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毎日30~40分の運動が寿命を約7~9年延ばす



ランニングなどの有酸素運動やZone2トレーニング(後述)が健康にいいことは多くの研究で明らかだけれど、毎日30~40分のランニングが寿命を約7~9年も延ばすという結果が報告された。

その結果は、米ブリガムヤング大学の研究チームによって、医学誌「Preventive Medicine」に数年前に発表されたものだ。そこでは健康長寿のカギを握る「テロメア」についての観察が報告された。

私たちの体を形づくる37兆個の細胞。生きているかぎり分裂し、入れ代わり続けている。例えば皮膚の細胞は1、2か月で新たな表皮に入れ代わる。この細胞分裂に深く関わっているのが、細胞の染色体の先端にあるテロメアだ。

このテロメアは動物が歳をとっていくにつれて短くなる。その短くなる速さはひとそれぞれだけれど、喫煙は確実にテロメアを短くする

テロメアが減ると新たな細胞ができなくなるため、「命の回数券」とか「長生き遺伝子」などと呼ばれている。逆にいうと、テロメアが長い人ほど長生きすることになる。そのことはハーバード大学教授で医学博士でもあるデビッド・シンクレア氏もその本「ライフスパン」で詳しく説明している。

この研究をまとめたのは運動科学が専門の同大学ラリー・タッカー教授。
タッカー教授は、健康長寿のカギを握るものとしてこの「テロメア」に着目した。

米政府機関の疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査に参加した5823人のデータを対象にした。この調査の参加者は、30日間にわたり、ランニングやウォーキング、水泳など62の身体活動のデータ(運動時間や運動の強さ・内容など)が記録されているばかりか、テロメアの長さも登録されている。そして、運動の強度とテロメアの長さの関連を調べた。

結果は次の通り。

(1)運動の強度として、男性は毎日40分、女性は毎日30分のランニングを週に5日する人(高強度の運動)は、ほとんど体を動かさない人に比べ、テロメアの長さは約9年の寿命分長い

(2)同じく男性は毎日40分、女性は毎日30分のランニングを週に5日する人は、適度に体を動かしている人(中程度の運動)に比べ、テロメアの長さは約7年分の寿命分長い

(3)適度に体を動かしている人(中程度の運動)と、ほとんど体を動かさない人との間では、テロメアの長さに統計上の差がなかった

『適度な体を動かしている人』はその「適度」の幅が大きいので、結果にも幅が出やすいものの、「適度」と「強度」の運動の差は、結果として歴然だ。

今回の結果について、タッカー教授はプレスリリースの中でこうコメントしている。

「生物学的な老化を遅らせたいと思うのなら、少々の運動では効果がないということです。毎日高いレベルの運動を行なう必要があります。高強度の運動がテロメアの長さに影響を与えるメカニズムは不明ですが、細胞の炎症や酸化ストレスと関係している可能性があります。運動に、炎症と酸化ストレスを抑える効果があると思われます」

これにはZone 2トレーニングが密接に関係している。Zone 2トレーニングは、心拍数が比較的低いゾーンでの長時間のトレーニングのこと。

簡単に言うと最大心拍数数の75%で45分以上の運動をすることだけれど、実際には乳酸を2mmに抑える程度の「ちょっと額に汗をかく」程度の運動を続けることだ。

Zone 2トレーニングは寿命を伸ばす有効な鍵を握っているとして多くの研究がされている。
今後の記事で詳しく書いていく。




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