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リカバリー麻婆豆腐

「そしたら僕が作るわ」

仕事に行こうとした私に夫がそう言った。

晩御飯の買い出しに行ってくれるというので「揚げ出し豆腐が食べたいんだよなあ」と話したところ、「そしたら僕が作るわ」と。

夫は一人暮らしをしている頃からも、細かいものは作れないけど、カレーやからあげやとんかつなどは自分で作っていたようで、結婚してからも私が仕事で夫が休みの日は時々「今日は何か作ろうか」と提案してくれることがある。正直めちゃくちゃ有難いし、そう言ってくれた日はいつもより晩御飯を楽しみに仕事を頑張るまである。
人が作ってくれたご飯ってだけでもううれしいよね。

しかし揚げ出し豆腐、私は何度か作っていて慣れているけど、水抜きして片栗粉つけてから揚げなあかんからめんどくさいやろし、出来てるものを買ってきてもらえたら~と伝えたが、「レシピ調べてやるからいいよ」と。
元から慎重派の夫、料理は私より調べてからちゃんとやる人だし、そこまで言うなら楽しみにさせてもらお!と仕事へ。

その日の仕事終わり、くたくたではあるもすっかり揚げ出し豆腐の口になっている私はLINEで帰宅連絡しようとスマホを見ると、夫からの「えらいことになった」というLINE通知がきていた。

開くとそこにはフライパンの上で若干グズグズになった豆腐の画像が。
大失敗しとるんかい。
「作ろうとしてくれたことに意義があるので問題なし!」と返事してなだめるも、どんどんリカバリー出来ない姿になっていく豆腐の画像が実況形式で追加でどんどん届き、ついに途中で耐えられなかったらしく、「今からスーパーにいって麻婆豆腐に変更します…」と連絡がきた。

出来上がったリカバリー麻婆豆腐、見た目は正直グズッとしていた。
揚げ出し豆腐を作ろうとした名残の片栗粉が溶けて塊になったぶよぶよが沢山あったり、苦戦した名残の細かすぎる豆腐たちで構成されていたり。
本来の麻婆豆腐としてはよくない所もあるけど、夫が頑張って作ってくれた姿が物凄く目に浮かぶこの状態、私はすっかり愛着まで湧いてきたくらい。

「美味しくないと思うから残してええで…」という夫をスルーして、がっつりしっかり頂いた。

「今日の料理は0点やな…」と落ち込む夫
「いや、揚げ出し豆腐にはならなかったけど、作ろうとした事に意義がある点、努力点、そして麻婆豆腐にしようと考えついた判断力と技術点、そして結果美味しいので100点です!!!!」と即答した。

つまり私が美味しいし嬉しいんだからそれでいいやん~~とにっこりハッピーエンド締めにしようとしたけど、頑なに100点を拒否されてしまい、結果20点が落としどころとなった。

夫氏の次回作にもご期待しとこう。

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