遠藤さや

小説を書いたり、短歌書いたりしてる人。本の紹介も不定期でやっています。

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マガジン

  • ちまちま書いてる小説

    書くのは好きだが、読み返すと小っ恥ずかしいのが多い。

  • 本関係のやつ

    いろんな人から見てもらえてるやつ。また色々書いて追加していきたい。

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ええ感じに続け カッテェッセイ

私は死ぬまでにやりたいことはそこそこある。世界一周クルーズも、札束ビンタもやってみたい。そんな私のやりたいことリストの一つにあるのが、「文芸誌にエッセイ載っけてみたい」である。 まあ、壮大な感じで話すのはここら辺までにしてこんにちは、遠藤さやです。 「将来的に文芸誌にエッセイを載せたい私が勝手に月一くらいで、そこそこの文字量のエッセイ仕上げて練習したろ」ってのをやります。よかったらみてって下さい。 冷静に考えて、文章全然書けない奴にそんな依頼は舞い込まないし。「やるだけ

    • 音楽を楽しんで ショートショート

      「これ、ください」ある春の日、僕は高校生のなけなしのお小遣いと共に、楽器屋に来ていた。 目の前にはツヤツヤに磨かれたギターがある。 音楽が好きだった。高校受験もお気に入りのプレイリストと共に、乗り越えた。ライブも何回も行って、その度に何度も涙を流した。 でも、同じくらい音楽は自分からは遠いものだった。 中学の時、入学してすぐは吹奏楽部に入るつもりでいた。でも、部活紹介で奏でられた美しい音楽を聴くうちに、自分は場違いのように思えて、結局テニスサークルに入った。 才能の有無

      • 開けて ショートショート

        雨の降るベランダに、黄色いレインコートが浮いている。 足のあたりには何もなく、顔周りは黒く影を落としている。 周りには何も引っかかるモノはない。 なのに、空中で静止している。 ゆっくり腕の辺りの布が上がり、裾が下される。それが何回もゆっくり繰り返す。 窓にコツン、コツンとレインコートの裾が当たって音が鳴る。 男の息は少しづつ早くなる。これは多分、本物だ。 こんな場所に1人ではいられない。 男は財布だけ持って、雨に濡れながら家を飛び出す。 外からベランダを見る余裕はなかっ

        • いってらっしゃい ショートショート

          「うわー苦」 大学生になったことだし、もうそろそろ飲めると思っていたが、あまりの苦さにリビングの机で悶絶する。 「まだコーヒー飲めないのか?」キッチンカウンター越しにパパが煽る。 「うっさいやい」 「案外まだまだお子ちゃまだな」 パパは自分の分のコーヒを淹れながら、ニヤニヤ笑っていた。 数年前まで、パパはよく家でコーヒーを淹れていた。 最近は忙しくって全然できてなかったけど、なんとなく我が家の習慣な気がしている。 「コーヒーで服汚すなよ」父さんもワイシャツ着てるじゃないか、

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        ええ感じに続け カッテェッセイ

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          長い長い待ち合わせ ショートショート

          唯一の明かりである鉄格子からの太陽光が、雲によって消える。この暗さだとじきに雨が降りそうだ。 私は読みかけの本を閉じ、部屋の隅に向かう。昨日、この部屋の隅に蜘蛛の巣があるのを見つけた。 「蜘蛛さん、そこは濡れちゃいますよ」私は蜘蛛に手を伸ばす。この雨にあたっても死にはしないだろうが、弱るのは間違いない。 蜘蛛はちょこちょことした小さな足で、私の指に絡まってきた。 いつか私の大切な人が、蜘蛛を助けると地獄に堕ちた時、糸を垂らして天国まで連れて行ってくれる、なんて言っていた。

          長い長い待ち合わせ ショートショート

          銀杏と桜 ショートショート

          「この木に桜回線引かない?」 庭に咲く銀杏の木は黄色く色づいていて、秋の淡い空によく合っていた。 妻が言っているのは、最近話題の桜回線のことだ。なんでも回線契約をして、コードを木に差し込むと、年中その木に桜が咲くようになるらしい。 「桜回線はいらないんじゃない?」 「えー、せっかく中古の家買うのに」 妻は勿体無いと言わんばかりの顔をする。 確かに年中桜の木になったら綺麗だろうが、同棲先から引っ越すのにも、家のメンテナンスにも、お金がかかる。 桜回線を引けるほどの余裕はない

          銀杏と桜 ショートショート

          肴のあては月 ショートショート

          娘から 「火星の遊園地に行きたい」と言われたのは、昨日のことだった。 まだ空きもあるだろうと 「GWにでも行こうか」 と言ってしまったが、不味かったかもしれない。 人も住んでいる火星行きのチケットは殆ど売り切れていて、なおかつ割高になっていた。 どうしたものかと、パソコンの前で項垂れてながら、サイトを見ていると一つだけかなり空きのあるものを見つけた。 「三日月行き 乗車時間1時間」 どうやら今年のGWは三日月と被っており、あまり人気がないようだ。 値段も非満月割として、かな

          肴のあては月 ショートショート

          当分恋の中 ショートショート

          ホワイトデーのお返しができるのは、勇気と度胸のあるわずかな人だけだと思う。 僕の学生鞄には、手作りのチョコレートが入っていた。 僕、黒野卓郎はクラスメイトからバレンタインにチョコを貰った。 「いつも世話になってるから」とそっけなく渡されたチョコは、この時期になるとスーパーで売られている箱に入った既製品のチョコで、いわゆる友チョコだと思う。 僕はそのクラスメイトのことが好きだ。 でも、友チョコということは『貴方とは恋愛関係ではない』ということである。 その当たり前の事実が

          当分恋の中 ショートショート

          愛しき心 ショートショート

          チピチピ♩チャパチャパ♪ 最近ネットでよく聞くあの音楽が、彩月のスマホから聞こえる。 「なあ、それ見るのやめろよ」 「なんで、いいじゃん」 今は学校のお昼休憩の時間で、彩月はツナマヨおにぎりを食べている。 「あれでしょ、流行りに乗りたくなくて逆張りしてるんでしょ」若干的を得ていて気まずくなり、俺は弁当のブロッコリーを食べて茶を濁す。 数秒の沈黙を肯定と捉えた彩月はさらに言葉を畳み掛けた。 「さすが、とっても賢い葵様は下々の物と感性が違いますね」 「いや、そんなんじゃない

          愛しき心 ショートショート

          ワンショット ショートショート

          「おい、クソ女!何処にいる!」追手が来るとは思っていたが想定以上に早い。 幸い、コンテナが迷路のようになって互いに居場所がわかっていない。コンテナターミナルまでリスクを負って逃げてきたのは、間違いではなかった。 3分以内に仕事を終わらせる。そんな特性から私はレトルトと呼ばれていた。 ただ、今日は少し違った。 部屋に侵入し、ターゲットに銃口を向けるとそこには、頬を赤くはらす子供がいた。 聞けば、マフィアの娘として、両親から教育を受けたらしい。体には幾つか痛々しいあざがあった

          ワンショット ショートショート

          むっちゃ遅いですが、寝かせていたTwitterアカウントを開きました。 交流手段として有効活用したいという思い 私のnoteアカウントから飛べる(はず)

          むっちゃ遅いですが、寝かせていたTwitterアカウントを開きました。 交流手段として有効活用したいという思い 私のnoteアカウントから飛べる(はず)

          いつかの冒険 毎週ショートショート

          ある夏の日、僕は友達と洞窟に来ていた。理由は単純冒険をするためだ。 「ねえ、本当に行くの?」薄暗く湿り気のあるその空間は、僕たちの不安を煽る。 「行くぞ」友達が懐中電灯を前に照らしてそう言った。足は少し震えてた。 覚悟を決めて入った洞窟はそこまで大きくなく、教室の半分くらいの大きさだった。なにかないかと洞窟をうろうろしていると、不意に友達が肩を叩いた。 「おい、これ見ろよ」 「ただの壁じゃん」 「よく見ろって」照らされた岩壁をよく見ると、うすく白い線が書かれているのに気がつ

          いつかの冒険 毎週ショートショート

          デジタルバレンタイン SF風に

          口の中でチョコレートが溶けて、甘さが広がる。味わいながら飲み込むと、目の前にいる彼女は満面の笑みを浮かべた。 大好きな人になら、どんな物も渡すことができる。そんな言葉と共に、世間では細胞内に溶け込むマイクロチップ入りのチョコが、バレンタインの定番商品となった。 このチップは使えばスマホのアプリを通して、脈拍や位置情報は勿論のこと、ストレス値や幸福度まで知れるという。さらに彼女が望めば、チップの電子信号により僕を殺すこともできるらしい。彼女は文字通り、僕の全てを握っている。

          デジタルバレンタイン SF風に

          テスト勉強 毎週ショートショート

          「ねえ、人を思い通りにできるリモコンがあったら買う?」 アイスコーヒーの氷がカラン、と音を立てて溶ける。駅前から外れた商店街の中にあるせいか、店内には同級生の彩月と俺以外誰もいない。 「そんなこと言ってないでさっさと手動かせ。前のテスト赤点だったんだろ」ただ、勉強をし始めて1時間ほど経っている。彩月も机に突っ伏しているし、休憩の頃合いなのは間違いない。 「俺だったら、そんなリモコン買わないかな。てか、行列できてて買えなさそう」彩月の話に時差で乗る。それでも彩月は机から起き

          テスト勉強 毎週ショートショート

          最近また余力が出てきたので『過去来たコメントに返信しようの会』をする。 リアルが忙しい時はコメント返信あんまりできないけど、見返してニヤついてたので、その気持ちを伝えてぇ

          最近また余力が出てきたので『過去来たコメントに返信しようの会』をする。 リアルが忙しい時はコメント返信あんまりできないけど、見返してニヤついてたので、その気持ちを伝えてぇ

          宴会 毎週ショートショート

          妖怪、神、その他諸々の存在に対してサービスを行う旅館が日本国名にはいくつか存在する。そんな旅館の中でも特に、鬼にご贔屓にされているのが当旅館『地獄屋』である。 東館は、苔が少しはえた石畳を登ってすぐの場所にある。台車の上には洋から和まで、あるだけのお酒を乗せてきた。既に20個もの樽を開けているのに、よくそんなに飲めるものだ。 「ルームサービスをお持ちしました」3mほどの玄関扉の前で声を張り、呼びかけると1人の鬼が出てきた。 入ってすぐの大広間では沢山の鬼たちが宴会を行なっ

          宴会 毎週ショートショート