オンライン授業をやってみて

 タイトルの通りですが、オンラインでの授業をやってみました。その中で授業の形式ごとにどういう長所短所を感じたか、今後の解決課題は何かなど、私自身が感じたことを自由に書いていきます。勤務校は中高一貫ですが、高校生対象の授業についての内容になっています。

実際に行ってみて感じた部分は【長所】と【短所】に、実際に感じたわけではないが考えられることを【その他】に記載しています。


目次

1.授業動画配信
2.課題配信
3.MeetやZoomを用いたライブ授業
4.今後試してみたいこと


1.授業動画の配信

【長所】
・従来の授業通りの流れで授業が行えるため、内容を考えやすい
・動画を観て板書・プリントのような形式だと、従来の授業と流れが同じな
ので生徒も適応しやすい
・時間的には従来の授業と同等の学習内容を保証できる
・一度作れば多くのクラスや年度を跨いで再利用できる

【短所】
・動画作成に時間がかかる
・厳密には誤っている発言を全て更生する必要がある(動画を作ればきっと分かりますがこれめちゃくちゃキツいです………)
・動画授業は完全に一方通行なので、途中で飽きる
・動画のデータ量が大きいため、家庭によっては安定した視聴が難しい
・黒板を広く映せないので、板書案の検討が大変
・動画を保存した生徒がネット上に流布するなどして肖像権や著作権上の問題が生じる
・インタラクティブな授業を作りにくい


【その他思いつくこと】
・「うまく再生できません」という生徒も数%いる
・動画授業ではTry itなど既にオンラインコンテンツが溢れており、わざわざオリジナルを作る意義が薄い。独自の授業展開をしたい場合でなければ既存のもので解決できる
・動画編集の技術がないとワンカット撮影となってしまい、大変そう
・google classroomやclassiなどプラットフォームがないと共有が難しい



2.課題配信

【長所】
・ICT環境がなくても、プリントやワークさえあれば課題を指示できる
・期限と学習内容を設定できるため、授業の進度をコントロールしやすい
・是非はともかく、知識は身に付く

【短所】
・複数科目から同時に課題が出るため、膨大な量の課題を抱えることになる
・間違った解答などを書いている生徒をどの程度許容するかが難しい
・時間割通りに進行しないため、生徒が生活リズムなどを管理しにくい
・オンライン提出だと提出しない生徒も数%はいる
・適当に作業して終わらせる生徒が続出、身に付かない
・未提出の生徒に提出を催促する手間が相当かかる
・インタラクティブな授業を作りにくい


【その他思いつくこと】
・プリント配布の場合、各家庭に郵送する必要がある。郵送費や梱包の手間はどうするか悩ましい
・課題を解いてから答え合わせまで時間が空くので、内容の定着はしにくい

3.ライブ授業

【長所】
・生徒との対話が可能なので、インタラクティブな授業形態もとれる
・対面式になるので、生徒の出欠を把握できる
・質疑応答が可能なので、理解を深めやすい
・時間割通りに授業が進むため、生徒の学習を管理しやすい
・少しでも会話をすることにより、生徒と人間関係を築ける

【短所】
・家庭の電波状況によっては参加できない生徒が生じる(1~2名/40名)
・タイムラグなどがあるため、とにかく授業の進みが遅い
・生徒が反応してくれないことも多く、理解しているか否かが分かりづらい(結果的に動画授業のように淡々と進めるはめになる)
・黒板などを写せる範囲が狭いため、板書案が難しい
・そもそもICT環境が整ってなければ無理
・携帯や家庭の通信プランによっては、教員が出校して勤務する必要性が出てくる(学校の回線を使用するということ)
・生徒がiPadしか持っていない場合、プリントを配布するアプリと会議アプリの切り替えがあるため、プリントを見ている間は生徒が反応してくれない
・授業の使いまわしができないので、従来よりも多くの授業準備が必要になる
・単純に会議アプリを使い慣れてないが故のトラブルが多発する

【その他】
・タイムラグの解消や家庭の通信環境の整備さえできれば、最も使いたいツールではある
・新学期でお互いのことを知らないクラスもあるので、やはり互いの顔が見える点で強い
・現状では、通信環境や機材・ラグなどインフラの問題がほとんど
・「休校期間のオンライン授業は授業時数に含めず、学習内容を理解していればその単元を学んだとして学校で再度指導しなくてもよい」という文科省の指針に従うと、授業内容が薄くなりがちな点がネック。インタラクティブな授業内容だとすると評価が非常に困難になりそう


4.今後試してみたいこと、今試していること


【オンラインで課題PDF配布、動画で5分程度の解説、Zoomで質問受付】
 これは現在試している手法です。やはりライブ授業をやった時の内容の薄さと遅さを考えると、現状はこれが一番だと個人的には考えています。詰め込みになりがちな部分については記述問題を作ったり、思考実験をさせたり、実験の動画を送るなどして対応中。(苦しい)

 しかしいわゆるインタラクティブな授業をするには前述した会議用インフラの問題があるため、現状では課題の内容を工夫するしかないと考えています。「どういう問いを設定すれば生徒が面白がって考えてくれるか」「生徒に何を考えさせたいか」などの課題設定をしっかり行う必要性を強く感じています。逆に、今こうした問いをしっかり考えておけば、対面での授業でも活用できる教材とできると信じて頑張っているところ。現状はこの問いを考えるのに一番時間を使ってます。その問いに対する回答を添削するのに同じくらい時間使ってます


以上、薄っぺらい記事でしたが、2週間の実践でひとまず見えてきた点でした。何か補足していただける情報があれば、ご教示いただけると幸いです。




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