。

人って如何様にでも生きていくのだな、って。
たくさん傷ついても泣いても、優しさと愛に救われて魂がどんどん高貴になっていくというか。

『天は赤い河のほとり』(※篠原千絵先生の漫画)も、止まらなくなり、全巻揃えてしまい、もう4巡くらいしてしまった。
そして天河ロスに陥っております。

これも、普通の中学生の女の子が14世期の古代トルコの王国に来てしまうという話だけど、この女の子もいつも何にでも一生懸命で、色々経験していって成長して行くの。
国の覇権争いのある時代ってのもあって、人の死もあからさまにあったりする世界だけど、力強く生きて行くんだ。
その大きなモチベーションは
愛する人なのだけど、これがまた苦難の連続でさ。

なんか、自分が生きている世界とは全然ちがうけど、人として大事なことって変わらないんだよね。
感動して、心が洗われた。


本当にさ、

これこそが
ファンタジーの真価であり真骨頂。

大人にこそファンタジーが必要、って
こういうことだと思うの。

現実世界で、大人は
歳を経れば経るほどに
「新たな世界」から遠ざかる。
自分から無理だと線を引くことがほとんどだろうし、
おかしなプライドから「必死に生きてきたこれまで」を捨てられない
というのもあると思う。

でも
ファンタジーは
人を常に自分の知らない世界に導いてくれる。
誰であろうと平等に。

みんなもう
天使しかいない世界なんてあり得ないことをちゃんと知ってるんだよね。
悪党中の悪党も、
まさに別の理の中に生きる妖魔も、

私たちの世界にもいるんだよね。

その中で、
私たちは私たちの信じる力、愛とか勇気とか
そういう
現実世界ではなかなか照れてしまうような言葉だけれど、
間違いなくそういうものに

人は人のそういうものに

実は支えられていたりするってことを
実感するんだと思うんだ。

自分に今できることが
「偽王」の足に額付くことしかないのなら、

自分の理を捻じ曲げてでもやってやる。

本当に成し遂げたいことのために、
自分の角で自分の身を貫くこと。
目玉を抉られ耳を削がれ指を切られること。

それを選べること。

そうまでして守ること。

それこそが、
「信念」というものなんだろうね。

なんかさぁ、
もう、
登場する誰もが
私に何かを送ってくれているよ。

泰麒だけじゃないよね。去思も、恵棟も、驍宗も、李斎も、朽桟も、

阿選も。


ちょっと、、、もう、、
麒麟が剣を持つってさ。。


死ぬ気でやって
できないことって
あるんだろうか。と思った。


この子は、
生まれ落ちたその時から、
鋼の子だったんだよね。

この子以上の
戴の麒麟が
いるわけない。

唯一無二だよ。

そして
この
鋼の民こそ
戴の民だよね。

どんだけズタボロになっても
何度足元から崩されても。


ね。
みんな挫けそうになりながらも、信じるから、立ち上がるんだね。


鋼の心を持つ者こそが
厳しい戴を生き延びることができる。

最強の鉄のハート。


やっぱりさ

私たちは色々な形で
「大切なものとは何か」を
受け取ってきてるんだよ。

鉄ハ。
チャラくても何でも
真実なのよ。

そうだね。
真実だから、心掴まれるんだね!

驍宗でなかったら
山の穴の中で何年もなんか生きれない。

鉄ハの主上を
鉄ハの麒麟が見つける。

それが必要な国に
配される。
天の采配か。


驍宗スゲー!って思ったよ、ほんと。
あの知らずにご飯流してた親子がいてくれて感謝。


いやほんと。

王が民を救い
民が王を救う。

民の継続された祈りが
王の命を繋いでた、
このリアルさ。

その上、そんな状態でも
騶虞狩れるって。


鄷都の作った墨幟の旗が

もう本当に
胸が詰まる。
去思も本当に頑張った。


いやぁー、本当に。

これから年とってばあさんになっても、こうやって
物語に感動できる人でありたい。

本当に。

誰一人欠けても、成り立たなかった。

たくさんたくさん
失くしてしまったけど。

みんな、
自分の分を
全力で命をかけて完遂したよね。

そう、正に全力で。
しかもみんな。命をかけて。
一人一人尊い命なのに。
だけど、ちゃんと驍宗と戴麒が揃ったから。
頑張ってくれてありがとうだよね。

本当に。

私は戴の民でもなんでもないんだけどさ、
頑張ってくれてありがとうって心底思うよ。

つーかさ!
なんで阿選が妖魔使えるの?
なんてこった!と思ったわ。
その意味では
琅燦が本当にわけわかんない。

とはいえ、仕方ないよね。
黄朱には黄朱の理があって。私には馴染んでいないだけで。

琅燦がいなければ、
成り立たなかった。

こういうことだよね。
他を認めるって。

民あっての国だよ。
国って人なんだから、結局。
人間を大事にしなきゃ。

今回の『白銀』は、
なんか今まで以上に
いろんなことを風刺じゃないけど、表してる感が強い気が。

傀儡なんて、もう、
ね。
指示待ち、みたいな。

だけど、恵棟は
かわいそうだった。。(泣)

そういう意味でも
阿選憎し。


ほんと。
可哀想だった。元々国のためを思う正しい人だったのに、あの変な妖魔のせいで。
阿選のやつめ。

とはいえ、
阿選の一部が自分にもない訳じゃなくて。悔しいけど
なくはなくてさ。
矛先を間違ったら、ほんと、
ダメだよな、って。

ニクいあんちくしょうなの。
だけど、私の中にも、
一歩間違えばああいうふうに転んじゃう感情がない訳じゃないのよね。。
そこもまた、そういうダークな感じもちゃんと描いてあってさ。。

それね。あるよね。

でもさ、
リーダーシップってほんと大事だね。
今回のコロナでも、国のリーダーのやり方で明暗が分かれてるっていうのあるし。

戴は、ほんと阿選が偽王に就いたから不幸だった。でもでも、驍宗が帰ってきた!
よかったよ。

キモいあの妖魔、
鳩、ってだけで私は
何かある…!って思ったからね。
アンチ鳩だから!

絶対いるんだよね、どこにでも。
ああいう鳩放ってくる人。

いるんだわ。
ほんと、気をつけてないと。
気をつけてても、いるしね。


なんかさ。
自分が王だし、
自分が麒麟だと思う。
そう思って、そういう感想?を持って読み続けてきたんだけど。

だけど、最近は
自分の中の「王と麒麟」を、
失道させないように
頑張るのも
自分の務めだなぁと思うよ。
なんかうまく言えないけど。

そうね。
自分の中に、たくさんの自分がいるんだけど、
「たくさんの自分」に失道させられないように、みたいなね。


偉くなくたって自分的にくらいは正しく生きたいと思う。
頑ななだけじゃなく、柔軟に人の話も聞ける人でありたいし。

本当にね。
伝統とか、旧き良きものを大切にすることと、
新しいものを受け入れない、は
別のものだよね。

自分に必要かどうか。
本当に必要かどうかは、
聞いてみないと、触れてみないと判断できないよね。

一旦は受け留めて、
それから決めないとね。

飛燕が死んでしまったの、
本当にグサっときた。

すごくショックだった!

今改めて「風の海 迷宮の岸」を読んでて。
自分が不甲斐ない、転変もできない、折伏もできないと泣いてる泰麒に
涙。
飛燕・李斎に初めて会った場面で
涙。
まだ右腕のある李斎。

これから先に
あんなことやこんなことが待ち受けているなんて
誰も知らなかったよね。

「過去のすべてが今につながっている
だとすれば、
今はこの先の未来に必ずつながっている。
今はそうとわからなくても」
って
本当、戴のための言葉みたいだね。

ほんと、最後にあんなことが起こって終わったから、ええー!そんな酷いことって。
心配と不安が募ってたよ。

そして今回に繋がった。
未来の戴の平和と安寧を願ってやまないよね。

しかもさ。

上巻のあとがきが
「前作(月の影 影の海)がご好評頂けたことで、続編を書かせて頂けました!さらに続編も書けるといいなぁ、などと考えております。下巻もおつきあいいただけると幸いです。」って

小野先生すら
この年月を経て、
ご自身の闘病も経て、
白銀の世界を書くまでに至るなんて
思ってなかったんだね。

感慨無量。。


あれだけの物語を描いていくって並大抵じゃないよね。
どれほどのエネルギーが必要なのか。
すごいよなぁ。
そして私たちはその世界に浸り入って、感動して涙するんだね。
そうやって、他人の心を揺さぶる力があるってすごいよなぁ。


本当に。
鋼の精神力がないと
絶対無理だよね。

本当にすごい。
尊敬だけじゃなく、
恐れ入るっていうのか。
感服というのか。

読み返して思ったけど

泰麒は、最初から
タダモノじゃなかったよね。当たり前だけど。
蓬莱行ったり来たりだとか、黒麒だとか、饕餮を使令に下すとか、

タダモノじゃない、って繰り返し言われてるのに、
タダモノじゃない泰麒が当たり前になってた。

これはもう、

泰麒だもの、
剣持って人斬るし、
やるってなったらものすごい胆力で踏み潰すわね。

なんか、納得。
驍宗の不安だった「これだけの力があるのに無自覚」「守るものがないと発動できない」のは
「恐ろしくもある」
が、

自分でコントロールできるようになっただけで、
恐ろしいくらいの強大な力は
泰麒そのものの力で
消えることなんかなかったんだよね。


たしかにタダモノじゃないよね。
ある意味、王よりタダモノじゃないよね。
血や穢れに弱いのに、それをも乗り越えちゃって、末恐ろしいというか、力強い。


それと同時に、
やっぱり戴には泰麒くらいの尋常じゃない麒麟じゃなきゃダメだったんだと思うよね。
阿選のやり方って、一番どうしようもないっていうか。
ヤル気ゼロ放置、かつ妖魔使って魂抜くってさ。
もう、何が目的だかわかんない悪っていうか。

今までみたいに、王になりたい、自分の意のままにしたい、みたいな、どっから見ても悪ならさ、失道するし、
悪党はちゃんと麒麟が付いた王が討つじゃん。

王を生殺しにしといて、自分もヤル気ないけど、とりあえずずっと王風味、、、って。
最初読み始め、本当、取りつくしまがないというか、
どうすることができる?
できること、あんの??ってめっちゃ不安になったもんね。

泰麒の剛腕じゃなきゃ
暗黒時代は延々と続いてたよ…


そうそう、気味が悪すぎて身震いしたよね。やる気のない王と魂を抜かれた人たち。
魂ぬかれている相手には言葉も通じないし、どうしようも出来ないもんね。。

思い出したらまた恐いわ。。
よかった、剛腕戴麒がいてくれて。


本当、無限ループで荒れ放題…?みたいなそら恐ろしさがあったわ。。
だって、よっぽどじゃないと王と麒麟が自然死するって、何年??って話でしょう。
うー…こわ。。


はああー、つくづく戴麒がいてくれてよかった、動いてくれてよかった。

本当、思った。何回も言うけど、
泰麒じゃなきゃダメだったよね。
景麒や六太でも、やっぱりダメなんだよ。
驍宗だから、泰麒で。
戴には、二人じゃなきゃダメだったんだよね

そういうことなんだね。
なんか、ほんと、色々感無量。


読了して、

心から思う。
読んで良かった。
十二国記の読める時代に生きていて良かった。
十二国記を知らずに死ぬ年代でなくてよかった。
読む前から、絶対そう思うんだ、って
確信してたけど。
ロスが心底怖くて、嫌で、だいぶ置いといた訳だけど笑

なんだろう。

終わった、のだけど。
色々な国のこれまでを
また振り返りたくなるね。

懐かしい人に会うように。
懐かしい気持ちになるように。
そして、

読み返すたびに湧いてくる新しい気持ちを
期待して。

そうだ。
忘れないでいようやね。

私たちも本来
鉄ハを持ってること。

そうだよね。
あの世界を知って、鉄ハを知って感動したんだから、忘れない、きっと。

ついつい忘れちゃうけど、


何回も思い出そうね。

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