まりたつきほ

小説を書いています。短歌をよくします。 実はほかにもいろいろと…… まりたつきほ/国東…

まりたつきほ

小説を書いています。短歌をよくします。 実はほかにもいろいろと…… まりたつきほ/国東杏蜜(短歌人所属)/ほかの名前いくつか

マガジン

  • 考え、それから。

    何度か読み返すものや考えたことを…

  • 短歌

    「短歌人」に掲載された短歌を集めていきます。国東杏蜜名義。

  • 超・短編小説集

    500字と800字の超短編小説を基本的に… いろんな名前で書きました(そして忘れました)てのひら怪談やみちのく怪談に投稿したものもあります。

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固定された記事

相談ドットコム

 相談ドットコムには今日も面白い話がたくさん集まってくる。  ID制の掲示板で、相談者が書き込み、それにおせっかいを焼きたい人々が答えていく。専門的な質問もあれ…

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さようなら

わたしはあなたに会えてよかったと思う。わたしはあなたに会えてよかった。わたしはあなたの姿を見る、あなたはわたしの姿を見る。 そのときわたしは、あなたがぼろぼろの…

まりたつきほ
2か月前
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たんか 202104

わたしにも人の心があったと言う風の噂で泣いてしまった けぶる森、湖のボート、バルテュスのポーズで眠っている女の子 てきとうにうそついた朝うそだってしってきいてる…

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はとの学校日記

……というわけで、2022年3月、社会人になって編入した放送大学を無事卒業いたしました。3年計画だったので(だったっけ?)まあ順当に単位がとれたというところでしょうか…

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たんか 202103

窓の光に猫が寝てるをまたいで開ける風、まだすこし花粉が匂う 映画館 予告でへとへとになっているポップコーンは誰かにあげる 白い店今も買いたい絵がかかる壁のストラ…

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はとの学校ファイナル(ではない)

春に机の位置やベッドの位置を入れ換えたりしているうちに(模様替えではない)パソコンの電源コードがコンセントから遠い… めんどい… とかいって状況が好転しないもん…

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たんか 202102

ネヴァーモアとカラスは言うが信じないネヴァーモア耳を塞いで眠る 痛みは槍 力点がやけに遠くあり崩れつつある高速道路 銀木犀が泣いてわんわんでかくなりついには星を…

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たんか 202101

大破してまだ息がある鹿があり銃がなく弱い両手がある 死を見張るわたしの両眼を怖がって暴れる鹿の痛みが垂れる パジャマのまま黒い群衆に紛れ込む白い窪みに沈香がにお…

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たんか 202012

クレンジングオイルが浴室にもうないがジーンズを出てTシャツを脱ぐ 葉脈が木に似ているのはかわいいこと好きに生きてもいいと知ってる 金の籠に果物を置く葉を毟る画家…

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たんか 202011

人形の背骨になる日の左腕 木で言えば楓、実で言えば栗 俺のこと歌にするのと聞く人にできないよってとりあえず嘘 かけがえのなさをもたずにうまれてきた人間でいて竹の…

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たんか 202010

たすけてって言ったらたすかる? たすかるなら言う? タッパーウェア みんなして人差し指を負傷して土嚢の口をくくったしるし 視界から消えることしかできることないよ…

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不眠ではなく

とにかく眠い。眠くてぼんやりしている。なぜ眠いかというと眠れないからである。この話をすると眠かったら寝ればいいのにと言われるが、そうできたらいいとわたしもほんと…

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たんか 202009

お嬢さん、おはいんなさい出れないよ回転が複雑になっていく セロテープの台でむちゃくちゃ殴ってる これは夢です あれは星です 愛なんていずれ忘れるものだけどほんと…

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たんか 202008

人生の最初の方でこけたままだれかが台車を押してくれてる 明け方に発作があるとわかってて眠る胆力を見せつけてやる 麻酔から覚めたとたんに嘘をつくうわごとを言ったか…

7

たんか 202006

ねえなあに たばこをとんとんするのはなあに ねえそれはなんのおまじない だめですよ毎晩泣いても偉くなるお友達がもう増えないらしい 人は愛で倒れたりはしないんだっ…

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たんか 202003

騙されて笑ってるようじゃ人間を信じたことにならないらしい 優しさが足枷になるという人の鎖の断面をよく見てみる いきにしたはなしをかえりにまきもどす景色をたよりに…

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相談ドットコム

相談ドットコム

 相談ドットコムには今日も面白い話がたくさん集まってくる。
 ID制の掲示板で、相談者が書き込み、それにおせっかいを焼きたい人々が答えていく。専門的な質問もあれば、こども相談室のような素朴な質問があり、ただの言葉遊びがあり、明らかな釣りがあった。
 釣りだって少量ならおいしいスパイス、立派なエンターテインメントである。有象無象の人々がいるこの日本の片隅で、夫が動物園のシロクマと浮気をしたり、火星人

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さようなら

さようなら

わたしはあなたに会えてよかったと思う。わたしはあなたに会えてよかった。わたしはあなたの姿を見る、あなたはわたしの姿を見る。

そのときわたしは、あなたがぼろぼろの傷だらけであることに気づく。わたしはあなたの傷に触れることをためらう。

あなたは誰?

傷だらけのあなたがあなただろうか、それとも傷づく前のあなたがあなただろうか。傷は癒えるものだろうか、それはこの先永遠にあなたに刻まれたものであろうか

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たんか 202104

たんか 202104

わたしにも人の心があったと言う風の噂で泣いてしまった

けぶる森、湖のボート、バルテュスのポーズで眠っている女の子

てきとうにうそついた朝うそだってしってきいてる顔おもしろい

八ヶ月ぶりですよという美容師の手にはさみありよい人である

口に入れすぐに継ぎ目をさがしてる飴を割るとき祈る太陽

こわい できないことが消えてくだんだんできそうな気がしてくる

(「短歌人」2021年4月号 国東杏蜜)

はとの学校日記

はとの学校日記

……というわけで、2022年3月、社会人になって編入した放送大学を無事卒業いたしました。3年計画だったので(だったっけ?)まあ順当に単位がとれたというところでしょうか。間に新型コロナの蔓延や土日休めないサービス業への転職を挟んだこともあり、卒業式もなーんも出席せず、やけにでっかい学位記が家に届いてそれでもやっぱり実感はありません。

まじか、卒業ってしようと思えばできるんだな。

日本語をうまくで

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たんか 202103

窓の光に猫が寝てるをまたいで開ける風、まだすこし花粉が匂う

映画館 予告でへとへとになっているポップコーンは誰かにあげる

白い店今も買いたい絵がかかる壁のストライプばかり思い出す

歯磨き中鏡の中で笑っているのはイマジナリー姉さん陽気です

嬉しいな、すてきなたのしい歌集を買ったでもきっとどこかで人が死ぬ

歌集ってミステリの次くらい人が死ぬしかもほんとの死だって 噂

           

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はとの学校ファイナル(ではない)

はとの学校ファイナル(ではない)

春に机の位置やベッドの位置を入れ換えたりしているうちに(模様替えではない)パソコンの電源コードがコンセントから遠い… めんどい… とかいって状況が好転しないもんかしら、と祈ったりしてみましたが当然むりで、平気で半年くらいたってしまいました。あるある(ない)あ、ついでに転職しました。

通信制の大学も5学期目が終わり、10月から6学期がはじまります。夏休みってわけですね。さあここで単位が全部とれたら

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たんか 202102

たんか 202102

ネヴァーモアとカラスは言うが信じないネヴァーモア耳を塞いで眠る

痛みは槍 力点がやけに遠くあり崩れつつある高速道路

銀木犀が泣いてわんわんでかくなりついには星を降らせる話

季節が去るそのおとがとてもいやだからいいこにしてるがまんができる

立居全て祖母に似ており葬式に出ると周囲の時間が戻る

昼寝する猫を枕に目をつぶるゆるやかな上下、いずれくるパンチ

(「短歌人」2021年2月号 国東杏蜜

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たんか 202101

たんか 202101

大破してまだ息がある鹿があり銃がなく弱い両手がある

死を見張るわたしの両眼を怖がって暴れる鹿の痛みが垂れる

パジャマのまま黒い群衆に紛れ込む白い窪みに沈香がにおう

ひがさでもみぎしたをむけふりはらうぱらぱらおちるひかりのしずく

やわらかい心がなくてわからない優しい言葉もみすみす捨てる

なぜおまえうまれてきたと声がする答えるなそれは質問じゃない

(「短歌人」2021年1月号 国東杏蜜)

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たんか 202012

たんか 202012

クレンジングオイルが浴室にもうないがジーンズを出てTシャツを脱ぐ

葉脈が木に似ているのはかわいいこと好きに生きてもいいと知ってる

金の籠に果物を置く葉を毟る画家を待ってる静かな光

村でまた行方不明者が出たもよういるのにいないいないのにいる

手を擦りドアの隙間に足を入れするり、生まれた日をやり過ごす

(「短歌人」2020年12月号 国東杏蜜)

たんか 202011

たんか 202011

人形の背骨になる日の左腕 木で言えば楓、実で言えば栗

俺のこと歌にするのと聞く人にできないよってとりあえず嘘

かけがえのなさをもたずにうまれてきた人間でいて竹の抱擁

きみおれの木嶋佳苗になってくれって笑えるけれど笑ってていい?

人生は空中ブランコ手が滑るネットがないのよく見ていてね

(「短歌人」2020年11月号 国東杏蜜)

たんか 202010

たんか 202010

たすけてって言ったらたすかる? たすかるなら言う? タッパーウェア

みんなして人差し指を負傷して土嚢の口をくくったしるし

視界から消えることしかできることないような気がして靴を履く

強い雨、、、 強い祈りを観測する湖に降るすべての命

ベッドの東そこがいちばん死に近い痛みの形は生への土下座

(短歌人2020年10月号 国東杏蜜)

不眠ではなく

不眠ではなく

とにかく眠い。眠くてぼんやりしている。なぜ眠いかというと眠れないからである。この話をすると眠かったら寝ればいいのにと言われるが、そうできたらいいとわたしもほんとうにおもう。

いつも言うのだけれど感覚としては不眠は便秘に似ている。そうしたいし、準備もできているし、誰もなんの差し支えもないのにそうできないのである。ここで言われることもだいたい同じ。運動とか、薬とか、逆に限界まで追い詰めてみるとか、と

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たんか 202009

お嬢さん、おはいんなさい出れないよ回転が複雑になっていく

セロテープの台でむちゃくちゃ殴ってる これは夢です あれは星です

愛なんていずれ忘れるものだけどほんとのことにも証明はいる

赤緑金金まだらまばたきでもうわからない花火の順番

運転が出来なくなって空は青、白線は格子、人間はいない

(短歌人2020年9月号 国東杏蜜)

たんか 202008

たんか 202008

人生の最初の方でこけたままだれかが台車を押してくれてる

明け方に発作があるとわかってて眠る胆力を見せつけてやる

麻酔から覚めたとたんに嘘をつくうわごとを言ったかは、知らない

筋肉とつよいこころが必要です月を見上げて自転車を漕ぐ

生き残る努力はしました許してね、と言えるくらいに頑張るやくそく

(短歌人2020年8月号 国東杏蜜)

たんか 202006

たんか 202006

ねえなあに たばこをとんとんするのはなあに ねえそれはなんのおまじない

だめですよ毎晩泣いても偉くなるお友達がもう増えないらしい

人は愛で倒れたりはしないんだって爪の間が蕗の皮の黒

世界中の恋人たちの声がする猫の目が四つどの窓にもある

ゆるしてのいみならわかるぜったいにうまれてこない つぎは ゆるして

(短歌人2020年6月号 国東杏蜜)

たんか 202003

たんか 202003

騙されて笑ってるようじゃ人間を信じたことにならないらしい

優しさが足枷になるという人の鎖の断面をよく見てみる

いきにしたはなしをかえりにまきもどす景色をたよりにおもいだしてく

ミシュランマンになりたくないという人にダウンを買った七年かかった

みんなやさしいそのやさしさの源泉をしずかにゆびで塞いでいたい

(短歌人2020年3月号 国東杏蜜)