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(感想)自分であり他人である

(以下、筆者Xアカウントより転記)

3/29に映画『瞳をとじて』鑑賞。人は映画の中に自分と他人を同時に観ることができる。そんなようなことを思った。例えばスクリーンの中から見つめてくる人物が、自分が演じた役だったとして、それは他人なのか、自分なのか。どちらにもなり得るような気がするのだ。

映画の撮影中に失踪した俳優。未解決事件として彼の失踪を取り上げるテレビ番組。番組出演にあたり関係者に会うかつての監督。番組を通じて得られた彼の情報。「映画」がキーワードであるからにはこうなるのでは、という予想を裏切らない展開がいい。

ビクトル・エリセ監督のデビュー作『ミツバチのささやき』でアナ役を演じたアナ・トレントが再び「アナ」を演じる。役同士に関連はないが、年月を経た同じ人物が、同じ名前と言葉を映画に残していくことの重みみたいなものを感じる。

そしてこのタイトル。今、観たものを反芻するのか、その先を考えてみるのか、観終わった後も、閉じた瞼の裏で物語が続いていくよう。


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