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不登校とおいしいごはん。2月の読書記録

3月にはいってあっという間に日が過ぎてしまいましたが、2月の読書記録。エッセイや児童文学、ビジネス書など10冊の本を読みました。

心が軽くなった、不登校に関する本4冊

「不登校」という言葉、世の中からなくなってほしいなぁと切に思うんです。特に、娘が学校をお休みするようになってから。

個性が強いので、「もしかしたら、そういうこともあるかも・・」と幼稚園時代から思っていましたが、実際学校へ行かなくなると、受けたショックは想像以上でした。このショックは、行きたくないという娘に対してよりも、それをすんなり受けられなかった自分自身に。

学校以外にも選択肢はあるし、いろんな生き方がある。学校が合わなかった時の選択肢も調べてある。ーーでも、「学校行きたくない」と言われたときは、パニックに陥ったし、常態化すると「このままで大丈夫かな?」と不安に襲われる。思い立って何冊か不登校関連の本を読んでみることにしました。

1.不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~

親子支援ネットワーク あんだんて 著

ご自身もお子さんの不登校を経験し、支援団体を立ち上げたお母さん方たちから生まれた本。実際に不登校を経験し、社会人になった方たちへのインタビューなど、実例も交えながらの構成です。

不登校にも段階があること、それぞれの時期の特徴的な行動などが記されているので、「うちの子はいまどの段階だろう?」と客観的に分析できるようになったことが、私にとっては大きな収穫でした。

ついつい、目の前の子どもの姿だけにフォーカスして、自分の経験をベースに未来を想像して危惧してしまう。けれど、本当は親の想像した未来が現実になるわけじゃない。「焦らなくて大丈夫だよ」と、そっと包み込んでくれるような優しさを感じる本でした。

2.学校に行きたくない君へ

 
全国不登校新聞社 (編集) 

全国不登校新聞社による、20名の著名人へのインタビュー集。樹木希林さん、荒木飛呂彦さん、西原理恵子さん、リリー・フランキーさん、辻村深月さんなど、錚々たる顔ぶれです。

それぞれに、面白さや「あぁ、こういう考え方もあるんだ」という発見があったのですが、
田口トモロヲさんの

テーマはいつも一つで「この地獄をどうサバイブして楽園にするか」それだけです。

安富歩さんの

ゲームの「ポケットモンスター」ってあるでしょ。受験や就職で戦っていたのは、私じゃなくて私のポケットモンスター(社会に適応するためにつくられた自分)だったんです。成功しても、それは私ではなく私のポケモンが成功してるだけなので、うれしくないんです。私だけでなく、ほとんどの人がそうなんです。子どもは親のポケモンだし、戦っているのは、その子自身のポケモンなんです。だからこそポケモンはあんなに人々を惹きつけつける。

という言葉が個人的に印象に残りました。
いろんな生き方がある、と勇気づけられる本です。

3.不登校でもう悩まない!おはなしワクチン
4.「とりあえずビール。」で、不登校を解決する

蓑田雅之 著

無印良品のメルマガで偶然出会った、蓑田雅之さんの教育に関するエッセイ。共感する部分が多かったので、調べていたらこちらの2冊に出会いました。
お父さん視点で書かれた不登校関連の書籍で、夫とも視点を共有したいなという気持ちで購入。『不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~』と重なる部分もありながら、オルタナティブ教育についての具体例も交えながらの内容で、さらりと読めました。おはなしワクチンの方は、不登校になることもあるので、心構え的に知っておきたい内容。幼稚園の頃に出会って夫と共有できたらより良かったなぁ〜

自己肯定感、教育、おいしいごはん。エッセイやビジネス書など

ひとつの問題ばかり考えると(不登校とか)、息詰まってしまうので。
日々を慈しむようなエッセイに心があたたかくなる時間や、未知の世界にワクワクする時間、児童文学で美しい言葉に触れる時間も大切にしたくて、色とりどりな6冊の本を読みました。

私の居場所が見つからない

川代紗生 著

天狼院書店のWEBサイトに掲載された川代ノートを編集した本です。
川代さんが書いた記事をきっかけに、天狼院書店のライティング・ゼミを受講するなど、私が大きな影響を受けました人物。川代ノートも、読むたびに「あぁ、そうそう私もそう思ってたんだよ」と共感の嵐でした。

それが、一冊の本にまとまった時。

面白くはあったのだけど、私自身の考え方が変化したこともあり、当時のような共感・感動は得られなかったんですよね。これは、本の内容というよりは受け取る側の私自身の問題ですが。

WEBで読んで「めちゃくちゃ面白い!」と思ったけど、本になったら「あれ・・?」ーーという体験が、何度か続いていて、“何度も読み返したい本”との差って何なんだろう? と考える日々です。

読んで旅する、日本と世界の色とりどりの教育

武田 緑 著

Edutripを主催する著者による、日本と世界各地のさまざまな教育のあり方を紹介した一冊。著者の甥たちから、教育に興味をもったきっかけ、さまざまな教育機関を訪れた際のレポートがまとまっています。

オランダや北欧などの現地レポートから、子どもの個性やウェルビーイングを大切にしていて、一人一人に合わせて学校や学びのスタイルを選択できるようになっているのがいいな、と感じました。

日本でもオルタナティブ教育の学校が増えているけれど、まだまだマイノリティ。これから変わっていくといいなぁ〜

超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図

椿 進 著

「これから、アフリカが来そうな気がする・・」
ある日、ふと思い立ち検索したら出てきたこの本。
広大なサバンナ、野生動物というアフリカのイメージが覆りました。
ドローンを使った医療、キャッシュレス化率90%など、アフリカの“今”と“これから”が、ファクトベース・ビジネス目線で書かれた本です。テクノロジーを駆使したサービスが、ユーザーにとって本当に便利な形で実装されていて、アフリカへのイメージとのギャップ、日本とのギャップに驚きながらも、ワクワクしながら読み進めました。
アフリカは広いので、地域による成長の差はありますが、大きな可能性を秘めた土地だと知り、俄然興味が湧いたのでした。

巴里の空の下オムレツの匂いは流れる

石井 好子著

学生時代からずっと気になっていたのに、なぜか読まずにきていたこの本。
シャンソン歌手の著者が、「食」を中心にパリでの生活をつづったエッセイです。1960年代に書かれたので、食材の呼び方一つとっても微妙に違ったり(バターをバタ、小麦粉をメリケン粉など)、この60年で大きく変化した食文化との違いを感じながら面白く読みました。
表題のエッセイを読んだら、無性にオムレツが食べたくなり、翌日は卵をたっぷり使ったオムレツを作ったら幸せな気持ちに。
ふと、著者が今の「映え」な食文化をどう見るのかなと、思いを馳せたのでした。

人生はこよなく美しく

石井 好子著

前出の石井好子さんが、さまざまなご家庭をおとずれ、料理と食卓をともにした様子をつづったエッセイや、パリで出会った人々、著名人におしゃれについて取材したことなど、料理にとどまらず幅広い内容の一冊。
時代の違いを感じながらも、真にある”美意識”に触れることで、背筋がシャンとするような気持ちになりました。


赤毛のアン

ルーシー・モード・モンゴメリ 著/村岡花子訳

言わずと知れた名作児童文学ですが、映画や朝ドラの「花子とアン」は見ていたものの、実は原作を読んだのは初めて。
とにかく、ひとつひとつの言葉、表現が美しくて魅了されました。
突飛で夢みがちなアンに、なんとなく自分の娘と重なる部分を感じて、あたたかい心を持って関われば、ちゃんと成長していくのだと安心感をあたえてもらいました。
終盤に出てくる一節がとても良かったので、ご紹介します。

あたしがクイーンを出てくる時には、自分の未来はまっすぐにのびた未知のように思えたのよ。さきまで、ずっと見とおせる気がしたの。ところがいま、曲がり角にきたのよ。曲がり角をまがった先に何があるのかは、わからないの。でも、きっといちばん良いものにちがいないと思うの。それにはまた、それの素敵に良いところがあると思うわ。その道がどんな風にのびているかわからないけれど、どんな光と影があるのかーどんな新しい美しさや曲がり角や、丘や谷が、そのさきにあるのか、それはわからないの。

赤毛のアン「道」の曲がり角より

合計10冊の本を読んだ2月ですが、本の世界にひたりながらも、現実ではなんとなくモヤモヤを抱えて過ごす日々でした。
雪が多かったり、コロナだったり、モヤモヤの要素はてんこ盛り。いつになったら気持ちが晴れるのかなぁなんて思いつつ、散歩したり、美味しいご飯を作ったり、クッキーを焼いてみたり。そして、ある日気づいたら、何があったわけでもなく、ふっと少し気持ちが軽くなっていたのでした。春はもうすぐだ。

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