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眠れる知性

ベランダで仕事をしている。
風が気持ちいのでベンチに座ってパチパチしている。
自宅のデスクは猫に占領されており、暗い。
せっかく天気がいいのだから、ここで仕事しようと数時間経過。

遠くで野球部の掛け声と吹奏楽部の未熟なトランペットが聞こえてくる。ときおり吹く強めの風がカーテンをブワッと揺らす。
今日は午前中に図書館の地下倉庫に潜入し、何十万冊という見渡す限りの棚に度肝を抜いた。これが人間の知性か。その本の一部である。

僕らが暮らすこの瞬間にも誰かが知恵を記録として残し続けている。
昔はペンで今はキーボードで。頭の中にある情報を具現させている。その世界を想像した時に、この銀河で知的生命体って、本当に僕たち人間しかいないのかもという孤独を感じる。

巨大な機械仕掛けの書庫がおよそ三階分の高さを持つ倉庫でグワングワンうごいている。指示した本を抜き出し届ける。僕の身の丈の5倍以上ある機械を見上げて、強烈な畏怖を感じる。神様がいたとしたら、あんな感じなのかもしれない。ただ純粋に指示された本を抜き出す機械なんだけど、全ての知性に接続する圧倒的存在のように思えてならない。

本棚を見るとアブラムシ大図鑑というような、誰がこれを見るんだ?という本が無数にある。しかし、この世界の誰か一人でもその情報を欲しているのであれば、それをアーカイブし、知識を提供することが図書館の役割なのだと思った。もちろんインターネットの情報量も凄いけれど、物質を伴った知性の塊のような本という媒体は、書き手の執念も伴って威圧感がすごい。

1日ここにいれるなと思うほど、読書好きにはたまらない空間。
一般では入れない場所につき目に焼き付けることに終始した。
僕らが知っている当たり前のことは先人たちが見つけ出した輝かしい真実なんだと思うと、誰かわからないけど過去の書き手全てに感謝を申し上げたい。いい仕事です。

Photo by Janko Ferlic from Pexels

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。